MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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通訳研究の方法 Retrospective Interview

2005年03月03日 | 通訳研究
Interpreting Vol. 6 No. 2 (2004)にマコーリー大学のJemina NapierがInterpreting omissions: A new perspectiveという論文を書いている。いわゆるretrospective interview(通訳した後に被験者である通訳者にインタビューする)という方法を使っているのだが、この研究手法を本格的に使ったのはこれが初めてではないだろうか。一見簡単そうに思えるが、実際の手続きはかなり面倒で、second raterによる二次チェックまでやっている。通訳研究のためのretrospective interviewについてはRobert R. Hoffman (1997)やClaudia Monacelli (2000)などが触れている。通訳の場合、Think-Aloud法が使えない(aloudなのは通訳者の訳出)ので、通訳者の内的過程を覗くためにはこれしか方法がないわけだ。この方法の哲学的基礎は現象学だが、通訳研究の方法としての評価はまだ未知数というべきだろう。しかし、だからこそこういう研究がもっと出てきてほしい。