(以下、毎日新聞【滋賀】から転載)
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県:緊急雇用対策、一斉に 失職者支援、県営住宅50戸提供へ /滋賀
雇用情勢の悪化を受けて24日、県内では県や各市、ハローワークなどが緊急対策を一斉に打ち出し、弁護士や市民グループらは電話相談会を開いた。また、大津財務事務所が同日、発表した景気予測調査は、今後、人員削減がさらに進むとの予測を示した。【服部正法、近藤修史、稲生陽、近藤希実、野々口義信、松井圀夫】
弁護士や野宿者支援NPOなどが「年越し電話相談会」を開いた。県内でも工場の多い湖東・湖南地域を中心に35人から相談があり、1人が25日に生活保護を申請することになった。また、緊急措置としてNPOが用意した野洲市内の住宅に、1月5日まで3人が入ることになった。
35人の大半は男性。解雇通知を受けたり、実際に解雇された派遣社員からの相談が約3分の1。給料から寮費を引いた手取りが数万円という労働者も多く、「1カ月の半分しか仕事を回してもらえず収入がない。幼い子供もいるのに不安」(湖南市、40代男性)という声もあったという。
◆ ◆
大津財務事務所は今年10~12月期の県内企業の景気予測調査結果を発表した。全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス54・4と過去最低。前回調査(7~9月期)と比べた下げ幅は26・7ポイントと過去最大で、世界的な金融危機が県内経済にも急速に影を落としたとみられる。
BSIは景気が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いて算出。調査は県内の資本金1000万円以上の企業95社に行い、79社から回答があった。
景況が「下降」したと答えた企業は63・3%で、特に大企業は88・9%が「下降」と判断した。45・6%の企業が先行き(来年1~3月期)を不安視している。
また、従業員が「不足気味」とした企業の割合から「過剰気味」とした企業の割合を引いた雇用判断のBSIは、製造業でマイナス15・2と、従来の人員不足から一転して人員過剰に。来年3月末の見通しも悪く、さらに人員整理が進む可能性がある。
◆ ◆
県は嘉田由紀子知事を本部長とする県緊急生活・経済・雇用対策本部を設置し、県と滋賀労働局による第1回本部員会議を開いた。会議で県は、解雇で住居を失う非正規労働者らを対象に県営住宅50戸を提供する方針を明らかにした。
対象は、先月1日以降に解雇され、寮などから退去を求められている人たち。通常と同等額の家賃(8000円~2万3000円程度)だが、複数の借り主が共用するルームシェアが可能。通常必要な敷金(3カ月)、保証人は免除する。入居期間は原則1年以内。
普段は公募抽選だが、今回は県住宅課への書類先着順。応募書類は25日から県内7カ所のハローワークで受け取れる。問い合わせは県住宅課(077・528・4234)。
◆ ◆
民主党県連は、緊急雇用対策本部を設置し、県内情勢の調査を始めたと発表した。県内のハローワークや大学の就職担当窓口、市町の労働、住宅担当などに聞き取りなどで調査中という。
◆ ◆
外国人労働者からの相談の急増を受け、滋賀労働局は県内4市でハローワークの出張相談コーナーを設けるなど、相談体制を拡充すると発表した。
ポルトガル語の通訳を配置しているハローワーク長浜では月数件だった新規求職相談が10月は35件。相談も延べ60件で、日系ブラジル人らが多く住む湖北、湖南地域などで外国人からの相談が急増しているという。
このため、労働局は甲賀、湖南、長浜、米原の4市で週1~2日の「外国人出張行政相談コーナー」を新設。雇用保険の受給手続きの案内や生活相談、行政からの支援など情報提供を行う。草津、守山、栗東、野洲の4市でも来月中に開設を予定している。
また、各ハローワークはポルトガル語やスペイン語の通訳を新規設置または拡充する。
◆ ◆
各自治体も対応に追われている。
彦根市はこの日、庁内に獅山向洋市長をトップとする「緊急経済雇用対策会議」を設置した。25日には年末、年始の相談に応じる態勢を決める。市によると、外国人労働者を中心に、解雇通告や契約満了に伴う解雇不安などの相談が数件来ているという。一方、彦根商工会議所は、市に対して景気振興策や緊急経済対策などの要望と提案書を提出した。
長浜市は、長浜公共職業安定所と協力して1月9日から毎週金曜日、市役所中小企業相談室に「外国人生活・職業相談コーナー」を開設する。コーナーは午後1~5時に開設、職業安定所職員と通訳が同席、相談に応じ、生活相談については、市の関係機関がその都度対応する。市によると今年8月現在、市内在住の派遣社員などは約3100人いたが、12月時点では、約2600人に減った。うち約7割がブラジル国籍などの外国人。失職した外国人の半数は帰国、他企業に就職できた人は2割ほどにとどまるという。
高島市は24日、「生活・雇用緊急対策措置」を発表した。臨時職員の採用や就職相談窓口の設置などを打ち出した。臨時職員は、公立高島総合病院の事務員など計約25人を来年1月から採用。今年度の市職員採用試験の採用予定者の枠を広げ、消防や保健師などの内定者を5人増やした。市営住宅は空き部屋が7部屋あるため、生活が苦しいと判断される住民がすぐに入居できるように対応。その他、市発注工事の工事代金支払いを早めるなどする。
毎日新聞 2008年12月25日 地方版
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県:緊急雇用対策、一斉に 失職者支援、県営住宅50戸提供へ /滋賀
雇用情勢の悪化を受けて24日、県内では県や各市、ハローワークなどが緊急対策を一斉に打ち出し、弁護士や市民グループらは電話相談会を開いた。また、大津財務事務所が同日、発表した景気予測調査は、今後、人員削減がさらに進むとの予測を示した。【服部正法、近藤修史、稲生陽、近藤希実、野々口義信、松井圀夫】
弁護士や野宿者支援NPOなどが「年越し電話相談会」を開いた。県内でも工場の多い湖東・湖南地域を中心に35人から相談があり、1人が25日に生活保護を申請することになった。また、緊急措置としてNPOが用意した野洲市内の住宅に、1月5日まで3人が入ることになった。
35人の大半は男性。解雇通知を受けたり、実際に解雇された派遣社員からの相談が約3分の1。給料から寮費を引いた手取りが数万円という労働者も多く、「1カ月の半分しか仕事を回してもらえず収入がない。幼い子供もいるのに不安」(湖南市、40代男性)という声もあったという。
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大津財務事務所は今年10~12月期の県内企業の景気予測調査結果を発表した。全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス54・4と過去最低。前回調査(7~9月期)と比べた下げ幅は26・7ポイントと過去最大で、世界的な金融危機が県内経済にも急速に影を落としたとみられる。
BSIは景気が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いて算出。調査は県内の資本金1000万円以上の企業95社に行い、79社から回答があった。
景況が「下降」したと答えた企業は63・3%で、特に大企業は88・9%が「下降」と判断した。45・6%の企業が先行き(来年1~3月期)を不安視している。
また、従業員が「不足気味」とした企業の割合から「過剰気味」とした企業の割合を引いた雇用判断のBSIは、製造業でマイナス15・2と、従来の人員不足から一転して人員過剰に。来年3月末の見通しも悪く、さらに人員整理が進む可能性がある。
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県は嘉田由紀子知事を本部長とする県緊急生活・経済・雇用対策本部を設置し、県と滋賀労働局による第1回本部員会議を開いた。会議で県は、解雇で住居を失う非正規労働者らを対象に県営住宅50戸を提供する方針を明らかにした。
対象は、先月1日以降に解雇され、寮などから退去を求められている人たち。通常と同等額の家賃(8000円~2万3000円程度)だが、複数の借り主が共用するルームシェアが可能。通常必要な敷金(3カ月)、保証人は免除する。入居期間は原則1年以内。
普段は公募抽選だが、今回は県住宅課への書類先着順。応募書類は25日から県内7カ所のハローワークで受け取れる。問い合わせは県住宅課(077・528・4234)。
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民主党県連は、緊急雇用対策本部を設置し、県内情勢の調査を始めたと発表した。県内のハローワークや大学の就職担当窓口、市町の労働、住宅担当などに聞き取りなどで調査中という。
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外国人労働者からの相談の急増を受け、滋賀労働局は県内4市でハローワークの出張相談コーナーを設けるなど、相談体制を拡充すると発表した。
ポルトガル語の通訳を配置しているハローワーク長浜では月数件だった新規求職相談が10月は35件。相談も延べ60件で、日系ブラジル人らが多く住む湖北、湖南地域などで外国人からの相談が急増しているという。
このため、労働局は甲賀、湖南、長浜、米原の4市で週1~2日の「外国人出張行政相談コーナー」を新設。雇用保険の受給手続きの案内や生活相談、行政からの支援など情報提供を行う。草津、守山、栗東、野洲の4市でも来月中に開設を予定している。
また、各ハローワークはポルトガル語やスペイン語の通訳を新規設置または拡充する。
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各自治体も対応に追われている。
彦根市はこの日、庁内に獅山向洋市長をトップとする「緊急経済雇用対策会議」を設置した。25日には年末、年始の相談に応じる態勢を決める。市によると、外国人労働者を中心に、解雇通告や契約満了に伴う解雇不安などの相談が数件来ているという。一方、彦根商工会議所は、市に対して景気振興策や緊急経済対策などの要望と提案書を提出した。
長浜市は、長浜公共職業安定所と協力して1月9日から毎週金曜日、市役所中小企業相談室に「外国人生活・職業相談コーナー」を開設する。コーナーは午後1~5時に開設、職業安定所職員と通訳が同席、相談に応じ、生活相談については、市の関係機関がその都度対応する。市によると今年8月現在、市内在住の派遣社員などは約3100人いたが、12月時点では、約2600人に減った。うち約7割がブラジル国籍などの外国人。失職した外国人の半数は帰国、他企業に就職できた人は2割ほどにとどまるという。
高島市は24日、「生活・雇用緊急対策措置」を発表した。臨時職員の採用や就職相談窓口の設置などを打ち出した。臨時職員は、公立高島総合病院の事務員など計約25人を来年1月から採用。今年度の市職員採用試験の採用予定者の枠を広げ、消防や保健師などの内定者を5人増やした。市営住宅は空き部屋が7部屋あるため、生活が苦しいと判断される住民がすぐに入居できるように対応。その他、市発注工事の工事代金支払いを早めるなどする。
毎日新聞 2008年12月25日 地方版
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