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日本の就活は「世界の非常識」 外国人留学生たちは悲鳴を上げている

2010-11-19 18:26:22 | 多文化共生
(以下、日経ビジネスオンラインから転載)
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日本の就活は「世界の非常識」
外国人留学生たちは悲鳴を上げている

 現在、日本では約13万人の外国人留学生がいる。日本政府は30万人に引き上げるという大きな目標を掲げているが、最大の問題はせっかく留学生が日本で学んでも就職のチャンスが非常に少ないことだ。

 最も身近なグローバル人材であり、日本語の話せる外国人をうまく採用し、戦力として育てて行くことは重要。現在、日本の外国人留学生のうち、就職希望者の半分はうまく就職できず、母国に帰っているとされる。

 日本で学ぶ外国人留学生を長く支援してきた国際留学生協会(IFSA)の藤岡和之事務局長と清水逸枝さんらに現状を聞きながら、外国人留学生を生かすために何が必要なのかを考えてみたい。
国際留学生協会が主催した留学生向けの就職イベント(9月に都内で開催、写真:清水盟貴、以下同)

 国際留学生協会では年2回、日本で学ぶ外国人留学生のための就職イベントを実施している。外国人留学生の採用は2004年以降、日本企業の業績が回復したことや新興市場ビジネスがより重要になったことで、順調に拡大してきた。しかし、リーマンショックの影響で、留学生採用も厳しくなり、国際留学生協会は昨年秋の就職イベントができなかった。

 ただ、今年9月のイベントでは三菱商事や外食大手のゼンショーなど15社が参加し、650人程度の学生が集まった。そして、日経ビジネス編集部では国際留学生協会と共同で、アンケート調査を実施した。198人が回答してくれた。

留学生、極端に低いエントリー数

 藤岡事務局長はその結果を見て、こう語る。「中国人留学生のエントリー数がやはり非常に少ない。これでは内定を取るのが難しい」と。今回の調査で回答してくれた198人の留学生のうち、日本企業の説明会などに応募(エントリー)しなかったのは10人もいた。そして、最も回答が多かったのは1~5社にしかエントリーしていない留学生が64人もいたことだった。

 就職活動の入り口部分であるエントリーの数があまりにも少ない。全体の3分の1ぐらいにもなる。6~10社のエントリーも、34人もいた。通常、就職活動に熱心な日本人学生は50社以上のエントリーが常識である。

 藤岡氏は「やはり外国人留学生にとって、日本語はかなりできても、日本企業への志望動機などを書き込むエントリーシートをたくさん作るようなことは難しい。就職活動の入り口部分をもっと企業には改善してもらいたい」と指摘する。

 また、今回の調査では留学生に日本企業の採用活動への改善点も聞いてみた。そこでやはり最も多かったのは留学生採用枠の拡大である。

 もともと、日本企業のほとんどは留学生の採用枠を明示していない。それゆえ、留学生にとっては採用するのかどうか分かりにくい。「ローソンなどのように経営トップが外国人留学生の積極採用を明言している企業はまだ少ない。留学生としても、どこを志望したら良いのか、非常に悩む」(藤岡氏)のである。

 日本企業の多くは日本人の学生と同じように採用をしていて、結果的に「優秀だった」として外国人留学生を採用しているケースが多い。ただ「外国人留学生向けの特別枠を作れば、優秀な留学生を採用しやすくなるはず」と、藤岡氏は指摘する。

2012年春入社組からは留学生就職も好転?
外国人留学生の就職を支援してきた国際留学生協会の藤岡和之事務局長

 ただ、藤岡氏は「日本企業では2012年春入社組の採用活動が動き出している。留学生採用への意欲は少し強くなる感じだ」と言う。日本では中国人の留学生が全体の中でも大半を占めている。中国での事業拡大のためには日本語のできる中国人留学生へのニーズがやはり根強いからだだろう。こうした人材は「ブリッジ人材」と呼ばれる。

 日本語ができるから、日本人と現地人をつなぐ役割を期待できる。今、日本企業では流通サービス業でも中国や東南アジアに積極進出している。その意味で、ブリッジ人材として留学生を採用するケースが増えていく可能性が大きい。

 外国人留学生の就職先の3分の2は中小企業とされている。となると、これまでは就労ビザの取得が大きな問題とされてきた。最近は就職活動のために日本での滞在を段階的に1年間、伸ばすことができるようになった。それは就職氷河期とされる中で、留学生を救うためだった。

 外国人留学生の就職では大企業であれば、ビザが比較的に簡単に取得しやすい。一方、流通サービス関係の中小企業では非常に難しいとされる。例えば、大学の経済学部を出ていても、居酒屋チェーンのようなところで接客をやるような仕事への就職は認められない。

 藤岡氏は「高度化人材とされる4年生大学を卒業した外国人留学生は基本的にビザの取得を簡単にすべきだ。そうでないと、採用する中小企業の側も及び腰になってしまう」と指摘する。

求められるのは「語学力プラスアルファ」
留学生の就職を支援する国際留学生協会の清水逸枝氏

 今回、外国人留学生を対象にした調査では日本企業に就職を希望する理由として最も多くの回答を集めたのは「留学経験で身に付けた語学力や専門性を生かしたい」ということだった。これについて国際留学生協会の清水逸枝氏は「日本企業と話していても、留学生は語学力が武器になると思っているが、それが難しいと痛感する」と指摘する。

 というのは、「留学生の就職イベントに参加する企業は語学力プラスアルファのアルファの部分を重視しているからだ」(清水氏)。実際、中国でも日本語を上手に話せる若い学生はたくさんいる。清水氏は「日本に留学し、日本の文化をしっかり学んだり、何らかの専門分野で光るものを持っていたりするような人材でなければ、なかなか就職は難しい」と指摘する。

 ただ、日本の留学生の採用は以前に比べれば、間違いなく積極的な企業が増えてきている。就職情報会社のディスコの調査でも、少ないと言え、外国人留学生を来年春に採用する会社は今年春と比べて、ほぼ2倍の2割ぐらいになるという。最近はローソンや楽天のような注目企業が留学生採用に動いていることは追い風になりそうだ。

 清水氏は「日本企業にとって長期的には外国人採用が重要になることは明らかだ。そうであれば、まず留学生の採用に本腰を入れることから始めるべきではないか」と指摘する。

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