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多文化共生とは永続的なココロの営み

消えた子ども38人 「外国人親と海外へ」増加

2012-05-17 10:19:34 | 多文化共生
これが現行制度の実態。
(以下、読売新聞【埼玉】から転載)
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消えた子ども38人 「外国人親と海外へ」増加

 大阪府富田林市で男児(9)が行方不明になっていることが発覚したが、県内でも行方が分からない「居所不明」の小中学生が少なくとも38人(昨年5月時点)いることが、文部科学省などへの取材でわかった。

 子どもたちが本来通うはずだった小中学校は、家庭訪問するなど調査はしているが、居場所が分からないケースがほとんど。その多くが借金による夜逃げや、家庭内暴力(DV)から逃れるため保護者と一緒に引っ越したとみられ、把握は困難なのが実情だ。

 さいたま市内の50歳代の小学校教頭は2010年3月、ほかの教師と2人である入学予定の子どもの自宅を訪れた。その子どもは入学前に行われる学校説明会や健康診断に来なかった。住民登録されている住所には子どもを含めた家族は住んでおらず、近所の住民に聞いて回ったところ、母親の故郷である東南アジアの国に引っ越したという。教頭は「現地で元気に暮らしていればいいのだが……」と心配する。

 県内で居所不明の38人のうち28人を占める同市によると、近年、父母のどちらかが外国人で、家族と共に外国に引っ越したとみられるケースが増えているという。外国人が保護者の場合、住民票に対する意識が日本人に比べると希薄で、同市教委は「必要な手続きも取らないのでは」とみる。

 最近は近所づきあいが少なくなっていることもあり、近隣住民でも行方が分からないことも多い。川口市では子どもの住所が賃貸住宅だった場合、不動産管理会社などに問い合わせることもあるが、空室か否かは分かっても、いつまで住んでいたのか、どこに引っ越したのかなど、詳細を教えてもらうのは、個人情報保護のため難しいという。

 富田林市のケースでは、男児の住所に曽祖母が住んでいたが、市は「児童養護施設にいる」という説明をうのみにし、それ以上の調査を行っていなかった。

 さいたま市では昨年度、住所地にほかの家族や親族が住んでいたケースはなかったが、同市教委は「子どもの行方が分からないという事態はあってはならないこと。今後も地域の民生委員と情報交換するなどして子どもの行方を捜していきたい」としている。
(2012年5月17日 読売新聞)

昨年の外国人患者12万人超 49%増=韓国

2012-05-17 10:19:15 | 多文化共生
(以下、中央日報から転載)
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昨年の外国人患者12万人超 49%増=韓国
2012年05月16日19時51分

【ソウル聯合ニュース】韓国の保健福祉部は16日、昨年の外国人患者誘致数が前年比49.0%増の12万2297人を記録したと明らかにした。外来患者が9万5810人(78.3%)、健康診断患者が1万4542人(11.9%)、入院患者が1万1945人(9.8%)だった。

 主な診療科目は内科(15.3%)、皮膚・成形外科(12.7%)で、家庭医学科(8.7%)、検診センター(8.3%)、産婦人科(7.7%)が続いた。

 性別では男性42.0%、女性58.0%。日本の場合、女性患者(78.0%)が圧倒的に多かった。年齢別では20・30代が41.8%、40・50代が34.7%だった。

 国別では米国(27.0%)、日本(22.1%)、中国(18.9%)、ロシア(9.5%)、モンゴル(3.2%)の順で多かった。特に日本は東日本大震災や福島第一原発事故などにもかかわらず、患者数が大幅に増加し2位に浮上した。 

 外国人患者1人当たりの平均診療費は149万ウォン(約10万円)で、韓国人患者(101万ウォン)より多かった。

 保健福祉部関係者は、「外国人患者誘致は政府が成長エンジン事業に選定した2009年以降、年42.5%の急成長を遂げている。政府間の患者誘致協約、海外医療関係者の研修拡大、国内医療機関の海外進出などを推進していく」と語った。

自分の病気を仲間と研究 べてるの家の「当事者研究」

2012-05-17 10:18:20 | ダイバーシティ
(以下、WEDGE Infinityから転載)
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自分の病気を仲間と研究
べてるの家の「当事者研究」
日本から世界へ広まる新たな精神科領域の取り組み
2012年05月17日(Thu)  神保康子 (ライター)

2012年が始まって間もないある日、私は統合失調症やうつ病、発達障害などと診断されている人たちの「当事者研究」のライブを観ていた。

 「当事者研究」? しかもライブ? いったいなんのこと? と思われるだろう。

 北海道のとある場所を中心に始まった、精神疾患等を抱える人たちが自分で自分の病気を「研究」する取り組みが、いま全国的な広がりを見せている。
私の病気は『おおかみ少年自爆型』です。

 ステージに並んだ椅子から立ちあがったTさんは「“自己病名”は、『おおかみ少年自爆型』です。解離性障害と発達障害を持っています」と自己紹介をした。

この日、当事者研究を行ったTさん(右)。仲間と考えた自分の助け方を実際に練習してみる。中央は主催者の向谷地生良氏(本コラムの写真はすべて筆者提供)
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 そして、ステージ上の椅子に座る数人の仲間たちに向かい、自分が今どのようなことに困っているのかについて語り始める。

 Tさんの困りごとは、自分の思っていることを伝えたいのに感情が爆発してしまい、逆のことを言ってしまうことだ。

 ホワイトボードに感情が爆発するまでのサイクルを書き出し整理し始める。寂しさから、注目を集めたくなる。どうしたのと聞かれるとうれしい。なのに寂しいと言えずにもっともっと、感情が爆発していく。

 「伝える練習したことあるの?」と仲間から声が挙がる。

 「ない」

 「じゃあ、練習しよう」

  と、ロールプレイが始まった。
あなたの幻聴さんは、なんて言ってるの?

 また、幻聴が聞こえ、自傷行為が止められないOさんの困りごとは、「夜寝ようとすると幻聴がきて、眠れない」という症状だ。

 「それはどんな声?」「男の声? 女の声?」「知っている人?」など、自らも精神疾患からくる苦労を抱える仲間たちが次々に質問を投げかける。「俳優の○○さんみたいな声で、話しかけてくる」と、Oさんもこと細かに幻聴について説明をする。

 ここでは、当事者研究を行っている本人たちは精神病患者や、発達・精神障害者ではなく、抱えている問題や、解決しようとしている課題の「専門家」と呼ばれ、頼られる。「そのことに関しては、じゃあ爆発の専門家の○○さんに聞いてみましょう。どうでしょうか?」「○○さんは、自傷行為が得意だよね。どう思う?」のように。ちなみに、幻聴についてはさんづけで呼ばれる。「あなたの幻聴さんは、なんて言っているの?」という具合だ。

年間来訪者3500人 「べてるの家」って一体何?

 こんなふうに、精神疾患を抱えていることを前向きにとらえて堂々と語る当事者研究は、北海道浦河町にある、社会福祉法人浦河べてるの家で始まった。

べてるの家発祥の地。今はグループホームになっている。
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 べてるの家とは、精神疾患を抱える人たちの地域活動の拠点であり、働く場でもある。30年以上前に、この地域で暮らす精神疾患を経験した若者たちの交流活動がその活動のはじまりである。2002年には社会福祉法人となり、日本で初めて、当事者が理事長、施設長となり、就労支援や住居支援に取り組んでいる。

 名産の日高昆布の袋詰め作業にとどまらず、地域に働く場を創るなどして広がり続け、現在では100名以上の利用者がおり、それぞれが共同住居やアパートなど、地域で生活をしている。当事者自らが会社を設立したり起業したりするなど、ものすごいパワーだ。年間見学者・研修者は延べ3500人以上と半端ではない。過疎の町だった浦河町へ、べてるつながりの移住者も多い。
“自己病名”をつける当事者研究

 べてるの家の当事者研究の流れは、次のとおりである。まず、“自己病名”をつける。これは、その名のとおり、自分で自分に病名をつけたもの。十把一絡げに「統合失調症」や「うつ病」というのではなく、「自分の」大切な苦労として捉え直すという意味がある。

現在の活動拠点、ニューべてる。日高昆布の袋詰め作業や雑貨の制作といった作業の拠点、そしてメンバーたちが起業した会社の拠点ともなっている。
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 この日はほかに、「人生の方向音痴症候群感情時差ぼけタイプ」、「教育ママ乗っ取られ暴走型いきづまり爆発タイプ」といったユニークな“自己病名”を持つ人たちが登場した。ほかには「統合失調症全力疾走型あわてるタイプ」という人もいる。

 次に、日常生活で困っていること、関心があることを題材に選ぶ。つまりテーマの抽出である。そして、研究する場をつくる。いわゆる精神科治療の領域では、幻聴や困りごとに関して当事者に語らせると、かえって症状を悪化させると捉えられがちだが、べてるの家の当時者研究では、あえて語る場をつくる。

 それには、仲間がいることが条件だ。そして、一緒にその困っていることがおきてくるパターンや仕組みを考え、実験してみる。さらに、その困りごとから自分をどうやって助ければいいのか、仲間とアイデア出し合いながら方法を考え、必要であれば練習してみる。
自分の感情や症状と、うまく付き合う

 こうしていくうちに、いままでは医師や専門家に「なんとかしてほしい」と丸投げしていた自分の病気の苦労を、自分自身の手に取り戻し、苦労とともに生きることを覚え、自分の感情や症状とうまく付き合っていけるようになっていく。

 病院のPSW(精神保健福祉士)でありながら、精神病院を退院した人たちと共同生活を送り、彼らとともに、べてるの家をつくり、浦河町で当時者研究をはじめとする様々な試みを続けてきた向谷地生良氏(現在は北海道医療大学教授)は、こう語る。

 「狭い意味の『治す』ということよりもある種の自己コントロール感が増してくるとか、上手に生きられるようになるということでしょうか」

自分の病気を勝手に治すな!?

 アイデアを出し合い、練習していく過程で、仲間とのつながりを実感していくところもポイントだ。一般的に「療法」と呼ばれるものとの決定的な違いは、「仲間」がいること。どうやら、アイデアを出し合う過程で「連帯」していくというところが大きな特徴のようだ。

 「べてるの家には『三度の飯よりミーティング』『弱さを絆に』などちょっとユニークなたくさんの理念がありますが、そのなかに、『勝手に治すな自分の病気』というのがあるんです。勝手に治っていくのではなく、みんなで回復していくという時の、その回復には、勝手に治ったのとは違う強さのようなものがあります」(向谷地氏)
言葉を取り戻せ! 語り始めた当事者たち

 さて、当事者研究には、仲間とのつながりを実感することと、もう一つの重要な側面がある。それは、研究の過程で「言葉」を獲得、もしくは取り戻すことだ。

 ホワイトボードに、困っていることを言葉で書き出すうちに、症状を改めて見直し、自分の思考のクセが分かってきたり、対処方法を考えられるようになる。すなわち、病気や症状の外在化である。言葉として外在化したうえで、仲間と一緒にそれを眺めて対処法を考えるのである。

当事者研究では、ホワイトボードは必須。書き出しながら自分の状況、感じていることを理解していく。
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 従来の精神科領域の「治療」は、病気や障害の当事者からこのようにじっくりと話を聞く仕組みとは言えないだろう。また社会も、長らく彼らの叫びを聞こうとしてこなかった。

 当事者研究に参加をしていた人たちは口々にこう言う。

 「寂しいとか孤独という言葉を知らなかった」

 「辛いという言葉が自分の辞書から消されていた。でも書き加えた」

 「助けてと言えなかった。多少言葉を覚えてきた時に最初に言えたのが『ぼく病気なんです』だった」
当事者研究は「言葉の宝庫」

 べてるの家の当時者研究では、本人たちが自分のことを語った時に使った言葉が蓄積されている。言葉の宝庫だ。一部を紹介すると、「弱さの情報公開」「苦労のプロフィール」「症状を見つめるのではなく眺める」「前向きな無力」・・・などなど、これらが当事者研究の「理念」となってどんどん増え、変化している。

 当事者研究を仲間と繰り返すうちに、周りの仲間たちもその人を理解していく。「あっちへ行け」と言われたら「寂しいっていうことだな」と分かるようになる。しかし、一般の人たちにはそれでは伝わらない。だから仲間たちが言葉を変える手伝いをしていくのだ。

 ここでは、悩みを抱えている人は、その分野の「専門家」だし、自分の振り返り自体が「研究」で、問題行動は「自分助け」や「天才的素質」となる。そして、それらの言葉を用いて研究をしていく中で、また新しい言葉が生み出され、貯金されていくというサイクルができている。
韓国、アメリカへも遠征する
べてるの家のメンバーたち

 当事者研究実践講座では、当事者研究の“ライブ”をとおして、問題を抱えた人が言葉を獲得して(取り戻して)いく方法が披露され、当事者でなくても、援助していく人たちはまず、問題を抱えた人の言葉や行動の表面に惑わされず、その奥底にある本当の心の叫びをとらえることの大切さを学ぶこともできる。

 べてるの家のメンバーたちは、この講座を日本各地で、その地域の精神疾患に悩む当時者や家族、支援者とともに開催している。今日は東京、明日は千葉、神奈川、そして次の週は広島、九州、沖縄という具合に、飛び回っている。そして、その地域でも当事者研究を行うグループができ、根付いている。精神科クリニックのデイケアに取り入れられているところもある。

 この動きは日本国内だけにとどまらない。2011年には韓国へ、そして今年はアメリカへも遠征した。

 各国での出会いもまた、彼らの「回復」を助けているに違いない。

 当事者研究は、べてるの家の大きな特徴だが、それだけではないたくさんの魅力が、べてるにはある。「幻覚&妄想大会」、「べてるまつり」、当時者たちが「一人1起業」したり……それはまたの機会にご紹介したい。