多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

おしゃべり地球カフェ/米国 遠く離れて気付くこと

2012-05-11 10:40:01 | 多文化共生
(以下、四国新聞から転載)
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おしゃべり地球カフェ/米国 遠く離れて気付くこと

2012/05/11 09:34

 去年も桜の咲く季節に日本に帰ったんやけど、今年は寒かったようで、あんまり花見にならんかったのが残念でした。

 外国に永らく住んどると、こちらに合わせて愛想ように話してくれるタクシーの運転手さんや、改札口で迷う私に機嫌よう対応してくれる駅員さんは心底ありがたい。日本にチップ制度があったら、思わずはずんであげたいレベルのサービスの高さですわ。

 時期的に年度末やったけん、せわしなく働きよるトラックの運ちゃんやお店の人を見よると、日本の経済は、こういう人たちでもっとんやろうなあとつくづく思う。

 働くということに対して、ここまで皆がリズムを打ったように一生懸命になれるんは、世界じゅうどこ探しても日本しかない。ほんまに真面目な民族やと思います。

 もひとつ外国から戻ってきて感心するのは治安の良さ。電車の中に荷物用の棚があるのって日本だけやと思う。持ち主の手がすぐには届かん、あんな場所に荷物置いても大丈夫やなんて、何げないことやけどこれは世界に自慢できる。

 アメリカでもヨーロッパでも、今は移民が増え過ぎよんが社会的にも経済的にもよく問題になっとる。元からおった人の価値観と、今ごろ後から来よる外国人の価値観が違うんは当たり前。

 特にアメリカでは今、国民がみんな内向きになっとって、「アメリカ人の仕事を奪ったのは中国人」というレッテル貼りが顕著。普通の人は東京がどこにあるかも知らんくらいやけん、皮肉なことにキチンとした身なりをしてないと、私でも中国人に間違われて嫌げな顔されよる。

 アメリカの製造業が中国に奪われたんは事実やし、それも久しい。今ごろ嫌そうな顔をしたところで何になるん? 安さばっかり追求した結果がこれやんと思うんやけどなあ。

 アメリカは移民の国やけん仕方ないとしても、日本はちゃんとした伝統がある国。香川に帰るといっつもその変わらん姿に、ほんまホッとする。だからこそちゃんとしっかりして、大事なことは大事、ダメなことはダメと頑固なくらいに言ってもらいたい気がする。

 帰りの新幹線で降りてくるインド系家族がすれ違いざま、全員それぞれお辞儀してくれた。思わず和みつつも思った。

 「日本はこれでええんや」

 高松市出身、主婦 何安子

ハーグ条約加盟 子どもの人権に万全期せ

2012-05-11 10:39:34 | 多文化共生
(以下、福井新聞から転載)
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ハーグ条約加盟 子どもの人権に万全期せ

(2012年5月11日午前7時07分)


 グローバル化で日本人、外国人の往来が日常風景となり国際結婚も増えている。その一方で不幸にも破綻を迎える夫婦が少なくない。そんなとき夫婦の子どもはどうなっているのだろうか。その扱いを定めた「ハーグ条約」は原則として子どもを元の国に返し、その国の法律に従ってどちらの親が養育するかなどを決める国際ルールだ。

 87カ国が加盟し主要国(G8)では日本だけ未加盟だったが、政府は昨年5月に加盟を決め、先ごろ条約承認案と関連法案を閣議決定した。外務省は子どもの返還申し立てをめぐり国内外との調整に当たる「中央当局」準備を本格化させた。加盟を決めたからには国際離婚のさまざまなケースに対応できる態勢と細部に慎重な運用が求められる。

 外務省によると2011年末で米国、英国、カナダ、フランス4カ国から指摘された日本の子ども連れ去り事案は193件。加盟遅れの背景に離婚後も「共同親権」が主流の欧米と日本は事情が違うことや、連れ去り理由にDV被害を挙げる母親が目立ったことがあったという。

 条約の認知度は上がりつつあるが、日本が経験しなかった仕組みだけに不安は募る。現実の運用がどうなるか、破綻しそうな当事者はどんな準備をしておくべきか、夫婦の国籍によってどの国の法律に従うか、政府は詳しく説明してほしい。大使館や総領事館の役割も重要になる。返還手続きや現地の法制度に通じた職員をそろえるなど支援態勢に万全を期すべきである。

 条約に加盟したら、国際結婚の後、別居、離婚した日本人の親が無断で16歳未満の子どもを連れて帰国することはできなくなる。外国の配偶者から申し立てがあれば、中央当局が自治体や学校を通じて親子を捜し、東京か大阪の家庭裁判所で子どもの意見に配慮しながら返すかどうかを非公開で決めることになる。

 法案は要件次第で拒否できるとしている。子どもが心身に害を受けたり、耐えがたい状態に置かれる危険性がある場合は返還の義務を負わない。連れ帰って1年が経過し子どもが現在の環境に適応しているとか、子ども自身が返還を拒んでいることなども拒否理由となる。しかし外国の裁判では子どもの権利が不当な扱いを受けたり、異議申し立てがないがしろにされる例もある。加盟反対派は深刻な問題を積み残したままでは極めて危険と指摘している。ハーグ条約の不備を挙げる声も少なくない。

 DVや虐待は家裁の審理でそれを証明するのは連れ帰った親の責任だ。外国の配偶者が自分に有利な裁判にしようとDV事実を粉飾する恐れも考えられ、正当な評価が下されない可能性もある。相談を受けた大使館は裁判に向けた記録を正確に残し、本人にDV被害の診断書や地元警察での相談記録を残しておくようアドバイスが欠かせない。

 裁判になってから証拠を集めようにも困難であり、国が協力することはできない。子供の返還手続きはあくまで民事上の争いとなり、国ができる支援の限界と自力でやらねばならないことは当事者に整理して周知することが最低限必要だ。

日本に興味を持つ外国人と、韓国に興味を持つ外国人

2012-05-11 10:39:07 | 多文化共生
(以下、AdverTimesから転載)
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日本に興味を持つ外国人と、韓国に興味を持つ外国人

2012年05月11日 掲載
太田 英基(世界一周バックパッカー)

どうも、ベトナムで細菌性扁桃炎を発病し、敢え無く入院となった旅人です。
あと2カ月で帰国という時にやってしまいました。油断していたわけではないのですが…。
何はともあれ、今は退院して無事にベトナムを北上中です。

今回はちょっと旅の中で思ったことを皆さんにお伝えしたいと思います。

イランの首都テヘランにいた時でした。
街角で出逢った8割の人達は僕を見ると「あなたは日本人ですか?」と訊いてきて、その後に僕が「はい。日本人です」と返すと、明るい笑顔で「おお!ドラマの“おしん”観ていたよ!キャプテン翼観ていたよ!」と声を掛けてくれるんですね。日本人である自分に興味を持ってもらえるというのは旅先ですので嬉しく思えました。

日本や日本人に興味を持って、好きになってくれる人たちというのは、こういった身近なところから入ってくるものだと思いました。

正直、数十年前の政治外交的な歴史のことがパッと頭に浮かんできて、それを引っ張りだして「我々は友好国だ!君が日本人で嬉しい!」などと言う人はよほどのインテリか物好きな人でしょう。

一般大衆レベルでは、以前イランで大人気となって放送されていた「おしん」であり、「キャプテン翼」などのコンテンツが日本や日本人への興味のキッカケになっているのです。「おしん」などのドラマからは日本の生活や文化・伝統なども知ることができます。ちなみに世界中で幾つもの国で日本語を学ぶ人達に出逢いましたが、日本語を学ぶ人たちのキッカケで多いのは「アニメ・漫画が好きだから」という理由の人が圧倒的に多い印象です(東アジアは仕事面も強いと思いますが)。

さて、イランの街角で出逢った残りの2割の人達の話です。
彼らは僕を見ると「あなたは韓国人ですか?」と訊いてきて、その後に僕が「いいえ。日本人ですよ」と返すと、少しだけ残念そうな顔をするのでした。皆、10代から20代前半ぐらいの若者ばかりでした。皆、僕が韓国人であることを期待していた様子でした。
これはいったいなんだろう? そう考えていました。


イランのバス車内で僕に「韓国人ですか?」と訊いてきた青年たち。彼らは韓国ドラマ好きらしい。好青年たちでした!

イラン人の友達に聞いたところ、現在イランでは韓国ドラマが大流行しているのだそうです。
かつて、「おしん」が流行した時のように、現在では韓国ドラマが流行し、放送時間には騒がしい住宅地も静かになり皆テレビに釘付けになると言っていました。
「おしん」を知らないイランの若い世代にとって、東洋人というのは日本人ではなく、韓国人であるという認識が今後強くなっていくのでしょう。そして、韓国ドラマから韓国文化や韓国語にも興味を持ち始めるのでしょう。

20年後にイランを旅行したら、この8割と2割は逆転するのではないか?
ふと、そう思いました。

カンボジアの首都プノンペンにいた時でした。
カンボジアの大型ショッピングセンターに行った時ですが、家電量販店の店頭には韓国メーカーLGの大型液晶パネルが並んでいました。ズラリと。
そして、そのLGの液晶の中には光り輝く韓流アイドル達が踊っている映像が流れているのでした。
その画面の前に立って映像を眺めるカンボジアの若者が僕の目の前にいたことを鮮明に憶えています。

このように韓国は韓国ファンを増やしつつ、韓国製品のプロモーションも後押しするという素晴らしいサイクルが出来ているんだなと、旅中に国境を跨いで実感するのでした。
日本も経産省を中心に動き始めていると聞きますが、早く挽回しないと大変な手遅れになるのでは…と思っていたりします。

ただ、やはり日本のアニメコンテンツの強さは未だに圧倒的だと感じています。
大国インドでは「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」が大ヒット放送中です。
アニメはもちろんですが、ドラマや音楽コンテンツでも攻めていかねば! と思う次第なのでした。

「外国人ポイント制」に関心を寄せる外国人を取材しました。

2012-05-11 10:38:37 | 多文化共生
(以下、FNNから転載)
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「外国人ポイント制」に関心を寄せる外国人を取材しました。

「外国人ポイント制」は、いろいろな条件をクリアするごとにポイントを獲得でき、一定の点数に達すると、高度人材に進化し、優遇されるというものです。
日本の生産労働人口の減少への対応策の1つとして、今週からスタートしたこの制度に関心を寄せる外国人に密着取材しました。

恵比寿ガーデンプレイスに本社を置くIT企業で、日本人に交じり仕事をしているのは、中国人社員の蔡暁英さん(32)。
現在、大手携帯電話会社へのITサービスの企画・開発に携わっている。
蔡さんは「(なぜ日本の企業を選んだ?)中国の大学院を卒業して、もうちょっと違う文化とか、それを何か体験できればいいなと思って」と話した。
北京大学と並ぶ中国の超名門校・清華大学の大学院を卒業し、7年前に新卒として入社した蔡さんは、このまま、日本への永住も考えているという。
蔡さんは「仕事のできる範囲も広げますので、可能であれば、永住権をちょっと申し込んでみたいと思います」と話した。
そんな蔡さんが期待を寄せる制度がある。
今週から、東京や地方の入国管理局で、「外国人ポイント制」という制度が受け付けを開始した。
これは、ITエンジニア、大学の研究者、企業の経営者など、いわゆる高度人材として日本で働く外国人に、優遇措置を与える制度となっている。
学歴や年収などに応じて、点数を加算し、70ポイントに達すると、在留期間が3年から5年に延長されるほか、永住権の取得にかかる年数が、10年からおよそ5年へ短くなるなどの優遇措置を一括で受けることができる。
蔡さんは「外国人にとっては、結構、便利な制度だと思って。しかも、ちゃんとそういうポイントで、条件をはっきりして、計算しやすいし、それは結構いいと思います」と話した。
蔡さんの場合、学歴は修士号で20ポイント、職歴は5年以上の10ポイント、年収は500万円以上なので15ポイント、さらに年齢と資格などのポイント25をあわせて、優遇を受けられる70ポイントに達する。
ポイント制への申請を予定しているという蔡さんには、永住権や在留期間以外にもメリットがあるという。
蔡さんは「わたし、一人っ子なんで、それはやっぱり、両親に会いたいので。でも、仕事の関係で、なかなか時間がないので」と話した。
両親を日本に連れてくることや、配偶者が日本で働くことも可能になる。
蔡さんの同僚の外国人たちも、今回のポイント制に関心を寄せている。
中国人社員は「わたしの妻は今、主婦で、子どもの面倒もいろいろ見ているんですが、将来的に働くことも考えています。そこは、とてもやりやすくなると思いますね」と話した。
インド人社員は「申請してみたいなと思っています。それ(在留期間)が5年間になったら、うれしいなと思うんですけど」と語った。
今回のポイント制の背景にあるのは、生産労働人口の減少で、とりわけ将来にわたる高度な人材の確保で、年間2,000人ほどの受け入れが想定されている。
蔡さんの働く会社では、7年前から外国人の本格採用を始め、現在では中国にインド、ベトナムなど、外国人社員が2割を占める。
ドリーム・アーツの牧山公彦取締役は「われわれのお客様、業界のリーディングカンパニーで、各社さん、国際的な非常に厳しい競争にさらされている中で、日本人の脳みそだけだと、太刀打ちできないという時代に来ていると思いますね」と話した。
ヒートアップするグローバル人材競争。
すでにシンガポールや香港では、ポイント制が導入されている。
さらに同じく人口減少に悩む韓国は、日本では認められていない、海外からの単純労働者受け入れを始めており、製造業や農業などの分野で雇用が進む。
50年後には、現在の3分の2以下にまで減ると予想されている日本の人口。
各国の移民政策にくわしい専門家は、日本も単純労働者の受け入れが必要と指摘する。
移民情報機構の石原 進代表は「(単純労働者を)研修だとか、EPA(経済連携協定)みたいな形のね、制度を作って、横から入れようとしているわけですから、必要性はもう間違いなくあるし、だったら(国が)きちっとした形で制度を作って、総合的な受け入れ態勢をちゃんと整備して、それで入れるというほうが、やっぱりお互いにとってプラスじゃないかなと」と話した。
はたして、50年後の日本の姿は、どのように変わっているのか。

シングルマザー困窮…「雇ってもらえない」「保育園申し込めない」

2012-05-11 10:38:06 | ダイバーシティ
(以下、J-CASTから転載)
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シングルマザー困窮…「雇ってもらえない」「保育園申し込めない」
2012/5/ 7 15:25

去年離婚したゲストの山口もえ(タレント)が呟いた。「きょう呼んでもらった理由がわかりました」

中谷文彦アナが「シングルマザーは108万人と増加しています。これは死別も含めての数字で、ある日突然にシングルマザーは誰でも起こりうる事なんです」と、彼女らの困窮ぶりの実態を紹介した。
年収は一般世帯の半分以下で毎月赤字

シングルマザーで一番大変な事は生活費だ。おととし(2010年)離婚したゆきえさん(仮名・36歳)は長女(2歳)を抱えて現在失業中だ。「就職先で面接中にシングルだと言うと、『残業は無理ですよね』『休日出勤も無理でしょう』と言われて…。仕事をしたいので子供を保育園に入れたいのに、保育園は仕事をしていないと申し込む事ができないんです」

ゆきえさんの収入は児童扶養手当4万1500円と児童手当1万5000円の合計で5万6550円。支出は切り詰めても7万6000円かかり、月々2万円の赤字になる。「赤字分は結婚前からの貯金を取り崩しで凌いでいますが、すでに限界です」とため息をつく。

中谷アナが母子家庭の困窮ぶりを数字で示した。「日本全世帯の年収の平均は564万円ですが、シングルマザーではこの半分以下の212万円。児童手当などを除いて、実際に働いて得た就労年収は171万円にすぎません」

社内母子寮と保育所備えた老舗旅館「加賀屋」

そうしたシングルマザーの困窮を支援する取り組みも始まっている。神奈川県川崎市に3月(2012年)にオープンしたシングルマザー専用のシェアハウスでは、20~30代のシングルマザー5世帯が共同生活をしている。家事や子育てを協力し合えるので人気となっていて、家賃は6万5000~7万円に共益費2万5000円で8世帯まで入居可能だ。石川県和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」は職場から5分の所に独自に母子寮と社内保育園を作り、仲居たちが働きやすい環境を整えている。

(磯G)

[ひきこもり外来]理想の人間でなくていい

2012-05-11 10:35:05 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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[ひきこもり外来]理想の人間でなくていい

 社会とのかかわりを避けて家に閉じこもる「ひきこもり」の若者は全国で70万人にのぼると推計される。そうした人たちの社会復帰を支援しようと、精神科医の中垣内(なかがいと)正和さんは新潟市の精神科病院「佐潟荘(さがたそう)」で、ひきこもりに悩む人に的を絞ったユニークな外来診療を続けている。(加納昭彦)
考え方の偏り解消、社会へ扉

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ひきこもりの青年を診察する中垣内さん(新潟市の佐潟荘で)

 「人と話せるようになるきっかけをくれました」

 計10年間、ひきこもった経験のある新潟県のA男さん(37)は、佐潟荘で受けた治療について、そう話す。

 A男さんがひきこもるようになったのは20歳の時。大学に入学したのを機に一人暮らしを始めたが、友達ができずに外に出るのがだんだんおっくうになった。 深夜までテレビを見たり、インターネットをしたりして、昼過ぎに起きる生活が4年続いた。このままではまずいと、ホームセンターでレジ打ちのアルバイトをしたり、倉庫で品物の検査をする契約社員になったりしたが続かなかった。30歳で実家に戻ると、春と秋に農作業を手伝うほかは家に閉じこもった。「他人とかかわるのが怖かった」

 佐潟荘に通い始めたのは2011年3月。その日に入院を指示され、午前7時半に起き、午後9時にベッドに入る規則正しい生活が始まった。昼間はバドミントンなどのスポーツで汗を流した。週に1回、入院患者と課題を決めて話し合うミーティングも行った。

 正社員、高収入、やりがいのある仕事――。A男さんは中垣内さんの診察を受けるうちに、自分が偏った考えにとらわれていることに気づいた。「理想の人間でなくてもよい」という当たり前の現実を受け入れると、少しずつ人と話すのが苦でなくなった。同年の7月末に退院した。

 その後、コンピューターのソフトを作る職業訓練を半年ほど受講。今は仕事を探しながら、週に1回、外来に通っている。


 中垣内さんがひきこもり外来を始めたのは2001年。受診者は、学生時代の不登校から抜け出せない人や、職場での人間関係が原因となった20~30歳代の元会社員が多いという。

 外来では、まずうつ病など精神的な病気か見極め、必要があれば薬を処方する。このほか当事者が院内のロビーで同じ苦しみや悩みを分かち合う「居場所」や、親たちが情報交換したり、励まし合ったりする「親の会」を作り、治療に役立てている。

 これまでに受診した人は約200人。このうち5割が接客アルバイトなどで働き、4割が高卒認定資格を取得したり、自動車学校に通ったりした。全体でも7割が何らかの社会復帰を果たしたという。

 内閣府が10年に発表した調査で、ひきこもりの若者は全国に70万人と推計されたが、「ひきこもりに的を絞った精神科外来が全国に広がっているとは言い難い」(池田佳世・全国引きこもりKHJ親の会代表)のが現状だ。長野県の会社員男性(50)は月に1回、ひきこもりの長男(21)と佐潟荘に通っている。車で往復6時間かかるという。「こうした外来が全国に必要ではないか」と話す。

 中垣内さんは「ひきこもる人は精神的な疾患を患っているケースが多い。無理に外に出したり、しかりつけたりせずに、まずは精神科の医療機関を受診してほしい」と指摘。「医療機関の側も根気よく支援を続けてほしい」と話している。ひきこもりに的を絞った治療を行う主な精神科医療機関
・長信田(ながしだ)の森心療クリニック(秋田県三種町)
(電)0185・72・4133
・佐潟荘(新潟市)
(電)025・239・2135
・南池袋クリニック(東京都豊島区)
(電)03・5950・1881
・パティオちた(愛知県知多市)
(電)0562・56・7830


(2012年5月10日 読売新聞)

うつ病に“精神病”の烙印押す韓国、政策の大転換

2012-05-11 10:34:40 | ダイバーシティ
(以下、中央日報から転載)
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うつ病に“精神病”の烙印押す韓国、政策の大転換
2012年05月10日09時35分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

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国民の27.6%が生涯に一度は精神疾患を発病している。

今年中に軽いうつ病患者およそ110万人は法律上、精神病患者から除かれる。全体の精神疾患者577万人の20%に相当する。この場合、軽いうつ病があっても医師・薬剤師・栄養士・医療技師・操縦士などの専門職種に進出できる。民間保険にも加入しやすくなる。

保健福祉部の関係者は9日、「年内に精神保健法を改正し、幻聴・忘却など激しい精神病的な症状がある人だけを精神疾患者に分類することにした」とし「うつ病は先進国では誰もがかかる可能性がある‘心の風邪’と考えられるが、韓国では‘精神病’と見なされるので治療を避けるうえ、社会活動に深刻な制約を受けるため、法を改める方針」と述べた。また民間保険会社に対し、精神疾患者の加入を拒否した理由の立証を義務づけることにした。福祉部はこうした内容を含む総合対策を今月中に出す予定だ。

現在は精神疾患の範囲が広い。精神病に人格障害・アルコール中毒・薬物中毒などが含まれる。この範ちゅうに属する病気が400種類ほどある。最近急増している児童の注意欠陥多動性障害(ADHD)もここに含まれるほどだ。激しい精神分裂症も軽いうつ病も同じ「精神病者」に分類される。このために国家公務員法・医療法など77の法で精神疾患者の免許・資格取得と就職を制限している。

職場でも大きな支障が生じる。ソウルのある高校教師A(35、女性)は「子どもを殺したい」と話すほど激しい産後うつ病に苦しんだ。休職期間に完治したが、学校に噂が広まり、結局は学校をやめることになった。民間保険会社も精神疾患者の保険加入を拒否したり、保険金を支払わなかったりする。

こういう社会的な雰囲気のため、韓国の自殺率は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最高レベル(10万人当たり31.2%)である半面、精神疾患治療率(15.3%)は半分にもならない。これを受け、福祉部は幻聴、忘却、激しい気分障害、非論理的行動の持続的反復など主な重症精神疾患症状を見せる場合に限り、精神疾患者に分類する方針だ。また最近の有名芸能人に多いパニック障害、不安障害、不眠症などの精神疾患も重症患者だけを残し、ほとんどは法律上の精神疾患者から除くことにした。

ソウル大医大のキム・ユン教授(医療管理学)は「風邪に似た病気のうつ病はもう差別してはならない」とし「法改正をきっかけに精神科の治療を受けやすくなるように後続対策が出てくる必要がある」と述べた。