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多文化共生とは永続的なココロの営み

市営住宅入居に日本語条件

2011-03-03 10:20:38 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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ニュースUP:市営住宅入居に日本語条件=福井支局・幸長由子

 <おおさか発・プラスアルファ>

 ◇対話欠如の「門前払い」
 外国人の市営住宅への入居条件として、福井市が隣人とコミュニケーションが取れる程度の日常会話を求める要綱を設け、門前払いしていたことが昨年末明らかになった。窓口で申し込みの受け付け自体を断っていた。福井市はなぜ、グローバル化時代に逆行するような住宅政策を続けているのだろうか。

 ■ずさんな対応

 そもそも福井市は、入居を断った外国人は少なくとも1世帯とし、「名前も住所も国籍も不明で、話していたのも英語ではなかった」と曖昧な説明をした。あまりに粗雑な対応ではないかと思い、私は取材を深めた。すると、この1世帯は昨年5月ごろに訪れた中国人の男女で、中国語が分かる職員が窓口にいなかったため、市の通訳が呼ばれていたことが判明した。

 この中国人女性は「市営住宅の(入居)申請をしたい」と市住宅政策課の窓口で伝えた。しかし、職員から言われる。「日本語が話せないとコミュニケーションが取れず、お知らせも読めないから近所に迷惑をかける」

 同程度の会話力を持つ友人が既に市営住宅に入居していると訴えたが職員は聞き入れてくれず、「日本語を話せない人が住んでから苦情が出てきた。日本語が話せるようになってから申請してください」と断った。女性は「5、6年前に来日したが仕事が忙しく、日本語を勉強したいけどなかなか機会がない。教えてくれる人もいない」と通訳に語っていたという。

 別に、自前で通訳を伴った中国人女性の1世帯が受け付けを拒否され、後で日本語が話せる息子が来日、市に同行し、入居が認められていたことが分かった。

 同市の市営住宅入居者は昨年末現在1751世帯。うち外国人は中国人やフィリピン人ら74世帯がいる。市によると、要綱策定の検討は09年4月に始まり、当初案は外国人の入居条件にコミュニケーション能力は入っていなかった。しかし住宅政策課内で「外国人とのトラブルがある。何らかの対策を取れないか」との声が上がり、同年11月、「隣人とのコミュニケーションがとれる程度(日常会話ができる)の日本語が話せる者」を条件に盛り込んだ。当時、同課長だった森川清和・建設部建築事務所長は「トラブル防止のため、できることを考えた結果」としている。

 ■「トラブル」の実態

 要綱の作成時期と並行し、市は外国人と手を携えていく「多文化共生プラン」を全庁で検討していた。市国際室は住宅政策課に「要綱の文案は共生プランの趣旨にそぐわない」と忠告。しかし、昨年4月に制定した要綱は「日本語が話せる者」の部分を抜いただけで、日常会話能力を求める条件は変わっていなかった。

 では、外国人入居者が起こした「トラブル」とは何か。住宅政策課は、次の例をあげた。

 「2年ほど前、中国人が夜10時ごろから友人たちと宴会を開いてうるさかったことがある」「イスラム教徒とみられる住民の部屋で水漏れがあり、部屋に女性しかいなくて入れなかった」

 いずれも通訳や夫を呼んで解決したという。しかし、私が08~10年度の市営住宅のトラブルについて市に情報公開を求めたところ、111件のうち外国人関係はごみの出し方など3件だけだった。

 こうした外国人の入居条件は、滋賀県でも02年に問題化したことがある。県営住宅の要領で「日本語を日常会話に支障がない程度に使えること」と定めていた。抗議を受けた県は「国際化が急速に進展し、県内の外国人が増加しているなかで、現状にそぐわない」と判断し、「在留期間1年以上」などの外国人に関する項目も含めて要領から削除した。また、当初は窓口職員のために4カ国(ポルトガル、スペイン、韓国、中国)語の会話マニュアルを作成。現在は4カ国語訳の入居のしおりも用意し、さらにトラブルがあれば説明したい事柄を翻訳して持って行き、通訳も伴うなどの工夫もしている。

 ■知らせる工夫なく

 愛知県の公営住宅に住む外国人の生活状況について調査している同県立大教育福祉学部社会福祉学科の松宮朝准教授(社会学)によると、生活情報を翻訳したり、外国人住民も自治会役員として活動することで、日本人とのトラブルが激減した例があるという。

 福井市の市営住宅ではお知らせなどの掲示物は日本語。最近、ごみ集積場に英語、中国語、ポルトガル語を併記した。要綱の施行以前から暮らす中国人女性は「家賃が安いのが魅力」としながらも、「他の国から来た人たちから、何が書いてあるのかと聞かれることがある。読めないからルールが分からない人もいるのではないか」と話すのだった。

 市民団体「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」(事務局・東京)などが要綱の撤廃を求めたところ、市は2月10日付の文書で「外国人全般を排斥するものではない」としたうえで、「適正管理と外国人市民への居住支援を調和させるための必要な措置」「施策の進捗(しんちょく)やその成果の状況に応じて、今後検討を加えていきたい」と回答。現時点での撤廃を否定した。

 日本語で会話ができない外国人を、福井市は窓口で門前払いしてトラブルを回避しようとした。外国人の市民が増えるなか、問われているのはむしろ市のコミュニケーション能力ではないだろうか。私にはそう思えてならない。

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 ◇福井市営住宅入居事務取扱要綱(10年4月1日制定・施行)=抜粋(外国人)
第8条 申込者が外国人である場合は、次の第1号から第3号のいずれか各号に該当し、かつ第4号に該当する者であることを確認してから受け付けるものとする。

 (1)出入国管理及び難民認定法第22条2項の永住許可を受けた者

 (2)特別永住者 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法により定められた当該資格を有する者

 (3)外国人登録法に基づく登録者で、3年以上日本に居住できると市長が認める者

 (4)隣人とのコミュニケーションがとれる程度の日常会話ができる者

高崎まちづくり基本条例 市側、素案に固執 群馬

2011-03-03 10:19:58 | 多文化共生
(以下、産経新聞から転載)
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高崎まちづくり基本条例 市側、素案に固執 群馬
2011.3.3 01:36
 ■「外国人市民」で強硬姿勢

 外国人を「市民」と位置付ける「まちづくり基本条例」の制定を進めてきた高崎市(松浦幸雄市長)で2日、市議会の一般質問が行われた。質問に立った北村久瑩市議が外国人参政権容認を促す条例素案の問題点を指摘したのに対し、北嶋菊好市長公室長は修正作業を行わず素案のまま制定を目指す強硬姿勢に終始した。(森本充)

                   ◇

 条例素案では、市側は市民の反発を受けて、他の条例を従属させる「最高規範規定」を前文から削除したが、「この条例を最大限尊重し、及び遵守する」との条文を盛り込み、実質的に最高規範規定としている。

 北村市議は条文について、「この条例に反する過去の条例や規則が書き換えられ、自治体が将来にわたって(まちづくり基本条例の)内容に縛られる。拘束力を持っているのは問題だ」と指摘した。

 条例が施行された場合、素案で「別に条例で定める」とした住民投票条例も縛られ、市民と位置付けられた外国人が投票資格者に含まれる可能性もある。

 このため、北村市議は「外国人参政権が認められる。このまま制定されることになれば高崎市の将来に多大な禍根を残す。(市には)説明責任がある。どのように認識しているのか」とただした。

 これに対し、北嶋市長公室長は、一般公募で選んだ市民委員と職員プロジェクトチームがまとめた提言書について、「議論に議論を重ねて策定したものだ」と語気を強めた。

 続いて市民参加のシンポジウムやタウンミーティングを開催してきた経緯を説明し、「多くの意見を聞いて提言書に反映させた。市民委員が直接周知する活動を実施してきた」と主張した。

 市は開会中の議会に条例案を提出しないが、北嶋市長公室長は「条例について正しく理解してもらうように周知活動を行っていきたい」と強調。素案の再検討を行わず、あくまでも外国人を市民と位置付ける条例制定を目指す考えを示した。

定住外国人支える「生活講座」 同じ国の先輩講師が指導 /山形

2011-03-03 10:19:02 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【山形】から転載)
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追跡やまがた:定住外国人支える「生活講座」 同じ国の先輩講師が指導 /山形

 ◇「不安共有、理解も」
 全国で増え続ける定住外国人。県内の定住外国人も98年に4626人だったが10年には6523人に増えた。その多くが日本での常識や習慣が分からず生活に苦労している。内閣府は09年1月に教育・雇用対策を充実させる必要があるとして「定住外国人施策推進室」を設置したが、山形市国際交流協会はその10年以上前の98年9月から外国人による外国人の生活指導という先進的な取り組みを実施している。定住外国人を支え、地域に根付いてもらうために始まった「生活講座」を追った。【前田洋平】

 「山形に住み続けてもらうには、文法や発音より『生活の情報』を教えることが必要。外国人が必要な情報が何かを一番よく知っているのは、外国人たち」。国際交流協会の石山公亮事務次長(44)は昨年8月27日、東京都世田谷区の昭和女子大で開かれた「文化庁日本語教育大会」で、日本語教育に携わる全国の教員や自治体の国際交流担当者ら約500人を前に「生活講座」について発表した。

 「生活講座」は、外国人が山形で生活できるように「生活の情報」を伝える講座。中国人には中国人、韓国人には韓国人の在住歴の長い「先輩」外国人が教える。発表後、石山さんは日本語教育大会の出席者から「参考にさせてもらいたい」と声をかけられた。

 「同じ中国人から教えてもらえて不安を共有できたし、理解も深まった」と話すのは09年2月に中国大連市から移住した山形市下条町、アルバイト、高橋橙江(すみえ)さん(39)。会社員の正英さん(59)と結婚したが、橙江さんは日本語を全く話せない。外国人登録をした市役所の市民課で「生活講座」を勧められた。「夫は丁寧に日本語を教えてくれ協力してくれた。それでも国際郵便の出し方は知らなかった」と話す。「生活講座」のカリキュラムには「国際郵便の出し方」もあり、どこでどんな用紙を手に入れ、何をどこに書けばよいのか、実物の用紙を教わった。正英さんも「丁寧にお辞儀をすることなどを教えてもらったおかげで、アルバイト先でも日本人から受けが良く、役立っている」と話す。

 「生活講座」の講師で、テキスト製作にも携わった中国瀋陽市出身の荒井紅さんは「私たちに必要なことは案外日本人には分からない」と指摘する。「例えば『家に土足で上がらない』から教える必要がある。それほど、常識が違う」と言う。特に重要なのがごみ出しだという。「中国ではごみ袋も決められていないし、分別もしない。いつごみを出しても構わない。日本に来た中国人は分別の種類の多さにパニックになる。中国の感覚でごみを出し近くの住民ともめることも多い」と言う。生活講座ではごみ袋を見せて分別の仕方を教え、トラブルを防いでいる。

 日本語教育大会に石山さんを招いた文化庁国語課の山下隆史日本語教育専門職は「外国人を講師にするのは全国でもまれ。外国人が教える側に回ることで、地域に溶け込める。地域と外国人が寄り添うどころか密着している」と取り組みを評価する。

 「生活講座」は中国語、韓国語、英語がある。1回2時間の講座が15回で、受講料はテキスト代と合わせて計2000円。次の講座は5月から始まる。問い合わせは国際交流協会(023・647・2277)。