冬のあいだに降り積もった雪がどんどん解けていきます。
雪層の下部はひと冬ぶんの重みで氷結状態になっていますから、
そう簡単には解けないと思いきや、これもじつに難なく解けだし
てきました。
あれほど頑強に構えていた道路脇の雪壁も、すっかりへたって
情けない表情を見せています。
もうこうなれば、この先多少の雪降りがあっても、解けるスピード
のほうが早まって積もる心配はありません。
つまり、もう春なのです。
日当たりのよい斜面の雪が崩れ落ち、それから2~3日たって訪ねて
みると、早速2cmほどのフキノトウの赤ちゃんが顔を出していました。
今春の野の植物「初お目見え」です。
長い間、雪の下で準備万端してじっと出番を待っていたのです。
なんと、希望的なことでしょう。
若い時から芽吹きや新緑は好きだったのですが、それがこの齢になると
ある種の感動を覚えるようになりました。
また、自分は小さな子供と接する機会があるので、いつもその可愛
らしさに元気をもらっているのですが、最近はより小さな子、つまり
赤ちゃんのような誕生して間もない人に、可愛らしさとは違う不思議な
力強い感動を覚えるようになりました。
なぜそうなったのかわかりません。
誰もが年老いるとなる現象なのでしょうか。
もしかして、これは自分自身の残り時間に関係していることなのかと
思うのです。
意識の下で、発芽や芽吹き、誕生や更新、などに儚くも明るい未来を
感じているのかもしれません。
暗いニュースばかりの毎日ですが、フキノトウの赤ちゃんがそれを
吹き飛ばしてくれました。
コロナも収束しそうなので、やっと開放的な春を楽しめます。