森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

季節の変わり目

2021-04-28 | 日記


 毎年いまごろに、突然現れる花です。 
 なにげなく「あっ、また咲いてるな」と見過ごしていたのですが、今年はなぜか
 図鑑を開いてみました。
 「キクザキイチゲ」というそうです。
 四月の終わりの、樹々の芽吹き直前のわずかな間だけ咲いて、いつの間にか消え
 ていきます。
 地味な小さな花ですが、この時季の真白い花は眼をひきます。
 少しの風でもひらひら揺れて、なんとも弱々しいのですが、毎年この辺りに
 しっかりと顔をだします。
 やはり、野の花の強さをもっていますね。



 ひと気のない林の中に、スイセンがでていました。
 スイセンは球根の植物と知っいていたから、びっくり。
 そういえば、以前にも人家から遠い林のなかで、真っ赤なチューリップが一輪だけ
 咲いているのを見たことがあります。
 誰かが球根を運んだとしかおもえないのです。
 誰なんだろう?
 カラスのいたずらなのか、コンちゃんがオジサンをびっくりさせようとしているの
 か、いやいやコロポックルたちが落としていったのかもしれない。
 


 季節の変わり目には、いろいろな不思議なことがおこります。
 まだまだボンヤリしていて気が付かないことが、たくさんあるかもしれません。
 

楽しい季節

2021-04-21 | 日記


 今日は、つきぬけるような青空がひろがる、清々しい一日でした。
 
 すぐ近くでは、水芭蕉が順調に育っています。
 次々と新顔がでてきて、湿地の隙間を埋めるようにぎっしりと群れてきました。
 横津岳の雪も、上の方にわずかに残すだけとなり、麓の牧場の薄緑が観られま
 す。
 北国の春も本番です。



 分厚く重なった枯れ葉をつき破って、ひょっこり一輪だけカタクリがでてきま
 した。
 力強いけど、なんとも繊細でかわいらしい花です。
 地下の根っこがカタクリ粉になるとは、想像しにくいですね。
 


 コブシが今を盛りと咲き誇っていました。
 毎年、雪が解けて木々の芽吹きが始まる前に、いきなりパッと白い大きな花を
 つけるから「もうじき新緑がくるよ~」と知らせてくれているようです。
 
 この辺りのコブシはキタコブシで、花の蕾の先が北を指します。
 その昔、道に迷った人が、これを見て助かったという言い伝えがある、ありが
 たい花です。

 昨日は函館の五稜郭公園で、ソメイヨシノの開花宣言がありましたから、この
 森のヤマザクラもまもなく開花するでしょう。
 いよいよ楽しい季節がやってきました。


みんな の~んびり

2021-04-13 | 日記


 オオハクチョウがグループごとに飛び立っていくから、湖を見るたびに数が
 減っています。
 今まで小さくなっていたアオサギやダイサギが、岸辺をゆうゆうと歩き回るよ
 うになりました。
 ただ、サギ類は集団で行動しないらしく、いつでも一羽なので目立ちません。
 ハクチョウと違って、長いクチバシを持っているから、水中の小魚を狙います。
 
 少し前までこの辺りには、水辺の宝石といわれたカワセミやアカショウビンも
 いたのですが、ネットで拡散して、全国から大砲のような大きなカメラを持った
 人々が集まってきて大騒ぎになり、いつしか姿を見せなくなってしまいました。
 もう戻ってこないのでしょうか。



 カラスは営巣しているのか、とにかく活発です。
 真っ黒いだけだから、あまりよく見たことがなかったのですが、やはり利口な
 お顔ですね。
 街ではノラ猫とともに、ゴミ袋をあさる嫌われ者ですが、ここではゆったりと
 暮らしています。
 また、街のカラスは森のカラスより体が大きいです。
 やはり栄養状態がいいのでしょうね。



 コンチャンが草むらから道端へでてきて、ボーとしていました。
 人と同じく、桜が咲くまではエンジンがかからないのかな。
 それとも、雪がなくなって、食べ物も見つけられるようになったから安心した
 のかな。

 まだ虫たちの動きは静かです。
 人も生きものも、ひねもすのたりのたりです。


元気な花たち

2021-04-06 | 日記


 4月になってから、暖かい日が続いています。
 おかげで湖氷は完全に消え、地面の雪もほぼなくなりました。
 
 やはり最初に咲くのはクロッカスです。
 いきなりドッと咲くから、毎年のこととはいえ、嬉しいびっくりです。
 近くでは福寿草の方が早く咲く所もありますが、残念ながらこの森には福寿草
 はないのです。



 順番どおり、水芭蕉が顔をだしました。
 成長期の子どものような、若々しい細胞の塊です。
 
 最近になってわかったのですが、実はこの白い花びらが、花ではなく葉っぱが
 変形したものだというのです。
 それじゃあ花はどこにあるの?と、だれもが考えますよね。
 中央にある黄色の円柱が、小さな花の集まっている部分なのだそうです。
 
 いや~無知というか、先入観のおばけというか、植物の白や赤の部分は花であ
 ると、きめつけてしまっています。
 そういえば、クリスマスのポインセチアも赤い部分は葉っぱでしたね。
 まだまだ他にも、あるのでしょうね。



 意外なことに、水芭蕉の寿命は人間と同じく数十年もあるそうです。
 その間、毎年若々しく更新して、いきいきとした生涯をまっとうします。
 なんと力強い生き方でしょう。
 いやいや、きのこはもっと強そうです。何もないところに、アッという間に
 こんなふうに発生します。

 人もまた、そんな一生をおくれたらいいなぁ、と思いました。