森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

砂崎岬

2016-03-27 | 日記


 仕事が一段落したら海を見にいきます。
 この森から北に10キロ程走ると太平洋にでます。海岸に近づくにつれて気温が高く
なるから残雪は少なくなり、一足早く春を感じます。



 海岸で生まれ育ったせいなのか、潮風がDNAを呼び起こすようで、疲れやつまらな
い思考を吹き飛ばしてくれます。


 
 波の音、潮の香り、砂の文様、鳥たちの声、いつ来ても変わらない風景に浸って
元気をもらいます。




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彼岸

2016-03-21 | 日記


 お彼岸に入ってから、朝晩は小雪がちらつくものの、暖かい穏やかな日が続いて
います。



 湖面を覆っていた氷が割れたから、いよいよ解氷が始まります。うまくいけば今
月中に元の美しい水面戻るでしょう。また水鳥たちがやって来て
賑やかになるのが楽しみです。



 雪が解けだして、最初に緑を見せるのが笹です。何か月もの間重い雪に埋もれて
いても、枯れることも折れることもなく、元気にピョコンと顔を出します。やはり
しなやかなものは強いです。
 
 春の足音がすぐそこまで近づいています。       
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雪解け

2016-03-15 | 日記


 先週は、雪が降ったり止んだりのハッキリしないお天気が続いたのですが、週明
けの昨日は、久しぶりに雪のない一日でした。日中は陽が射して気温もプラスにな
り、小屋の前も懐かしい去年のままの土が顔を出しました。
 いよいよ、冬の終わりの雪解けが始まったようです。



 雪が全部無くなるには約一か月かかります。暫くの間はドロドロ道ですが、その
先に春が待っていると思うと明るい気分で過ごせます。
 冬の間「春になったら あれもしょうこれもしょう」と考えだけは膨らむのです
が、実際はその全部をやれる年はありません。
 それでも、こりずに「今年こそは」と張り切っているのです。


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襟巻

2016-03-09 | 日記
 「エリマキ」って言葉をあまり聞かなくなりました。
 今はマフラーとかストールなのでしょうか。でも、この雪の森には「襟巻」がピ
ッタリなのです。

 そのオバチャンは、冬になると狐の襟巻をしてやってきました。狐の顔はオバチ
ャンの太い首からダラリとぶら下がって、いつもこっちを見ていました。時には雪
を被っていることもあって、玄関を入ってから狐の頭をポンポン叩いて雪を落とし
ていました。それから、グニャと襟巻を掴み「かあさん いる?」と声をかけて、
中に入っていきました。

 暫くの間、家の中はオバチャンの大きな声が響きました。
 帰り際にはいつも「大人しくていい子だね 大きくなったら出世するよ」と言っ
てくれたのですが、結果は残念なものでした。

 立派なコートの後姿に狐の長い尻尾が垂れて、その先端だけが真っ白く、雪のよ
うにふわふわ揺れていました。
 今でもその時の狐の顔は鮮明に浮かんでくるのですが、オバチャンの顔は全く思
い出せません。
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異変

2016-03-04 | 日記
 釧路湿原にタンチョウで有名な村があります。
 一度行きたいと思っているのですが、なかなか機会がありません。
 一時は乱獲で絶滅が危惧されたのですが、村の人々は食べ物のない冬場に餌を与
えて、少しづつ生息数を回復させ、今では村の貴重な観光資源になっています。テ
レビでは、輸入品の餌を車で運んで大量にばら撒いているオジサンの姿が出ていま
した。

 ところが今年異変が起きたのです。タンチョウがいなくなったのです。
「こりゃ~ えらいことだ」と探し回って、近くの畑に全員移動しているのを見つ
けました。なんとそこには美味しい国産のコーンがあったのです。
 去年の秋の大嵐で倒れたコーンが、例年なら雪に埋まるのですが、今年は暖冬で
雪が少なく、そのままむき出しになっていたのです。
 人も含めて動物の行動は、ハッキリ決まっています。美味しい所へ行きます。

「けしからん連中だ 今までの苦労はどうしてくれる 鶴の恩返しはどうなってい
るのだ」と怒っているジイサンもいるでしょう。
「いや、もうすでに十分経済効果は出しているでしょう」とタンチョウは言ってい
るかもしれない。

 この先、異常気象も温暖化もどんどん進むから、これはしょっちゅう起こりうる
ことと思われます。そのたびに、お鶴様に美味しいものを与えて、タンチョウの争
奪戦をやるのでしょうか。やがてメタボになってまた絶滅へ向かう、同時に人間の
収入もなくなる、そんなふうにならなければいいのですが。
 
 人と野生動物との関わりは、面白くも悲しく、とても興味深いものがあります。


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