森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

空色

2021-12-31 | 日記


 この一週間あまり、北海道は厳しい寒波に見舞われています。
 特にこの森は標高が高いので一段と冷え込み、終日マイナス二桁の気温と
 なっています。
 それでも降雪は日本海側のようにひどくないので、助かっています。
 ただし、道路は完全にアイスバーンになっていますから、歩きも車も注意が
 必要です。

 森のモノトーンの世界で色を見せてくれるのは、空と生きものたちです。
 なぜかわかりませんが、寒い日の午後の空の色は淡い水色になります。
 パステルを指でこすってぼかしたような、あるいは水彩のそらいろを滲ませ
 たような優しい色調です。
 それが短い時間に目まぐるしく変化していくようすは、寒さも忘れて見入って
 しまいます。
 


 まもなく2021年が終了します。
 自分としては大きな病気がなかったことで、穏やかな一年だったと思います。
 コロナ禍ゆえにネットをフルに活用して、再び小さな学びができたこと。
 また、ごく小規模ながら新しい人的交流が始められたこと。
 いつも「生きてるだけで丸儲け」の地味な思想で過ごしていることを考えると、
 良い年だったかもしれません。
 いや、病気でご苦労されている方もいらっしゃるから、申し訳ないけど上出来
 といえるのでしょう。

 さあ来る年はどんな年なのでしょう。
 少し前までは、ワクチン接種に収束の希望の光を見出して、ぬか喜びしてい
 ました。
 しかし、今のオミクロンが終わってもさらに強烈な変異株が現れないとも限
 りません。
 どうやら来年もウイズコロナの生活が続くことは、間違いないようです。
 
 それじゃなくとも、もはや我々にとって明日が今日と同じ日である保証は
 まったくありません。
 なので、不安はあるけれど逆に少しでも良いコトやモノに出会ったときは、
 その分喜びも大きいものです。
 
 さあ、小さな楽しみをさがして、来年も生き抜きましょう。

 
 
 
 


 

冬至

2021-12-21 | 日記


 雪が毎日少しずつ降り積もって、どこもここも白いだけの景色になり
 ました。
 今冬は雪が遅くて、近くのスキー場がオープンできずに「開場延期」を
 出していましたが、これでもう大丈夫でしょう。

 明日22日は冬至です。
 その昔から、冬至には「冬至粥」を食べます。
 小豆とカボチャを煮て、砂糖と醤油で味付けします。
 カボチャは南瓜(ナンキン)で運(ウン)のンが二つもつくから、
 まことにありがたい運気を呼べるものです。
 そして小豆の赤は、邪気を祓うとされています。

 北海道では小豆もカボチャも豊富にありましたから、しっかり食べました。
 ただ違うのは、醤油を使わずに砂糖だけで味付けして、カボチャの入った
 「おしるこ」にしていました。
 これがまた美味しくて、子どもの時の楽しみでした。

 東北地方では冬至に「コンニャク」を食べる習慣もあったそうです。
 確かにこれもまたンがつきます。
 「コンニャクを食べると体に溜まった砂がでるよ」といったそうですが、
 それは北海道でも良くききました。
 
 また、冬至といえば「柚子湯」です。
 これに入れば、一冬の間カゼをひかないといわれていました。
 昔の北海道では柚子が入手し難かったので、ミカンの皮を捨てないで溜めて
 おいて、それを木綿の袋に入れて湯舟にドボンと落としていました。
 これもまた、子どもにとっては大きな楽しみでした。
 湯気に柑橘の香りが立って、なんともいい気持になったのを覚えています。



 冬至が終わるとすぐにクリスマスです。
 子どものころの記憶は、しっかり覚えていることと、まったく忘れてしまった
 ことが混在して、まだら模様になっています。
 サンタさんを信じていたような、いないような、まだサンタさんが日本にきて
 いなかったような、よくわかりません。
 遠い昔のことは、ボーと霞がかかっているようです。


 

 
 

雪紫陽花

2021-12-13 | 日記


 昨日までの一週間はよいお天気の日が続きました。
 気温はじょじょに下がってはいるものの、陽射しがあるからちょっと歩くと
 体が暖かくなります。
 なので、ついつい遠出になってしまいます。
 
 北海道といえば針葉樹林をイメージする人が多いのですが、この辺りの森は
 東北地方とほぼ同じ落葉広葉樹林です。
 たまにトドマツなどの常緑針葉樹が見られますが、ほんのわずかです。
 この道も元気なのはササの葉だけ、樹木はすべてスカスカの枝になっています。
 でもそれがまた楽しい道南の風景です。



 今朝はいよいよドカンと根雪らしきものがやってきました。
 なにもかもが一夜にして真っ白な雪の覆われて、昨日見た景色は嘘のようです。
 
 一個だけ落ちないでがんばっていた紫陽花に雪が積もって、雪玉のように
 なっていました。
 紫陽花の花弁を指で触ってみたのですが、カサカサのドライフラワーには
 なっていなくて、厚みがありしっとりした質感でした。
 まだ生きてるのでしょうか。
 その昔から、雪ツバキや雪モミジなどは「いとおかし」なのでしょうが、
 雪紫陽花には「強さ」を感じました。
 なんとも北海道的です。

 まるで回り舞台のように一瞬にしてすべて変わってしまう風景、しかしそれが
 あたりまえになっている自分たちが不思議です。
 もはや森の生きものたちと同じ、自然の一部になっているのかもしれません。

 カラマツの枝からバサッと雪が落ちて、あわててよけました。
 クマゲラが「キーッ キーッ キーッ」と大きな声で鳴きながら飛んでいき
 ました。




 
 

 

冬本番

2021-12-05 | 日記


 駒ケ岳が冠雪して、本格的な冬がやってきました。
 冬景色を探して湖畔道を歩くと、浅い沼や湿地に薄氷が張っていました。
 師走ともなれば当然のことですが、やはり氷を見ると「今年も来たな!」と
 気持ちが引き締まります。



 明後日12月7日は二十四節気で「大雪」です。
 その名のとおり、昔は全国的に山岳部ばかりではなく平野にも雪が降った
 そうです。
 また、魳(かます)など冬の魚の漁が盛んになる時季とのことです。
 確かに寒くなると、さっぱりした魳の干物を想い出します。
 冬の魚では、寒ブリもいいですね。
 そういえば、冬のハタハタは、今でもとれているのでしょうか。
 あのプリッとした食感がなんとも美味でした。麹で漬けて飯寿司にしても
 よかったです。



 また、「大雪」のころにはクマが冬眠に入り、南天の実が赤く色付く
 とのことです。
 しかし、最近のクマはずいぶん冬眠が遅くなっているようです。
 羅臼の方では、今も人家にクマが入り込んで危険な状態になっていま
 すから。

 さあ!これからが冬本番。
 次のドカ雪が根雪になるでしょう。
 しかし、まずこの師走を元気に乗り切りきって、体が冬に慣れてしまえば
 もう後は楽なもの、そして歳が明ければ春は近いのです。
 新年をみんなで、そして笑顔で、迎えましょう。