森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

秋晴れ

2020-09-22 | 日記


 この三日間、晴れの日が続いています。
 こんなにすばらしいお天気は、今秋になってから初めてのことです。
 久しぶりに見る空は「こんなに青かったんだ」と驚くほどです。
 
 花たちはまだまだ元気いっぱいです。



 昨日は「けーろーの日」でした。
 ものの本によれば「多年にわたり、社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝
 うために敬老の日を定める」とあります。
 いや~なんとも、こそばいことです。
 ちなみに、制定当初は「としよりの日」だったとのこと。
 だれが、なぜ変えたのか分からないそうですが、「けーろーの日」よりは良かっ
 たと思います。分かりやすくて。

 今は街でも村でもどこへ行っても、としよりが溢れ若者の姿を見ることは、めっ
 たにありません。
 実際の数字を見ても、65歳以上の高齢者より、子どものほうが遙かに少ないの
 です。
 さらに核家族化によって、ジジババのいる家庭は減少しているから、学校が終わ
 るまでとしよりと喋ったことがない若者が大勢います。
 まあ、喋ったところでなにもないけど、としよりを怖がる子がいるのは、困りも
 のです。

 だったら、いっそ「若者の日」をつくったらどうでしょう。
 いや、今までなかったのがおかしいです。父の日、母の日、子どもの日、がある
 のに。
 そして若者に感謝し、黄色い羽募金をして支援もいたしましょう。
 それが日本のとしよりの歩む、美しい道と考えます。



 秋が深まって、景色が落ち着いてきました。
 しかし、この秋晴もどうやら今日でおしまいのようです。
 予報ではまた暫くの間、くもり雨が続くそうです。
 本州には台風も近づいています。
 気を付けましょう。


コロナの秋

2020-09-15 | 日記


 9月も半ばになりました。
 ここ数日は暴風雨に雷も鳴り、多くの老木が倒れました。
 自分の車にも折れた枝が当たったらしく、ボンネットがポコッとへこんでいました。
 
 久しぶりに大沼の道を歩いてみましたが、ほとんど人はいません。
 これじゃ、観光関連の人々は苦労されているのでしょう。来週は4連休だから、いく
 らかでも人出があるといいですね。



 テレビではクラスターの発生源が「夜の街の関係者」とか「接待をともなうサービス」
 であると報道されて、悪者扱いされているけれど、山奥人にはこれがどんな所かよく分
 からないけれど、気の毒な気がします。みんな生きるために働いているのでしょうから。

 スペイン風邪のときは終息に三年かかっています。コロナはあと一年といわれています
 から合計一年半で終息となるのでしょう。医学が進んでいるから、死者も少なくなって
 います。
 残る1年で、感染の中の生活や、終息後の準備を考えなければ、無駄な時間を過ごした
 ことになります。というのも、ウイルス感染の専門家が「今の野生動物を取り巻く環境
 を考えると、今回のようなことは10年に一度おこってもおかしくない」というのです。
 自分でも生きてるうちに、もう一回や二回ありそうな気がしてなりません。

 今回のことで、日本にはマスクも防護服も医療機器もろくにないことが露呈して、ビッ
 クリしました。多少高くついても国内メーカーを育成しなければ、この先危険です。
 また、報道もきちんとやらなければ。感染が少ないのは「日本の民度が高い」とか
 「日本の奇跡」だとかまたぞろ、神話を作ろうとしています。実際はインド以外のアジ
 ア諸国の中では最悪レベルなのです。
 本家本元の中国が公表(?)感染者約8万5千人、日本は約7万5千人ですから間もな
 アジアで一位になります。これが向こう一年間続くとなると、欧米のありさまをを遠い
 国のことして見てはいられなくなります。
 「知らしむべからず 由らしむべし」の伝統は、インターネットの時代にはもはや通用
 しなくなったのです。



 コロナが終息したら、社会が久しぶりに良くなるような気がしています。
 なにしろ、75年ぶりの外来ショックですから。


砂崎

2020-09-08 | 日記


 街で用事を済ませてから、いつもの道を通らずに遠回りして、砂崎によって帰るこ
 とにしました。
 砂崎は森町では珍しい砂浜の海岸で、噴火湾にチョコンと突き出ています。
 岬には灯台以外に建造物はなく、手つかずの自然が残っている稀少な場所です。
 
 ここにきた目的は「もしやシーグラスが落ちてはいまいか」と考えたのです。
 それはこのところ、自分の生業の石削りの他に、街でシーグラスクラフトのお手伝
 いをしているからです。
 「いい形と色のシーグラスが拾えないかな」と期待に満ちていました。

 佐原岳を望む細い道を、丈の高い草木をかき分けるようにして進みます。
 もう、周辺の何もかもがすっかり秋色です。
 道はだんだん細くなり、海岸にたどり着くにはちょっと難儀です。
 しかし、これがかえって、ここの自然を守れている要因なのでしょう。



 このところ続いた大雨で大きな水溜まりができていました。私のオンボロ車では通
 れません。勢いつけて渡ったところで、帰りは恐怖です。
 しかし、海岸はもうすぐ、車を停めて歩くことにしました。



 霧雨のなかとはいえ、すばらしい砂浜が眼前に広がっていました。
 もちろん人影はなく、足跡さえもまったくありません。
 向こうに霞んで見えるのは佐原の街です。
 小さな波音とカモメの声のなかを、下を向いて探し始めました。
 これをやりだすと、なぜかなにも考えられなくなります。思考回路がプッツンする
 のです。
 しかし僅か30分ほど探したところで、霧雨が小雨になって至福の時間は終
 了、残念ながらシーグラスを見つけることはできませんでした。
 晴れた日にもう一度こなくちゃ。



 群生するハマナスの花が終わって赤い実をつけていました。
    
  「潮かをる 北の浜辺の 砂のかの 浜薔薇(ハマナス)よ 今年も咲けるや」   
                                      啄木

 石川啄木さんは函館の大森浜でこの歌を詠みました。しかし今の大森浜には野生のハマ
 ナスは一本もありません。
 ところが、シーグラスはたくさんあります。「えっ!もしやハマナスがシーグラスに」
 いやいや、考え過ぎは、体に悪い。

 ハマナスかおる砂埼の自然、今の日本では稀少です。みんなで守らねば。
 なにしろ、今世紀末までに日本の9割の沿岸で、砂浜の面積が半分になり、6割が完全
 に消える(NHKニュース)そうです。原因は人為的なことと温暖化とのこと。

 シロヨモギが静かに咲いていました。


 
 
 
 
 
 
  




 
 
 
 

凾館公園

2020-09-01 | 日記


 久ぶりに函館公園を訪れました。
 函館山の山麓の住宅街の中にあって、それほど広いとはいえない起伏のある園内に
 は動物園や子どもたちの遊べる施設もあります。
 嬉しいのは、大切に保存されているレトロで美しい洋館が、そこここに点在してい
 ていて函館の往時を偲ぶことができます。
 そのひとつが函館博物館です。



 今回来たのは、博物館企画展「津軽海峡北岸の縄文遺跡」を観るためでした。
 開館を待って入ったから、貴重な展示をゆっくりと堪能することができました。
 道南の大船や垣ノ島、鷲ノ木など、多数の遺跡からの出土品がかなりのボリュ
 ームで展示されています。
 特に注目したのは、道南には少ないといわれている土偶が多数出展されてい
 て、それらは小さいながらも楽しいデザインが施されていました。
 また、新潟糸魚川(姫川)産のヒスイ勾玉もいくつかあって、当時の集落間の
 交流を表しています。

 一方で「津軽海峡北岸」と限定しているとはいえ、青森側の遺跡、例えば三内
 丸山や是川のものもいくらかはあるのかな、と期待していました。
 しかし、残念ながらそちらはありませんでした。
 今は、博物館どうしの貸し借りや移動は大変難しいとききます。



 同時開催はこの博物館収蔵資料による「昭和・なつかし暮らし展」でした。
 こちらは古代とはガラリと変わって昭和の生活道具、家電、おもちゃ、レ
 トロ雑貨などがギッシリと並んでいました。
 手回し絞り器付きの電気洗濯機や、モノクロテレビ、木製のラジオなど、
 今でも自分の小屋で使っているものもありました。
 あの頃の道具から一気に当時の生活を想い出し、しばし古き懐かしき時代
 にひたることができました。

 観終わって出ようとした時、なぜか振り返ってしまいました。
 そこでハタと気が付いたのです「もしやこの空間で一番レトロなのは自分
 なのではないか」と。
 それなら自分は「博物館」化しているのだろうかと。



 外へ出ると、すでに公園も秋のけはいが漂っていました。
 いつきても、あの頃とかわらない函館風景に出会えるのは、もうここだけか
 もしれません。