森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

越冬キャベツ

2024-02-22 | 日記


 今年は暖かい冬、などと油断していたら、この数日グッと
冷え込んできました。
まるで、ちょっと持ち上げてからいきなり落とされたようで、
その落差の大きいぶんだけ老体にはこたえます。
それでも雪が少ないので、動くには楽ですが道路は完全に
アイスバーンになっています。
いつもなら3月に入ってからこのような三寒四温といった気候
になるのですが、今年は半月も早くきたようです。
そのぶん3月は早く暖かくなるのかもしれません。
期待してしまいます。

 内地では今は春キャベツの時期です。
春キャベツは独特の丸みがあって、フワッと軟らかく巻かれて
います。
葉は中のほうまで緑色で柔らかく、甘味があります。
ですから、新玉ねぎと同じく春キャベツの出るのを楽しみに
待っている人も多いです。
北海道の今は流通が進んだおかげで、もちろん春キャベツは
ありますが、スーパーなどの店頭に並んでいるものの多くは
「越冬キャベツ」です。
内地の人が聞いたら「なにそれ!」といったところでしょうが、
じつはこれが北海道の偶然の産物なのです。

 聞くところによると、半世紀ほど前に北海道の内陸の町で、
秋に収穫したキャベツを回収し忘れてそのまま放置していた
ところ、その上に大雪が降りそのまま埋もれてしまった
そうです。
春になってから、その場所の雪を偶然にも掘り起こすと
青々とした新鮮キャベツが現れたのです。
そりゃ~みんな、たまげた~のであります。
いくら雪が深く気温が下がっても、その下の地面は
0℃付近を保ち、この状態ではキャベツは凍ることなく、
腐ることもなく、かえって甘味が増すのがわかりました。
つまり、天然の氷室になっていたのです。

 越冬キャベツは葉の重なりが密でずっしりと重く、
いかにも雪の重さに耐えてきた感じがします。
葉は少々硬いですが自分としては好みです。
値段は春キャベツより安いので庶民の味方といった
ところでしょうか。
それにしても、冬場に青物野菜のない北海道人にとっては、
ほんとうにありがたい物忘れと偶然でした。
物忘れといえば、認知症が社会問題にまでなっていますが、
弊害ばかりではなく、社会に良い影響を与えている一面も
あるのではないかと思うのですがどうでしょう。
いや、そうありたいです。













 











遺跡

2024-02-11 | 日記


 ありがたいことに、今月に入ってからも、暖かい日が続いて
います。
積雪も例年の半分ぐらいでしょうか、とはいってもこの森は
標高が高く、それなりにしっかり積もってはいますが。
 
 今日11日は建国記念日とのことです。
日本の建国っていつのことかと思っている人は多いのでしょう。
紀元前660年の今日、神武天皇が即位されたのです。
日本書紀にそう書かれているそうですが、それは日本書紀が
書かれた千年以上も前のことですから、ほんとうのことは
わかりません。
紀元前660年といえば今から2684年前で、ホモサピエンスの
青年期といわれ世界中で精神文化が沸き上がったころです。
日本ではちょうど縄文時代から弥生時代への移行期です。
列島に渡来人がドッと押し寄せてきて、さまざまな技術とともに
富の蓄積と戦いを持ち込みました。
それ以降この列島は騒乱の列島となり、現代に続いています。

 弥生時代から古墳時代にかけてのことは、誰もよくわかり
ません。
神武天皇が実在していたのかも、女帝卑弥呼や壱与がだれで
どんな人だったかなども、なにもわかりません。
というのも、このころの重要遺跡や重要古墳は一切調査に入れ
ませんし、また資料の公開もありません。
ですから、弥生時代が始まって大和政権(昔は大和朝廷)の
できるまでの何世紀かは、考古学も歴史学も神代の話もぜんぶ
ごちゃまぜの曖昧な世界となっています。
しかしそのことは、すべてにおいてものごとをハッキリさせ
たくない気質の日本人に、一種のロマンを与えているようです。

 みんな楽しければそれでいいのですが、なかにはそれに失望
して海外を拠点を移し考古学、歴史学を学ぶ若い研究者も多い
ようです。
何世紀かすれば日本も変わるかもしれませんが、それがみんなの
幸せに繋がるかどうかはまた別の話ですね。

 この森の近くには縄文遺跡がたくさんあります。
縄文遺跡は国の規制がかからず、今のところ自由に研究ができます。
縄文人に感謝しながら、残りわずかな冬を楽しんでいます。