森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

ボ~ッと過ごす

2022-04-28 | 日記


 今週も暖かい日が続いています。
 おかげで、梅も桜もスイセンもみんな一緒に咲きました。
 わずか一ヶ月前はまだ雪が残っていて、モノトーンの中にやっと小さな
 緑が顔をだしただけだったのに、今はもう色とりどりの花の森になって
 います。
 眼に飛び込んでくる花の色は、変に落ち着いてしまった人の心をウキウキ
 させてくれます。
 あらためて、春の花の力の大きさを感じました。
 


 いよいよ今週末からゴールデンウィークが始まります。
 明日29日は「昭和の日」だそうです。
 自分もそうですがほとんどの人は、どんな祝日なのか知らないのでしょう。
 この際調べてみると、前は「みどりの日」でその前は「昭和天皇のお誕生日」
 なのだそうです。
 自分はなにもわからないままに、ボ~ッと生きてきたことがわかりました。
 なんとなさけないことか。

 「昭和」といえば、戦争に明け暮れ、そして疫病が流行った時代でした。
 そして今またロシア戦争とコロナ禍の時代です。
 つまりこの百年間、人は同じことをくり返していただけのようです。
 自分自身のことを考えても「カムカムエブリバディ」に感涙しましたし、
 秋元順子さんの昭和っぽい歌がしっくりくることを考えると、精神性は
 あのころとなにも変わっていないようです。
 
 たぶんこの先の百年も、どんなに科学や医学が発展し、たとえ人類が地球に
 住めなくなって月や火星に移住したとしても、そこでまた戦争をやり、疫病
 が蔓延していくのでしょう。
 そして人々は地球時代のドラマや歌謡曲を懐かしむのでしょうね。
 人もまた動物であるから「攻撃性」を失うことはないと思いますが、そこは
 知恵でなんとかならないものでしょうか。



 この一か月はアッというまに過ぎていき、森の景色は一変しました。
 鳥たちの声も移ろって、今はウグイスが主役になっています。
 人々も力強く畑作業にせいをだしています。
 
 しかし、これといってなにもせずボ~ッとしているのもまた良し。
 それができるのも人間だけなのですから。



 
 


 
 
 
 
 
 

 
 
 

新茶とよもぎ餅

2022-04-20 | 日記


 キタコブシの蕾が開きはじめました。
 今年もいよいよ花盛りの森がスタートしました。
 カタクリも群生しています。



 花が咲き出すと、当然のことながら虫たちが一斉に動き出します。
 なんといっても、真っ先に活動するのがこの赤い蝶です。
 ちょっと変わった蝶で、もちろん花にはくるのですが、こんなふうに地べた
 にもとまります。
 しかも人懐っこいというか、好奇心旺盛というのかわかりませんが、人に
 くっついて飛び回ったりしますし、逆にこちらが近づいても逃げません。
 
 無知な私には名前はわかりませんし、蝶なのか蛾なのかもわかりませんが、
 この赤い子が飛び回ると「春がきた 春がきた あ~ほんとうの春がきた」
 とつぶやいてしまうのはなぜでしょう。



 今日、二十日は「穀雨」です。
 昔は節気など気にも留めなかったのですが、最近は温暖化のせいでしょうか
 この森にも当てはまることがかなりでてきました。
 
 「穀雨」とは「百穀を潤し、芽を出させる雨」ということで、この時季特に
 雨が多いわけではないのですが、菜種梅雨などとも言うそうです。
 「なたねつゆ」・・なんて風情のある名前なのでしょう。
 北国ではストーブをしまい、東日本では冬服を替えて、西日本ではフジの花
 が咲き始める季節で、立夏までの十五日間とのことです。
 
 この時季の食べものとしては、八十八夜の時期がふくまれることから、新し
 く摘み取られる「新茶」が不老長寿の縁起物として古来より珍重されている
 ようです。
 また薬草でもある「よもぎ」が旬なので、これを食するとさらに体に良い
 とのことです。
 ならば「新茶とよもぎ餅」・・・なんとすばらしい組み合わせなのでしょう。
 
 想いおこせばその昔、でっかい「よもぎ」の大福をよく食べました。
 最近、某有名菓子店で懐かしいよもぎ餅を見ましたが、あまりにも小さく
 お上品で、自分にはとうてい不似合いだったので買うのをやめました。
 時代なのでしょうか。
 


 山道を歩くと、道端に小さな可愛い野花が顔をだしています。
 ちゃんと名前を調べて呼んであげよう思いますが、花にしてみれば勝手に
 妙な名前をつけられて、ありがた迷惑なこともあるのかな、と考えたりも
 します。
     「山路来て 何やらゆかし すみれ草」   芭蕉
 
 いよいよ函館の五稜郭公園では今週末に、森町では来週半ばに桜の開花
 予想が伝えられました。
 桜が咲けば、今度は人が活発に動きだします。
 そして、だれもが心が穏やかに優しくなります。
  
     「顔に似ぬ 発句も出でよ 初桜」   芭蕉

 芭蕉さんの句は現代俳句と違って、シンプルで分かりやすく、我々無知な
 民にもよく伝わります。
 松尾さん、ありがとうございます。


 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

花の森がきた

2022-04-12 | 日記


 この数日、急に気温が上昇しています。
 今日も20℃を超えたようです。
 おかげで森はすっかり雪が解けて、この小屋の回りも北側に少し残る程度に
 なりました。
 近くの町を通ったのですが、道路はもちろん畑にも雪はまったく見られま
 せん。
 気温が高いせいか、ぼんやりした空気が漂っていました。

 駒ケ岳にはまだまだ雪が残っています。
 赤い屋根の建物は、この地区の一つの中学校と三つの小学校を統廃合して
 つくった小中一貫校です。
 ここで義務教育の九年間を同じ仲間で学べるのですから、楽しいことですね。
 今は全国的に子どもの数が減少し続けていますから、廃校のニュースは
 しょっちゅう聞きます。
 四校統合したこの学校においても、生徒数は百名を超えるほどのようです。
 この先、さらに他の学校も統合されてくるのかもしれませんね。
 しかし、逆に少人数で密度の高い教育ができるのであれば、それもまた
 良い結果といえます。
 お子たちの人生のいちばん大切な人格形成の時期を、この自然環境で過ご
 せるのはすばらしいことだと思います。



 たぶん今期最後のオオハクチョウ旅団だと思われます。
 本州のどこかの湖をシベリアへ向かって出発して、途中一休みしている
 ところです。
 ここに何日いるのかわかりませんが、できるだけ長くいてほしいもの
 です。
 白鳥の姿がまったく観られなくなると、湖はなんとも淋しくなり
 ますので。
 旅行は長い行程ですから、何度も休憩と食料補給をしながら飛行します。
 通常は目的地に到着するまで、20日~30日ほどかかるようです。
 今、ロシアは戦争の真っ最中ですが、シベリアあたりは影響がないので
 しょうね。
 戦争は一刻も早くやめてもらいたいです。


 
 オオハクチョウたちは帰っちゃったけれど、いっせいに花たちが咲き
 始めました。
 クロッカス、カタクリ・・・などなど、名前の知らない小さな花たちも、
 力強く去年の枯れ葉を押しのけて、笑顔を出してきました。
 


 花には人心を穏やかにする不思議な力があります。
 みんな争いごとをやめて、花を愛でましょう。
 

 
 
 
 

 
 
 

不安な春

2022-04-04 | 日記


 4月に入ってからは暖かい晴れ日が続いています。
 おかげで、道路はすっかり雪が消えて表面が乾いてきました。
 畑や平地も急速に雪解けがすすみ、もう数日で全面に土が現れそうです。
 北海道もやっと春らしい春になってきました。
 
 こうなると、すべてのコトやモノがの~んびり推移していきます。
 空も雲も生きものたちも、もちろん人間も、ひねもすのたりのたり、
 といったぐあいです。
 


 この辺りは酪農や野菜農家が多いので、畑の雪が消えたら待ってました
 とばかりに土おこしをします。
 いよいよ今期の生産活動が力強く開始されます。
 北海道では雪が降る時期が長いため、短期間に集中した大規模な機械化生産
 がおこなわれています。
 一方、最近はハウスを石油で温めて、本州と同じ品種の野菜が作られるように
 なってもいます。

 しかし、今年は農業者に大変なご苦労が予想されます。
 急激な石油価格の高騰は、農業機械の稼働やハウスの暖房に大きな経費負担を
 かけることが予想されます。
 また、肥料の素材もほとんどが輸入に頼っているとのことですから、こちらも
 値上げは必須のようです。

 いや大変といえば、すでに漁業者はもっとご苦労されていると聞きます。
 やはり燃料の高騰で、漁場までの往復経費が漁獲高に満たず、出漁するたびに
 赤字になるというのです。
 そのため、特にイカやサンマ漁は稼働していない船がかなりあるとのことです。
 少し前なら、内地に出稼にも行けたたのですが、今はコロナで無理です。
 さらにシャケ、マス、タラなどはロシアに頼っていたのですから、毎年おこな
 われる漁獲割り当て交渉も、どうなるのかまったくわかりません。

 第一次産業の人々には、ほとんどコロナ補償もありませんから、ここは国が
 考えてあげるしかありません。
 きっと、お金持ちの国だからなんとかしてくれるのでしょう。

 不安な要素ばかりの春ですが、明日は「晴明」です。
 春先の清らかで生き生きとした空気を、胸いっぱいに吸い込んで、気を取り直し
 ましょう。
 湿地では水芭蕉がいっせいに顔をだしました。
 場所によっては開花したようです。
 これからは楽しい花の季節が始まります。