森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

夏至

2015-06-27 | 日記


 あれよあれよという間に、夏至が過ぎました。
これから毎日、何十秒か分からないけど確実に日が短くなって
いくと思うと淋しくなります。
 でもここでは、七月八月が本当の夏、すべてが活動的になる
楽しい時節です。





「オッチャン、またこの辺りをウロウロしてるの?」

「ウオーキングだよ、ちょっと休んでいるのさ」

「暗くなる前に帰ったほうがいいよ、オッチャン年寄だから
 足元に気を付けてね」

「うん、ありがとう、コンチャンは足が四本あるからいいね」

「でも手がないからね、リスさんは手も足も利くから凄いよ」

「そうだね、羨ましいね」



「オッチャン、バイバイ」

「コンチャンまたね、バイバイ」








  動(yurugi)







 

初夏

2015-06-19 | 日記


 北海道に梅雨はありません。とはいってもこの時期はっきりしな
い曇り空が続きます。それでも大雨にならないのは助かります。
 日中は気温が上がっても、朝晩は涼しくなり、ストーブをつける
ことさえあります。



 陽が射すとチャンスとばかり洗濯です。洗い終わったら森の中に
大きく広げて干します。
 一日で乾く時も二日掛りのこともありますが、乾燥した衣類に、
独特の森の香りが染みついて、なんとも心地よいのです。それが
なんの香なのか、どこから来るのか、わかりません。





 生きもの達は子育ても一段落したらしく、食べ物の豊富なこの
時期が、一番のんびりしています。









 昨年は夏らしい夏が来ないまま、涼しく終わってしまいました。
今年はどんな夏なのか、短い夏だから期待してしまいます。


 動(yurugi)


 




六月の雪

2015-06-15 | 日記


 真っ白な小菊が陽に輝いて、六月の雪のようです。
この辺りのガイドブックで名前を調べると、ヒメジョオン、キク科、
痩せた土地でも群生するので別名「貧乏花」とのことです。

 そう言えば湖の対岸にある三角のスッキリした山は「貧乏山」
地図にも立派にこの名称で出ています。 
貧乏花、貧乏山、私は貧乏人、どうも貧乏の多い土地です。



 若いときは皆、お金持ちを夢見て頑張ります。長い間の努力が実り、
多少のお金を得て、周りから小金持ちと認められるようになります。
しかし、どうもお金だけでは心が満たされないことも分かってきます。

 でもそのまま満足顔さえしていれば、すぐに時間が過ぎて、上品な
ままポコンと墓穴に入れます。無事終了です。



 今年も約束通り貧乏花は美しく咲いて、貧乏山も変わらない綺麗な
姿を湖面に映します。
 人も貧乏でいい、貧乏心にならなければ。




2015-06-10 | 日記
 花の森から海へ向かいました。





 「オッチャン、森を出てどこへいくの?」
 「海、日本海だよ」

 「ニホンカイ・・・?」
 「そりゃぁ、広くて大きいんだよ」

 「へぇ~ 大沼よりも大きいのかなぁ~・・・?」





 行く先々も花盛りです。











 日本海に出ました。
波、かもめ、砂浜、 懐かしい潮の香を、口から、鼻から、皮膚から、めいっぱい吸い込んで
元気を貰いました。さあ、また、はりきっていこう。




 動(yurugi)








駅舎

2015-06-02 | 日記

 「無人駅」と言うと少し淋しい感じがします。

 ちょっと前には大勢の人々で賑わった場所だったのに、今は寂れて乗客が減り、合理化で無人に
なった駅。あの頃改札にはいつも優しい駅員が立っていて「おはよう」「おつかれさん」と声をかけあ
って手渡しで切符を受け取っていました。今は改札口の脇に小さなボール紙の箱が、画鋲で止めら
れていて乗客はその中に切符をポトンと落して出て行く、駅舎を出ると足元にはぺんぺん草が・・・
 一般的にはこんな風景を連想してしまいます。

 しかしこの駅はそんなイメージとは全く違います。


 大自然の中に小さな素朴な建物が二つあります。一つが駅舎、もう一つがトイレです。改札口も
なければ券売機もありません。最初から無人を想定して造ったのでしょうか。
 
 駅舎の大半は待合室になっていて、近くの小学校へ通う子供たちのギャラリーになっています。
素直で力強い絵を見ていると、明るい声が聞こえてくるようです。
 レトロな椅子に腰かけると、いきなり昭和に連れ戻されて、懐かしい想い出が頭を巡ります。
誰もいないのに、ここで一度も他人に会ったことがないのに、なぜか人の気配がするのです。


 
しばらく座ってボンヤリしていると、突然スピーカーから人間の声が流れてきて、ビックリ!
「列車が通過します。危険ですから線路内から出てください」でした。昔、自分も線路を歩いたこ
とがあります。一直線だから近いのです。今でも、どこの地でも同じ事をやるアホがいるのだと嬉
しくなりました。



 このトイレが昔の「厠かわや」の名残りがあって実にいいのです。内部は清潔そのもの。誰もい
ない所で一生懸命清掃してくださる方に感謝です。
 今、日本中に増えている無人駅ですが、その一つ一つが個性的で土地の歴史と文化をギッシリ
詰めて皆を楽しませてくれるなら、無人駅巡りなどおきるかもしれません。