森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

雪解け順調

2022-03-28 | 日記


 順調に雪解けがすすんで、山にも久しぶりに雪のない道が現れました。
 いよいよ春本番です。

 ツグミはクチバシで上手に落ち葉をひっくり返して、その下にいる虫や
 ミミズを食べます。
 見ているとその動きの素早いこと、クチバシの器用なことに驚かされます。
 ですから、地上の食べものの豊富なこの時期は、木の上に飛ぶよりも地面
 にいるほうが多いようです。
 そして、キュッキューと二声で鳴きます。
 この子たちは、去年の秋に遠くシベリアから来て越冬していたのですが、
 もうそろそろ戻るのでしょう。
 いっぱい食べていってね。



 ツグミは、かっては食用として大量に捕獲されていました。
 確かに都会には「野鳥レストラン」や「野鳥焼」などがあって、自分も
 食べに行ったことがあります。
 今はカスミ網が禁止になったことや、なによりも鳥インフルエンザが怖い
 ので、商売としては成り立たなくなったようです。
 
 想えばあのころの自分は、なんの考えもなく、ただ珍しいものやより美味
 しいものを求めてあっちこっちと出かけたものです。
 今はひたすら反省の日々です。



 老木の脇から若木がすくっと伸びてきて、もう何か月も雪で重々しく閉鎖
 されていた雪山が、明るい希望的な空間になりました。
 人もこれにつられて、長かった重い気分が徐々に軽くなっていくのが
 わかります。
 これだから、春が良いのです。

 コンチャンも、まわりをキョロキョロしながら、軽やかに歩いていました。
 まだ冬毛がモフモフで暖かそうです。
 食べものも少しずつ取れるようになったから、オジサンを見る眼も優しく
 なってきました。
 さあ、来週は4月です。
 本州は桜の季節ですが、森はまだ一か月先です。




 
 


 

 
 

自然は明るい

2022-03-21 | 日記


 このところ暖かい日が続いているものの、朝晩の冷え込みで雪が舞います。
 なかなか雨にはなってくれません。
 まさに三寒四温といったところです。
 そんなわけで、森の中はまだこんなに雪が積もっています。
 それでも春は春。そして今日は春分の日です。



 この一か月間、朝いちばんのニュースは戦争のこと。
 次は地震のニュース。
 それからコロナの現状。
 生活面ではガソリンをはじめとした、さまざまな物の値上げのこと。
 暗いニュースのオンパレードです。
 今日は、岸田さんがどこかの国へ行ったとか言っていましたが、なんのため
 に行ったのかまでは伝えていませんでした。
 
 そんな中で明るいニュースもありました。
 なんと年寄りに、お金をくれるというのです。
 そそっかしい私は、0を一つ間違えて5千円を5万円と勘違いして勝手に
 ルンルンになっていました。
 しかしいずれにしても、それはただのぬか喜びでした。

 考えてみれば、日本中いや世界中が苦難のさなかにある時に、目的のないお
 金をくれるなんて怪しいことです。
 しかも、5千円一回きりだと米と味噌を買ったらおしまいです。
 バラ撒くならしっかり印刷して、でっかくやってほしいものです。
 どうせ、借金に麻痺した人たちがやるのですから。
 
 
 湖畔へ降りていくと、湖氷がかなり融けていました。
 自然はそんな暗い人間社会とは無関係に、明るい陽光が融けだした氷の粒に輝き、
 いつも通りに希望を与えてくれました。
 あちらこちらでフキノトウが、元気な笑顔を出していました。
 「人間は賢いけれども、愚かな一面もあるのだね」と笑っているようでした。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

元気をもらおう

2022-03-14 | 日記


 湖氷上にあった雪山が、日中のプラス気温ですっかりヘタッてしまって、
 情けない形になりました。
 湖面全体も、やわらかいシャーベット状になっていましたから、あと十日
 もすればすべて融解するでしょう。

 岸辺では植物たちが、いきいきと活動をはじめました。
 


 周辺の山の雪解け水を、湖へ流し込む小さな川の淵に、フキノトウがひとつ
 だけ現れました。今春の第一号です。
 しかし、まだ雪が深くて近くには寄れません。
 一週間ほど待てば、たくさん出てきますし、雪もかなり解けるので一ケいただ
 くつもりです。
 毎年ここの清流でとれたフキノトウで作るフキ味噌を、炊き立てご飯にのっけ
 て食べます。
 口の中が春の香りでいっぱいになって、春到来の実感が湧いてきます。
 これが、山奥で暮らす民の迎春の儀式なのです。 地味ですが。



 去年から根雪に埋もれていたササの葉が、何か月ぶりかで姿を現しました。
 少し枯れていますが元気いっぱいです。
 あの分厚い雪の荷重に押し曲げられ、しかも日光は遮断されているのに、
 決して負けません。
 雪が薄くなるとピョコンと元に戻って、何ごともなかったかようにすぐに緑を
 増やしていきます。
 こんなササのしなやかさと力強さは、年老いた人々に元気と勇気を与えてくれ
 ます。

 雪を割って、名前の知らない植物がどんどん出てきます。
 なんと力強いのでしょうか。
 
 これからの森は、自分のイーハトヴなのです。




 
 


 


 
 

春を探して

2022-03-06 | 日記


 春がやってきました。
 まだ時々はボタ雪がふるものの、日中は暖かい日が続いています。
 とはいえ、朝晩はグッと冷え込みますから、昼間に解けた雪が夕方から凍りだし
 翌朝の道路はツルツルの危険な状態になります。
 人も車も要注意です。

 遠くの山々が真っ白からまだら模様になってきました。
 山の雪は5月まで無くなりませんが、徐々に薄くなってさなざまな雪形をつ
 くってくれます。

 そして、3月に入ると急に森の生きものたちがに動き出します。
 いよいよ、ガンやカモたちの北帰行が近づいてきました。
 カモの中には渡らないものもいますが、ここではほとんどが旅立っていきます。
 


 ガンは一時期乱獲によってほぼ絶滅したのですが、保護法ができてから再び
 数を増やしています。
 一度増えてしまえば、ここでは安心です。
 国定公園内なので、撃たれる心配はありません。

 ガン、カモたちがいなくなって、次にオオハクチョウがいなくなったら、
 淋しい湖になります。 春なのに。
 


 コンチャンが雪の上にお行儀よく座って、ボンヤリしていました。
 やはり人間と同じように、春になってホットしているのでしょう。
 キタキツネは雑食ですから、雪解けが始まると現れた地面から何かしら
 探し出して食料にします。
 もうじき、かわいい赤ちゃんを連れたお母さんも見られるでしょう。



 湿地の雪が解けてドロドロの水溜まりから、水芭蕉の小さな葉が顔を
 だしていました。
 冬の分厚い雪の下で、黙々と成長して出番を待っていたようです。
 なんと逞しいのでしょう。

 主要道路はアスファルトが出ていました。
 やっぱり、春が来たのです。