森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

廃のくに

2022-06-26 | 日記


 廃駅から三カ月たちました。
 駅舎からは駅名表示が外され、ホームには人が出入できないようにロープが
 はられていました。
 離れになっているトイレを借りようとしてドアを開けたのですが、当然の
 ことながらお掃除はまったくしていないので、床は虫だらけになっていま
 した。
 もともと無人駅ではあったのですが、駅前に住んでおられた方に駅舎と
 トイレの清掃が委託されていました。
 時々早朝に会うので、互いに「おはようございます お疲れさまです」と
 声を交わしたものです。
 今は虫とカラスだけになりました。
 
 その方が住んでいた駅前住宅も無人になって「売り物件」と書かれた
 赤い札が張り付けられていました。
 駅がなくなるとさまざまな変化がおこるのだな、となんとも淋しい気持ちに
 なりました。



 この辺りでは一度に三駅が廃駅となり、しかも代替バスは通りませんから
 車のない人や一人暮らしの人が列車に乗るには、9キロも離れた別の駅まで
 歩くことになります。
 それができなければ引っ越すしかありません。

 廃のつくものは駅ばかりではありません。
 先々月、今度は森町の小学校が一校廃校になりました。
 そして現在北海道全体では290もの廃村があるそうです(NHK)。
 全国規模では昨年の10月時点で、64万4千人の年間人口減少(総務省)
 とのことです。
 これはとんでもない数字で、北海道に当てはめると、わずか一年間で函館、
 北斗、室蘭、苫小牧、小樽の5市が完全に消滅したことになります。
 恐ろしいことです。

 かって世界をリードできる存在だったこの国が、どうしてこんなに衰退して
 しまったのか、その原因が良くわかりません。
 いや、本当はわかっていてもそれを言う人はいません。
 おりしも選挙たけなわで、候補者たちはこぞって「私が当選したならば 
 あれもやります これもやります バラ色の日本になります」と嘘っぽく
 叫んで笑顔をふりまきます。
 聴いてる方も嘘話と知りつつ、選挙が終わるまでの短い時間を儚い夢に
 浸ります。
 もしや日本をダメにしているのはこの人たちなのではないか、とさえ
 思ってしまいます。
 もともと日本の二院政は、参議院の役割などほとんどないのですから、
 廃院してもまったく支障はないといわれています。
 ましてや、議員一人に年間1億5千万円もの費用がかかるのですから、
 国民負担もたいへんなものです。もっとも「印刷すればいいんだ」と
 いうお偉いさんもいますが。
 
 廃駅、廃校、廃村、廃院・・・
 そんなことばかり考えて愚痴っていると、廃人になってしまいそうです。
 気をつけなくっちゃ。


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   

花の名前はむずかしい

2022-06-18 | 日記


 レンゲツツジの花が、一つだけ寂しげに残っていました。
 正確には黄色い種類はキレンゲツツジというそうです。
 赤い花の方は全部落ちて、今年のツツジは終了しました。
 北海道の夏は短くて、順序よく咲いていく花たちの移ろいのスピードが、
 やたらと速いのです。
 なにしろアッという間に涼しい風が吹き始めるのですから、その間に
 「咲いておかなくっちゃ」とばかりに忙しいのです。
 もちろん花だけではなく虫たちも、いや人間も同じです。
 みんな駆け足の夏です。



 この花は図鑑によるとヒオウギアヤメといって、花弁に虎斑文様がある
 のが特徴とのこと。
 なにしろアヤメ、ショウブ、カキツバタの違いなどド素人にはわかりま
 せん。
 ただ「あゝ 今年もこの子が咲いたな~ そんな時期なのだなぁ~」と
 移ろいを感じるのです。
 花の名前はなかなか覚えられません。
 でも、無知は無知のままのほうが幸せなのだと、どこかのオッサンが
 言っていました。
 下手に目覚めるとそれから苦労が始まるらしいのです。



 この黄色いアヤメ?は図鑑にもありません。
 虎斑はあるけど黄色なので、キヒオウギアヤメでいいのでしょうか。
 勝手に名前をつけちゃ、人としていけないのでしょうか。

 そういえば、その昔「いずれ アヤメか カキツバタ」とか
 「立てばシャクヤク 座れば牡丹 歩く姿はユリの花」などと謳って
 いた時代がありましたっけ。 想い出しました。
 もうぼんやり霞んだ遠い過去ですね。



 これはアカツメクサです。
 白いのもあって、そちらはシロツメクサです。
 覚えやすいです。
 この花に似たものでは、8月ごろからアザミが咲きだします。
 次々と楽しみが増えていきます。
 
 紫陽花のように白い花をつけて目立っているのが、カンボクです。
 5mはどの高い木にたくさん咲きます。
 これとまったく同じもので2~3mの木に咲くのもあるのですが、
 そちらはオオカメノキというのだそうです。
 葉っぱの形が少し違うのですが、それで名前が変わるのですから、
 とても覚えきれません。
 
 名前はわからなくても、どんどん咲いていく花たちから元気を
 もらって生きています。


 
 
 
 
 
 
 
 
 

涼しい夏がきた

2022-06-09 | 日記


 六月に入ってからは、わりと良いお天気が続いています。
 ただし気温は例年に比べて低めです。
 せっかく夏が来たのに、冷え込む朝晩は小さなストーブをつけています。
 でも森は期待どおりの花盛りになりました。

 タンポポは花を落とし、真っ白でフワフワな球体になりました。
 不思議な球です。
 これから風に吹かれて気ままな旅に出ます。
 「風に吹かれて」といえば真っ先に思い浮かぶのが、ボブ・ディランさんです。
 数年前にノーベル文学賞を受賞されたときは、だれもが驚きました。
 小説家ではない人が、受賞したこともそうですが、シンガーソングライターが
 受賞対象となることにもビックリしたものです。
 
 この方、若い時から一貫して戦争や差別を問題提起してきました。
 そしてそれを、あのしわがれた声でボソボソと歌い続けてきました。
 81歳の今もギター1本とハーモニカを携えて、まるで風に吹かれたタンポポの
 ようにフワーッと世界中を旅しています。
 しかも、行く先々の音楽ホールを常に超満員にするのですから、とにかく不思議な
 方です。
 毎年、タンポポが白球に変身するたびに、この人を想い出します。
 そして急いで家に戻って「風に吹かれて」や「ライク・ア・ローリングストーン」
 を聴くのであります。



 まだまだツツジが元気です。
 特に白いヤマツツジが長もちしています。
 ツツジに少し遅れて咲く、北国のレンゲツツジも満開になっています。
 大ぶりの真っ赤な派手な花は、かなり遠くからでも目を引きます。
 しかし「きれいなものには毒がある」との言われどおり、レンゲツツジは毒
 を持っているから動物たちは近づきません。
 もちろん人間が食べても大変なことになるそうです。
 なんでも、きれいなものは要注意なんですね。

 

 小菊も咲きだしました。
 この花が森の夏の到来を知らせてくれます。
 以前図鑑で調べた時は「ハルジオン」とか「ヒメジョオン」とかだったのですが、
 この辺りでは昔から「貧乏草」と呼んでいます。
 どんな由来、ストーリーがあるのかはわかりません。
 「貧乏草」があるのなら「金持ち草」もあるのだろうと、ネットで見ましたが
 でてきませんでした。

 本州各地からは、次々と梅雨入りの知らせが届いています。
 ジトジトうっとうしい季節が1ヵ月以上つづきます。
 それが明けた先には、いよいよ酷暑の夏が待ち構えています。
 健康に要注意ですね。