森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

五月晴れ

2020-05-30 | 日記


 このところいいあんばいに、晴れの日が続いています。
 樹木は若々しい新緑から一気に青年の緑色に変化しました。
 人も樹も初々しいのは一瞬です。なんてことでしょう。
 今日の気温は20度を超えたようですが、ほどよい風があって半袖シャツでの森歩
 きは快適そのものでした。



 赤や黄の濃い色の野花が目立ちます。
 昨日まではウグイスが鳴いていましたが、今日は早くもセミが鳴きました。
 水無月直前の森はすでに初夏の風情です。

 
 少し前まではこの森から街へ出て、子どもたちに絵本を読んでいました。
 その子供たちも今では休校や外出自粛などで、生活環境がすっかり変わってしま
 いました。もちろん我々の絵本読みも中止です。
 この状態はかなり長期間続くことが予想されるので、それならユーチューブで絵本
 読み動画をやってみようかと考えました。
 そして評判が良ければ、仲間のみんなにも声を掛けようと思ったのです。

 そんな中で「りゅうちぇるさん、黒木華さんらがチャリティーの読み聞かせ。こん
 な時こそ、物語の世界観を」(ハフポスト日本版5/28)とあり、著名人74人が
 インスタグラムやフエイスブックで、子供たちに絵本読み動画を届けるプロジェク
 トを始めたと出ていました。なんとすばらしいことでしょう。

 やるからには先ず権利関係が大事なので調べてみました。
 するとやはり著作権が発生するとのことでした。現実の人が子どもに直接読んであ
 げる以外は、いかなる媒体を通じても著作を使用する時は著作料がかかるのです。
 確かに、ウエブを使って作品を無断で拡散されたのでは、作者はたまったものでは
 ありませんよね。
 ハフポストの記事も「このキャンペーンは同時に寄付金も募っています」とありま
 したから納得できました。
 
 そんなわけで残念ながらこの企画はボツになりました。お金のかからない良い方を
 考えましょう。時間は十分あるので。



 今回のことで、人と人とがリアルに対面して食べたり話したり、また集まって楽し
 く過ごしたりすることが、いかに貴重で贅沢な時間なのかが分かりました。
 だからこそ、みんな家族の大切さを実感したと思います。


  
 スポーツも無観客になってからは、相撲なども観る気になりません。
 サッカーでも、あのサポーターの怒濤の歓声の中でのパフォーマンスに感動するの
 であって、オリンピックでもしかり、無人の中で選手が勝手に頑張っていても、な
 にも面白くありません。
 つまり、主役は集まってくれる観客だったのです。

 人と人との関係を、ただ漫然と流れる生活時間の中であまり考えなくなっていたか
 もしれません。今は「人を大切にしょう。時間を大切にしよう」とごく当たり前の
 ことを立ち止まって考える良い機会のようです。





 
 

 

 




  

元気な森

2020-05-23 | 日記


 もう一週間も朝は霧雨、日中は小雨の降る日が続いています。
 気温は一日中5℃を上回ることはなく肌寒く、しかたがないからまた冬の服を
 引っ張り出して着るようになりました。暗い毎日です。
 それでも今朝はいくらか明るくなりましたが、いまだに陽は射してくれません。
 
 この降り続く雨のおかげで、森の景色は一変しました。
 抜けた櫛歯のようにスカスカで褐色だった枝が、ぎっしりと若葉で埋め尽くされ
 て萌黄色の塊になりました。
 さらに一雨ごとに新緑はその色を濃くしていますから、この調子じゃ陽が出たら
 初夏を感じる風景になりそうです。
 駒ケ岳や横津岳の山頂付近の襞に、僅かに残っていた雪も完全に消えました。



 元気なのは森の植物と生きものたちです。
 低温多湿のせいか、いつもの年より花が長生きしています。嬉しいことです。
 


 小屋の周りに自生している朴(ほお)の葉が開き始めました。
 まだ人の指ほどの長さですが、夏には顔ぐらいまでにでっかくなります。
 朴葉は独特のいい香りがします。また殺菌作用があるので、昔から食べ物を包む
 ために調法されてきました。朴葉寿司や朴葉餅がそれです。
 また火に強いので食材をのせて焼くこともできます。
 飛騨高山の朴葉味噌は有名ですよね。
 なにしろでっかいので、太古から食器代わりに使われていたらしいです。
 今でも西のほうでは、朴葉に刺身や焼き物をのせて出すところがあります。
 夏の涼し気な感動を演出して、料理の味を引き立てます。
 ちなみにアイヌさんは朴葉の種子を煎じてお茶にしたそうです。
 どんな味なのか、いつか試してみたいです。
 もしやコロナに有効かもしれない。

 五月も残すところ一週間となりました。
 なんとか爽やかに晴れ渡る「さつき晴」の空を眺めたいものです。


 

 
 
 
 

八重桜

2020-05-16 | 日記


 昨日までは暖かい晴れの日が続いて、森町の国道の八重桜が満開になっていました。
 雲海のようにふあ~と咲くソメイヨシノもいいですが、もこもこっと固まって咲く
 八重の桜たちも北海道にはよく似合います。
 ちょうどエゾヤマザクラやこぶしが終わって淋しくなった時に、出番を待ってまし
 たとばかりに咲いてくれるのは嬉しいです。

 内陸から延々と走り続けてきたドライバーたちが、この八重桜街道へ差し掛かって
 桜花を見ると、一瞬旅の疲れを忘れ「いよいよ目的地函館も近い 事故がなくてよ
 かったなあ」と安堵して「よし! もう一息気を引き締めるて走ろう」と思うので
 しょう。

 実は森町は桜の街です。
 ここには昭和初期に国策で全国的に植えられたソメイヨシノだけではなく、カンザ
 ン、ベニシダレ、フゲンゾウ、オオシマ、など多種類が植えられています。
 各種類ごとに開花時期が少しずつ違うので、つぎつぎと咲き繋いでいき、一か月も
 長く桜を楽しむことができます。
 ここまでになるには、街人のさまざまなご苦労があったと聞きます。



 相変わらず野の花たちが元気です。
 人が花から元気をもらったり癒されたりするのは、太古から続くごく自然なことで
 す。特に日本は自然に恵まれているせいか、男が花をめでる習慣が根強くありまし
 た。
 芭蕉さんはじめ多くの俳人歌人たちが花を詠いましたし、菊を作ったり盆栽を咲か
 せたりしたのも男です。
 しかし宮沢賢治さんの後ぐらいから、男と花は無縁のものになりました。つまり
 花好きの男は、気持ちの悪いやつといわれ「非国民」のそしりをうけるようになり
 ました。そして残念ながら今に繋がっています。

 江戸時代までは武骨な武士たちも、花鳥風月に親しむ教養が必須だったのですから、
 もう一度この部分の精神文化を、江戸回帰してほしいものです。



 今日は昨日とは一転、霧と小雨の寒い日となりました。
 沖縄が梅雨に入ったそうですから、本州もじきに梅雨に季節になるでしょう。
 去年のような梅雨の大雨がなければいいのですが、もしコロナと複合災害になった
 らたいへんです。
 そんなことになりませんように、願うばかりです。


 

 
 
 


花盛り 2

2020-05-10 | 日記


 スイセンが元気です。
 あっちでもこっちでも、めいっぱい開いてこちらを向いて笑っているようです。
 


 ワイワイガヤガヤおおぜいの子どもたちが、好き勝手なことを喋りまくっている
 ように見えて、ふと、そういえば小さい子たちは家でなにをしているのかなぁ
 と、いろいろ考えを巡らせました。



 チューリップも今が盛りです。
 道行く車も自転車も、ちょっとスピードを落として眺めていきます。
 こんな時期だからこそ、色とりどりの元気な花たちを観て、少しはホッとするの
 かもしれません。



 野の花は小さくて色も淡く、ひっそりと咲いています。
 なので、道の側を注意深く見て歩かないと、見過ごしてしまいます。
 名前を覚えようと図鑑で探すのですが、よほど特徴のある色や形をしていないか
 ぎり分かりません。
 
 その昔、野花の名前ならなんでも知っている人がいました。
 子どものころから花が好きで、花の名前はやはり花好きの両親から教わったとの
 ことでした。
 どうやら花博士になるには、子どもの頃からの家庭環境が必要なようです。
 年取ってから調べても、一つ覚えては一つ忘れ、また覚えたそばから忘れ、頭の
 メモリー容量が余計なことでいっぱいになっているから、うまく入って留まって
 くれません。
 まあそれでも、花たちの咲く順序は毎年変わらないので「あっ あの白い花が咲
 いたから 次はあの青い花が咲くなぁ」と楽しみは同じです。



 小さい子どもたちに、森の花や生きものを見せてあげたいと思います。
 子どもたちにとって、学校へあがる前だけが一生のなかで唯一、なにも考えずに
 のんびりできる時期なのですから。
 この貴重な一時を植物時間と同期させて過ごすのは、良い経験になると思います。

 こぶしも満開になりました。
 毎年こぶしとエゾヤマザクラが咲き揃うと、外での仕事が始まります。
 さあ、今年はどんな年になるのかな。
 コロナが終わったら、少し新しい方向を考えてみようかな。
 


  


 
 

花盛り

2020-05-03 | 日記


 昨日、今日とまるで夏を思わせるような暑さです。
 おかげで、樹木たちが一気に目覚めました。
 北海道ですから、こぶしも梅も桜も一斉に咲きます。
 森は、いきなり花盛りになってしまいました。



 今、街の方々は大変なご苦労されているのに、のほほ~んと花を観ているのも申し
 訳ない気がします。
 というのも、この森ではめったに他人に出会うことはありません。
 なのでマスクもうがいも不用です。かえって、森の土や空気に含まれるフィトンチ
 ッドは、人体に取り込まれるとさまざまな良い効果をもたらすことが、医学的に証
 明されています。
 ただし、土や植物に触れるので手洗いはしょっちゅうしています。

 街の方たちも「ソーシャル ディスタンス」とか「ステイホーム」とかいわれても
 なんとか工夫をして、ウオーキングぐらいはやらないと、せっかくコロナが終息し
 たときに足腰が弱って転倒しては大変です。



 マスクといえば、街では未だに買えないそうですね。
 報道ではみんなの買い占めが原因とされていますが。実態は違うようです。
 もともと国内に出回っていたマスクの80%が中国製で、残りもほとんどが東南ア
 ジアからの輸入品だったそうです。その中国が自国消費で輸出できなくなったので
 こんな状態になったそうです。
 医療関係者の防疫服やシールド用品も同じことだそうです。
 
 正直いって、医療インフラがこれほど外国頼りだったとは、ビックリしました。
 以前から、エネルギーのほとんどと、食料の半分以上を外国に依存していることは
 分かっていたから、もし異常気象で相手国が輸出ストップしてきたら、一体どうな
 ちゃうんだろうと思っていました。
 しかし医療に関しては、お上もマスコミも「日本の医療は世界最高」などと喧伝し
 ていたはずです。
 いつの間にか、また刷り込まれていましたね。なんてことでしょう。



 コロナが終わっても、日本の社会は完全に元には戻らず、変化が始まると思います。
 今回ばかりは、得意の「喉元過ぎればなんとやら」にはならないでしょう。
 自然を見直す人が増えるのではないかなぁ、と希望的に考えていますが
 どうでしょう。