森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

森も暑い

2023-08-26 | 日記


 日本中がうだるような暑さの毎日で、みんなぐったりしています。
この森でも真夏日まではいかないものの、29℃の晴日が一週間
も続いています。
ただし不思議なことに、お昼ごろになると決まって大雨がドーンと
降りだし一時間ほど続いてパッと止みます。
その後は何ごともなかったかのように、またカンカン照りが
戻ってきて暮れるまで暑さが続きます。
まるで熱帯のスコールのようです。
もうなんでもありの世の中です。

 暑い暑いといっても、植物はちゃんと季節を心得ていて、
準備を怠りません。
最初に紅くなるのは、ウルシとツタです。
こんなにクソ暑いけど、来週はもう九月なんですよね。



 少し前のニユースですが、2万8千年前のアラスカの
氷が融けたら、氷の中にいた線虫(1mmぐらいの虫)が
いきなり動きだしたというのです。
かなり前に、同じように何万年も凍っていた氷河が溶けて
中にいたバクテリアが生き返った、との報道があって
かなりビックリしたものですが、今度のは実際に目視で
ピクピク動きだしたというのですから、それはもう衝撃的
でした。
今、北極の氷がどんどん融けだしていますので、この先も
もっと大きい動物が生き返るかもしれません。
楽しみではあるけれど、その反面人類に害のあるものが出て
こないともかぎりませんので、喜んでばかりはいられません。
なにしろ、北極の氷が融けだすなんて、現人類にとっては
ずいぶん久しぶりのことですから。

 NHKの特集で見たのですが、今のペースでいくと
2030年代の夏に北極海の氷が融けてすべて無くなる
そうです。
ただし、日本への悪影響はまったくないので安心です、
とのことでした。



 また台風が二つきています。
この前の二つの台風は幸いにも道南をそれてくれたから
良かったけれど、本州各地では甚大な被害がでました。
NHKでは、最近くる台風は以前よりも巨大化してはいない
といっていました。
また、くる数が増えてるわけでもないそうです。
しかし我々の感覚では、かなり大きいものが数多く
きているように思います。

 そういえば、昔は二つ並んでくる台風を「アベック台風」
などといいました。
今は「アベック」なんて言葉を使うとちょっと恥ずかしいです。
もう死語なんでしょうね。




 







 









台風がそれた

2023-08-18 | 日記


台風がそれて、今日は爽やかな青空です。
当初は日本海に抜けた台風がまともに北海道にあたってくる
予想になっていたので、かなり心配しました。
昨日は風は強かったものの、木々の細い枝が折れる
ぐらいで、倒木はまったくありませんでした。
夕方「台風はそれていきました」とのアナウンスを聞いて
ほっとしました。

なにしろここで怖いのは倒木です。
自然の森なので木々は細くて高いのです。
そして土壌は度重なる駒ケ岳の噴火のせいで、ほとんど
火山灰層になっていますから、根っこのグリップは
脆く弱く倒れやすいのです。
逆に水はけの良いこの土壌は、かなりの大雨にも対処でき
るので雨台風には心配はいりません。

この小屋でいちばん怖いのは、駒ケ岳の噴火です。
火口から半径4km内のチョット危ないエリアに入って
いるので、ドッカ~ンと大噴火が起きようものなら、
一瞬にしてポンペイ状態になります。
まあ、その時はその時でいいや、と思っています。
後世の人々に発掘されるのも、これまたいいかなぁ、
などとつまらない空想を楽しんでいます。



台風が過ぎ去ったとたんに、植物が秋らしくなりました。
来週23日はもう処暑です。
暑さのピークを越えて朝晩は涼風が吹き始めます。
23日といえば関西の子どもたちのお楽しみ、地蔵盆の日
です。
お地蔵さんは、その地域や子どもたちの守り神として古く
から信仰を集めています。
この日は、大人が子どもたちの健やかな成長を祈願して、
お地蔵さんにたくさんのお花やお菓子を供えます。
子どもたちはそのお下がりのお菓子を分け合って食べる
のが楽しみなのです。
地域によっては、屋台が出たり福引をやったりするところ
もあります。

子どもたちの楽しみは、大人に比べたらとても少ないので、
地蔵盆が関西地域だけではなく、全国的におこなわれると
いいなと思います。
今までにも関西発で全国に広がったものはたくさん
ありますから、
古くは「きつねうどん」新しくは「恵方巻」のように。



お盆が過ぎるといよいよ台風シーズンです。
今年の二百十日は九月一日ごろとのこと。
この夏の高温を考えると、それまでにもでっかいのが
来そうな気がします。
北海道に上陸する台風は少ないのですが、それだけに
上陸したらかなりの被害がでます。

怖い秋です。
















山の日です

2023-08-11 | 日記


この数日、雨の降らない安定したよいお天気が続いています。
おかげで気温はグンと上がっていますが、ありがたいことに
真夏日になってはいません。
それは、小屋の回りは高木がうっそうと茂っているから
直射日光が当たらないことと、山麓の斜面である程度の標高
があるせいだと思われます。
函館や厚沢部では昨日、史上初の35℃超の猛暑日を記録
して、みんなぐったりしているようです。
さぞかし年寄りにはきついのでしょうと思ったら、逆に
ある歳を超えたらもう、暑いも寒いもよくわからなくなる
らしいので、そこまでの辛抱のようです。
自分はどっちなのかな。



今日は「山の日」です。
この小屋は北海道駒ケ岳の麓にあります。
おかげで夏は涼しく、しかし冬は寒く、野生の動植物と
いっしょに楽しく暮らしています。
自分は「山の日」だからといって、なにか特別なことを
してはいません。
近くの農業者や酪農家、また大沼の漁業者はこの山の恩恵
を多々受けているのですが、感謝の祭りやイベントなど
を催したことはないようです。
というより「山の日」そのものを知らない人が多いようです。
それほどたいへん地味な祝日なんです。

ちなみに駒ケ岳は全国に20山あります。
いちばん有名なのは南アルプスの「甲斐駒ケ岳(2967m)」、
次は中央アルプスの「木曾駒ケ岳(2956m)」です。
近くでは青森に「大駒ケ岳」、秋田には「秋田駒ケ岳」が
あります。
それぞれ駒を冠するのですから、綺麗な山形をもっている
のはもちろんですが、この北海道駒ケ岳はそれに加えて
大きな特徴があります。
それは見る角度によってまるで別な山のようにガラリと
山形が変化することです。
上の画像(去年)は西側の森町から観たもので、下の
画像(去年)は南側の七飯町から観たものです、
どちらも流麗な稜線を表していますが、とても同じ
山とは思えません。
もともとは富士山のような円錐形だったのですが、
度重なる噴火で上部がすっ飛び、今のようになった
ようです。
西側は男性的で南側は女性的と表現する人もいて、
それぞれ好みがあるようですが、自分はどちらも
すばらしいと感じていて、道すがら変化する山形を
楽しんでいます。



「甲斐駒ヶ岳」も「木曾駒ヶ岳」もそうであったように
多くの駒ヶ岳は古くから信仰の対象として崇められて
きました。
それゆえ現在でもなを、修験者の活動の場となっている
駒ケ岳もあります。
自分は、わが「北海道駒ケ岳」も古くからアイヌの
人々の信仰をささえてきた山なのだと思っていますが、
はたしてアイヌの人々に山岳信仰があったのかどうか、
わかりません。
今のところ書物や記録にはないのです。
ただ縄文人においては、南側から観た山の頂から朝日が
登る位置にストーンサークルを設置していることから、
この山を信仰していたことは間違いありません。
さまざまな想像をもたらしてくれる「山の日」です。


森の花たちは、日を追って秋に向かっています。
森の人は、とおに人生の秋に向かっています。

















秋のけはい

2023-08-03 | 日記


8月に入るとさすがに30℃を超える日はなくなりました。
今年の夏は先月に2日ばかり真夏日があっただけで、もうこの先は
暑さのぶり返しはないものと思われます。
まあ、夏といってもこの森では残るところ2週間しかありません。
お盆を過ぎたら日を追って秋の風景に移行していきます。
現に今月になってからというもの、植物たちは一斉にその準備を
始めています。
すでに葉を落としだしたものもあって、森全体の景色がしっとりと
落ち着いてきました。



来週はもう立秋です。
しかし本州各地では、連日記録的な暑さが続き、多くの
熱中症で亡くなった人が伝えられています。
そしてまだまだ暫くはこの暑さが続くとのことです。
コロナがなんとか終わったと思ったら、豪雨災害があって、
今度はこの暑さ危機、そしてすでに大きな台風が発生
していますから、9月が怖いです。
こんな災害危機の連続が恒常化しなければいいのですが。

葉月の立秋を過ぎたころの芭蕉さんの句に、ちょっと
淋しいのがあります。

 秋風に 折れて悲しき 桑の杖      芭蕉

この小屋の前にも小さな桑の木が一本ありますが、たしかに
折れやすく、大風などでよく枝が落ちます。
この時、芭蕉さんはまるで杖のように頼りにしていた古い
門人を亡くし、そのポッカリ空いた心の空洞をどうにも
埋めることができずに辛い日々を送っていたそうです。
そうなんですね。
人はみな、自分も含めて「桑の杖」なんですよね。
長く生きてるおかげで、わかってきました。
でも、今ごろ利口になってどうしよう。

その昔は立秋といえば、まさに夏の真っ盛りといった印象で、
どこの会社でも「暑気払い」などと称して、またそれを
口実にして、盛んに「ビール飲み会」をやっていました。
今はどうなのでしょうか。
食べものはまったく変わりませんね。
スイカ、ソーメン、カキ氷です。