先日、久しぶりに函館郊外の「天使の聖母 トラピスチヌ修道院」を訪ねました。
早朝の曇り空だったせいか、人影はわずかでした。
おかげで、ゆっくりと静寂な時間を過ごすことができました。
駐車場から境内に通じるアーチをくぐると、もうそこはフランスです。
聖母マリア様が訪れた人々を優しく出迎えてくださいます。
中世のフランス建築を継承する佇まいは、当別の「灯台の聖母 トラピスト修道院」
と並んで、現存する北海道最高級の建築物です。
どちらも800年前のフランスに生まれた「厳律シトー会」のカトリック修道院
です。
厳律とあるように、きびしい規律に従う修道院で、その基本理念は「祈り、働け」
です。
誰でも知っているジャンヌダルクさんです。
フランスとイギリスとの百年戦争の時に、母国フランスを救った聖少女です。
しかし無実の罪で宗教裁判にかけられ、火刑にとなりました。わずか19才でした。
死後に冤罪が判明して、神と人々のために命をささげた聖女であることが認められ
ました。
百年戦争は日本では室町時代のことです。フランスとイギリスはこれ以前から関係
が悪く戦争の歴史をくり返してきました。
今はドーバー海峡にユーロトンネルができて仲良く結ばれています。ホッとします。
若い方が壁の壮大なレリーフをいつまでも眺めていました。
観光でみえたのかな?
いや長い時間見入っているから、キリスト者かもしれない。
ご夫婦かな?いや学生さんかな?
いい時間を過ごしていました。
聖テレジアさんは、わりと最近の方です。
日本では『ある霊魂の物語』の著者として知られています。
日本でいえば明治時代の方で、シトー会の修道女でした。
やはり夭逝で24才で亡くなりましたが、数々の奇跡をおこして、フランスでは
ジャンヌダルクさんと並ぶ聖女とされているそうです。
函館近郊で、中世から続くフランスの歴史宗教を垣間見ることができる不思議
な空間、それがトラピスチヌ修道院です。
遠の昔の歴史の教科書や、あのころの精神性を想いおこさせてくれた、貴重な
時間でした。