森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

香雪園

2021-10-27 | 日記


 函館の五稜郭から北東に4kmほど走ると、住宅地に隣接して緑のこんもりした
 区域が現れます。ここが香雪園です。
 香雪園を訪れたのは初めてです。
 
 よく整備された園内の樹木は紅葉のピーク直前で、緑、黄、紅、のコントラストの
 きいた風景や、色彩の移りゆくグラデーションを時を忘れて楽しむことができまし
 た。
 いただいたパンフレットには、北海道唯一の国指定文化財庭園と書かれていて、
 それはまさに頷けるものでした。



 都市公園は多くの街にありますが、有名なのは大阪の長居公園や東京の井之頭公園
 です。
 どちらも市民生活の中の身近な憩いの場として、大切にされています。
 それゆえ、かずかずの詩や小説の舞台となっています。

 お天気に恵まれたせいもあってか、香雪園にも多くの市民の姿がみられました。
 しかし、こちら香雪園の広さは長居や井之頭の二倍はゆうにあるでしょう。
 北海道らしい広大さに誰もが日常を忘れ、ゆったりした時間、空間を感じる中で
 リフレッシュされていきます。



 香雪園はその昔は「久〆一(きゅうしめいち)の別荘」といわれていました。
 久〆一は縦に並ぶのが本当なのですが、これは岩船家の屋号です。
 岩船さんは越後の岩船郡(現村上市)の出身で、早くから函館に渡った人です。
 当初は飴や菓子の行商をしていたのですが、呉服販売で成功して財を成したと
 伝えられています。
 温厚で人望があり芸術を解した人とのことですが、確かにこの庭園からも伝
 わってくるものがあります。

 ちなみに、村上から北海道に移住して商人として大成した人は多くいて、
 かって村上を旅した時に、その資料館を訪れたことがありました。
 越後人は日本各地で活躍していますから、昔から商業センスがあったようです。



 先人の努力のおかげで我々が楽しめるのですから、感謝しなければ。
 きくところでは「紅葉よりも新緑の方がさらにすばらしい」とのことなので
 このさき、なんども来ることになりそうです。
 問題は脚、腰、ですね。


 
    

秋の優等生神話

2021-10-21 | 日記


 10月下旬ともなると、まさに秋深しです。
 このところコロナが落ち着いたせいか、大沼に人の姿がみられるようになり
 ました。
 ちょっと前なら駅前にほとんど人影はなく、閉鎖したお店もあって、まるで
 ゴーストタウンの様相でした。
 今は駅に必ず何人かの人影がみられます。
 いつも通り過ぎるだけの駅前ですが、やはり人がいるとホッとします。

 しかし、これで調子の乗って気を緩めてしまうと、第6波がドド~ンとおし
 よせてくるかもしれません。
 用心、用心、ですね。



 紅葉が進んでいます。
 温暖化の影響でしょう、3年程前から紅葉のピークは徐々に遅くなってい
 ます。
 特に今年は暖かかったせいもあって、1週間から10日も遅れると予想され
 ています。
 温暖化はさまざまなところに影響を及ぼしていますね。



 地球温暖化といえば、我々国民は「世界の中で日本は温暖化対策の優等生」
 などと信じてきました。
 実際に、国もマスコミもそれを謳いあげてきましたから。
 政治家も「地球温暖化を叫ぶやつは 金ほしさに騒いでいるだけだ」といって
 いました。
 ところが数年前からCOPに出席する小泉さんが「化石賞」を受賞して帰る
 ようになりました。
 「こりゃ~いったいどうゆうことなんだ?」
 国民の頭は混乱をきたしています。
 
 そんななか、地球温暖化研究の真鍋さんがノーベル物理学賞を受賞されました。
 真鍋さんは1960年代からCO²が温暖化の元凶と考え、数十年間地球の気候
 変動予測に先駆的な研究を続けてきた方です。

 政治家もマスコミも真鍋さんのことはできるだけ取り上げないようにしている
 ようです。
 しかし、先日GAFAMが世界の環境基準をクリアできない企業とは取引を
 しないと言い出しました。とくにアマゾンは2030年までに全世界の事業を
 100%再生可能エネルギーで賄うと発表して、日本では電力会社ではなく、
 三菱商事から再生可能エネルギー買う契約をしました。
 もはや一般の事業者までもが巻き込まれる流れになっています。
 
 それじゃ~、日本の「優等生神話」はどうなるの?
 「なにがなんだか意味がわからん」
 ますます頭は混乱して疲れてしまいました。

 しかたがない。
 そんな時は、なにも考えずぼんやりと紅葉を眺めるのがいちばん。
 来月には白鳥もきますから。


 
 
 
 
 

 





 


 

 
 
 

 

街の秋

2021-10-13 | 日記


 この森からいちばん近い街は七飯町です。
 七飯町に行けばスーパーもコンビニもあります。
 最近は、若い人たちによる手作りパンやスイーツのお店、それにおしゃれな
 レストランもできてきました。
 若くないものでも、新しいお店を観るのは楽しいのですが、なかなか入って
 いく勇気がでません。
 かといって、年寄りの巣のような店はもっと嫌です。
 結局、行き場のない私なのです。



 色づいてきた並木道のすぐわきに、リンゴ園があります。
 鈴なりのリンゴはたわわに実って、いかにも美味しそうでした。
 「今はフジじゃないと売れなくてね」とリンゴ園の方はおっしゃって
 いました。
 ご本人は少し酸っぱい、昔のリンゴの方が好みなのだそうです。
 収穫は今月末とのことですから、それまでは嵐がきませんように願う
 ばかりです。

 七飯町は、日本で近代西洋式農業をいち早く導入した、先取の気概を
 持った土地柄です。
 なかでもリンゴ栽培は、日本でいちばん早かったそうです。
 青森県や長野県ではないのですね。
 
 最近の七飯町は、カーネーションの生産で全国的に有名になりました。
 農業者は、外国産の安価な野菜に負けない、新しい方向に踏み出して
 います。
 ここでも先取の伝統が生きているのでしょうね。



 ちょっと遠回りして、函館桔梗町の陸橋のウオールアートを覗いて
 みました。
 期待したとおりの色彩が出ていて、立派なギャラリーになっていました。
 秋に自然の創った巨大な壁画がドーンと出現するなんて、こんなすばら
 しい街は他にあるのでしょうか。

 街の秋の楽しみは、まだまだ続きそうです。


 



 
 
 
 


 
 
 
 

落ち葉

2021-10-03 | 日記


 10月に入ってからというもの、朝晩はグッと冷え込んでストーブを使うよう
 になりました。
 湖もすっかり落ち着いた秋の景色になっています。
 
 落葉が進んでいます。
 緑色のまま落ちる葉、茶色になって落ちる葉、鮮やかな黄色や紅色になって
 落ちる葉、さまざまです。
 子どものころ落ち葉は、木や葉が弱って枯れて落ちるものと思っていました。
 しかし、かなりいい歳になってから、落葉は木が自主的におこなっているもの
 だと知りました。
 つまり落葉は、来春に若返って再生する新緑のための賢い行動だというのです。
 まず自ら葉を断ち切って落とすことで、冬の低温や凍結に対応します。
 つぎに落ちた葉は土壌生物によって分解され、良質な養分となって根から吸収
 されていきます。
 これが、翌春に匂うがごとき新緑を生み出すメカニズムということなのです。
 なんとも羨ましいことです。



 落ち葉による腐葉土は雨水に養分を含ませ、川から海へ流れて海洋生物に大きな
 恩恵をもたらします。
 先日も、テレビで紹介された日本一の牡蠣養殖業者が、近くの山に一生懸命植樹
 していることを語っていました。
 
 それなのに、この辺りでは今もメチャクチャな森林破壊がおこなわれています。
 なにを造るのか、まったくわかりません。
 もしやI Rかもしれません。



 幸田文さんは『木』のなかで「広葉樹は裸の枝に芽吹き、花をつけ、実を結び、
 葉を染め、そしてまた裸に脱いで、骨をみせる。いろんな派手な芸当をする」
 と木の変身と力強さを表現しています。
 確かに一本の木は、さまざまな芸当をして、観客を飽きることなく楽しませて
 くれます。
 
 日々、形も色も変わりゆく樹木のその先から、明い秋を感じることができます。