森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

みんな元気

2020-11-26 | 日記


 駒ケ岳がうっすら冠雪しています。
 そうですよね、来週はもう師走なんですから。
 いつもの年なら、この景色に白鳥が映るのですが、今年はまだいません。
 去年は白鳥の飛来がずいぶん少なくて、淋しい思いをしたものですが、
 それでも、この時季にはすでに小集団が降りたっていました。
 
 今年は遅いのでしょうか。それならいいけど。
 地球環境の変化に負けずに元気なのでしょうか。
 さまざま考えてしまいました。



 今日、たまたま通りかかった山道から白い点が見えました。
 近づくことはできませんでしたが、間違いなく白鳥の姿とわかりました。
 どうやら、旅の途中で休憩しているようです。
 人はいないし、刈り入れの終わった畑には虫や小動物がいて、食料になるので
 しょう。
 白鳥は、シベリア辺りから渡って来るので、じつに三千キロ以上の長旅です。
 目的地に到着するまでに、何度も休憩と食料補充しなければ、体がもちません。
 
 それにしても、大沼が目の前にあるのに、どうしてここで休憩をとっているの
 でしょうか?
 もしや、目的地は大沼ではないのでしょうか? いやそれは困ります。困ります。
 大沼には、あなたたちが必要なのです。

 あるいは、後発の大集団が大沼を目指して来ているから、遠慮して待っている
 のでしょうか。
 さまざまな考えが頭を廻りましたが、とにかく白鳥が元気で今年も渡っている
 ことがわかって、安心しました。
 
 

 元気といえば、この寒さのさなかに、小川で遊んでいる子供たちに出会いました。

  「川の中になにか生きものがいるの?」
    「・・・・・・」
  「ドジョウとか小さい魚がいるの?」
    「いないよ」
  「ザリガニは?」
    「いないよ」
  「ミミズは?」
    「いるよ~!!!」

 三人は元気に土手を上って駆けていきました。
 子どもは元気でいいなあ。
 オジサンも元気をだそう。


落葉

2020-11-19 | 日記


 初雪からの一週間は、温かい良いお天気が続きました。
 今日は一転してどんよりと暗い空模様の一日ですが、妙に昨日までの温かさが
 残っています。
 この時季としては、不思議な感じです。
 しかしこの間、木々の落葉はどんどん進み、ほとんど無くなってしまいました。
 木々にすれば「いつ根雪がきてもOKですよ」と言いたいところでしょう。
 
 おかげで、小屋の中にも陽が射しこむようになりました。
 そこらじゅうに、アラが見えるようにもなりましたが。



 報道で伝えられていますが、今年は全国的にドングリが少ないとのことです。
 確かにこの森でもドングリをほとんど見ないうちに、葉が落ちてしまいました。
 いつもの年なら、雪の降る前の道の両側は、ギッシリとドングリで埋まっていたも
 のです。
 かって、こんな年があったのだろうか、と考えてみても思い出すことができません。

 また報道では、今年は里へクマの出没が頻発していて、農産物被害ばかりではな
 く人的被害もかなりでているそうです。
 これらは、ドングリの不作と関係があるのではないかと、偉い先生が話していまし
 た。

 たぶんドングリだけじゃなく、クマの大好物のコクワも不作なのではないのでし
 ょうか。
 コクワは昔サルナシといって、キウイの仲間です。
 さっぱりした自然の甘みがあって、クマのみならず人間にも人気がありました。
 ただし、かなり山奥に入らないと見つけられません。
 昔の人は「サルナシの木のあるところにはクマがいるよ」と言っていました。
 ですから最近は、コクワを見ることはなくなりました。
 怖いし、なにしろ、先住のクマさんから黙って横取りするのですから、後ろめた
 さもあります。

 人間はなんでも欲しがるのが特徴です。しかも際限がありません。
 しかし、人間は自らを「万物の霊長」などと称しているのですから、時には他の
 生きものの目線で考えてあげる余裕を持ちたいものです。

 カラマツの葉も落ちて樹冠だけになりました。
 もうすっかり冬の景色です。


冬がきた

2020-11-10 | 日記


 今月に入ってから二回目の降雪で、山は白く薄化粧となりました。
 去年より少し早いように思います。
 この調子じゃ、標高のある駒ケ岳や横津岳は、さぞかしこってりと厚化粧かと思い
 ましたが、どちらも雲がかかって確認できませんでした。
 
 さあ、いよいよ北海道に冬がやってきました。



 平地はまだ暫くは、雪が降っては解けるの状態が続きます。
 みんなこの間に、本格的な越冬準備が必要です。
 車のタイヤやワイパーの交換、物置の雪囲い、外水道の締め切り、などなど作業
 にけっこう時間がかかります。

 今春生まれたコンチャンは、まだ森の冬の厳しさを知りません。
 楽しそうに、ピョンピョン跳ね回って遊んでいます。
 この時季にしっかり栄養をつけて、餌のない真冬を耐え忍んで、なんとか春を迎
 えられたら、一人前の大人の狐になれます。
 がんばろうね。
 


 エゾリスのピーちゃんは、今のうちに食べ物を土に埋めて、保存する知恵を持って
 います。
 でも雪があまりにも深くなると、その場所が分からなくなることがあるそうです。
 今年は雪が少ないといいね。

 森のみんなは、雪を見ると急に身構えながら毎日を過ごすようになります。
 根雪が来るまでの貴重な日々です。


2020-11-03 | 日記


 向こうの林の赤い帯が、茶の帯に変わりました。
 今年の紅葉が終わったのです。
 
 それまでの2週間は、紅色のなかで暮らしていましたが、今日からは褐色の空間で
 の生活です。
 ということは、朝起きて最初に眼に飛び込んで来る色が、赤から茶色に変わること
 です。
 激しい変化です。



 古くから、日本人はソメイヨシノの花弁の散り際を「一年間耐え忍んでドッと咲き
 サッと散る」と人生の最期に例えて称讃してきました。
 そのわりにみんなしぶとく長生きしていますけど。
 桜はキレイなことは確かです。

 一方対照的に、春の新緑に始まって、夏の濃緑色、秋の紅葉、そして冬の落葉、
 さらに来季への準備、と目まぐるしく変化する、樹木の一年を観察するのも楽しい
 ものです。

 幸田文さんは『木』のなかで、紅葉を別れに重ねています。
  「紅葉黄葉ほど美しい別れ、あるいは終わりといったらよかろうか、ほかに
   あるまいと私は思っている。今年のいのちの退き際に、ああも華やかに装
   いを改め、しかもさりげなくふっと、なんのためらいもなく、居場所を離
   れてしまう。」と述べておられます。
 
 いずれも日本人の繊細な感性を強く揺り動かすのでしょうね。



 どんよりした曇り空が、ときおり割れて陽が射すと、褐色の風景にも微妙な濃淡が
 あって、それがグレーの空に馴染んでいきます。
 一年間がんばった植物たちに「おつかれさま」と声をかけたくなりました。

 そんな茶色の世界も残り僅か、モノトーンの世界が待っています。
 渡島地方の天気予報によると、今晩平地で初雪が降るそうです。