森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

晩秋のゆううつ

2023-11-23 | 日記


 すっかり冬のような景色になりました。
樹木の葉が落ちて、枝の間の見通しがよくなったので、今からは
雪が降るまでの短い間ですが、鳥たちの動きが良く観察できます。
湖畔道に、各地から長いレンズを持ったバード愛好家たちが
集まってくるのもこの時季です。
すでにオオハクチョウは飛来していると思われますが、確認は
していません。

 風景も生きものも、一直線に冬へと突き進んでいるようすは、
なぜか人の心に、追われるているような焦りと淋しさを感じさせます。
やはり慣れているようでも、冬の厳しさが頭をよぎるのかも
しれません。



 今日は勤労感謝の日ですが、北海道は厳しい現実を突きつけ
られています。
ホタテなどの水産物がストップしているからです。
貝類は冷凍保存してもあまり長くはもたないそうです。
少し前には森町が全国の小学校の給食に、ホタテを無償で提供
することを決めました。
そして昨日はとなりの八雲町が同じことを決定したそうです。
この先も、噴火湾沿岸の町々では同様の方策を採ることと
思われます。
冷凍倉庫が満杯になっては、それしか道がないのでしょうから。

 岸田さんは風評被害に対しては補助する、といっている
から漁業者がすぐに生活に困ることはないのでしょうが、
新しい販路を開拓しなくては、絶えず不安がつきまといます。
突然に岸田さんの心変わりだってあるかもしれないし。
とにかく、たいへんな年末年始になることは間違いありません。

 それにしても、全国の小学校に無償で配るのはいいけど、
その一部を我々土地の貧民にも配ってほしいものです。
噴火湾の良質なホタテはとても高価で、この辺りでは販売も
していません。
たまに、なにかの催事の時に漁業者が直接安く売っているの
を利用した人がいる、ということを聞きます。
今となっては地産地消もたいせつな方策ですよね。
とはいっても、若い人たちはホタテよりおいしいものを、
たくさん知っているのでしょうし、せいぜい年寄りが
チョボチョボ食べる程度じゃ、それほど役にたたないので
しょうね。

 来週は、はや師走です。
大掃除のことを考えると、ゆううつです。










 

 





冬ちかし

2023-11-15 | 日記


 この森の初雪は先週の土曜日でした。
それからというもの、毎日短時間ですが小雪がふわふわ舞い降りる
寒い日が続いていました。
今日はそれが止んで日中少しの間、青空が覗けました。
気温も10℃まで上がっています。

 立冬が過ぎて、来週はもう小雪です。
いよいよ本格的な冬まで残るところ半月となり、道端で楽しめる
植物はススキだけになりました。
冬眠する生きものたちは、その準備におおわらわのようです。



 今日はなぜか「着物の日」なのだそうです。
報道では着物で出勤する京都市役所職員が紹介されていました。
そして「身がひきしまります」や「背筋が伸びます」などの
コメントが述べられていました。
また、日本人は、美しい自国の文化である着物をもっと着ましょう、
との報道もありました。
たしかに外国人が日本へきて最初に驚くのは、着物を着ている人が
いないことだといいます。

 日本人が着物を着ない最大の理由は、その値段の高さにあると
思います。
安いものでも数万円、普通のものでも数十万円しますし、その上
は限りがありません。
そして、クリーニングだけでも何万円もかかります。
ですからかなりの余裕のある人たちの「趣味のモノ」になっています。
自分も下町でつるしてあった、作務衣(着物といえるかどうか)以外
には着物らしきものを着たことがありません。

 着物の高価なことは今に始まったのではないようです。
江戸時代の庶民は春秋は裏地付きの「袷 あわせ」夏は
「単衣 ひとえ」冬は綿入れの「どてら」のようなもの、この三点を
大事に繕いながら、数年も時には数十年も使っていたといいます。
しかも買えるのは古着で、ほとんどの庶民は生涯新品を手にすることは
なかったようです。
北海道の場合は動物の皮を多用したので、服装事情はわりと良かった
のかもしれませんが、やはり布は貴重品だったのでしょうね。

 そんなことを考えると、今はなんといい時代なのでしょう。
高価な服も着物も必要がなく、通販の何百円かのシャツを着てても
誰にも気づかれません。
いやもしかしたら、とおに気づかれていて秋田県知事じゃないけど
「なんてビンボウくせえやつだ」と思われているかもしれません。
まあそれもいっか。

 さあそろそろ雪囲いをしたり、雪靴を出して点検しておきましょう。








 
 






 

落葉

2023-11-07 | 日記


 森の紅葉がピークを迎えてちょうど一週間です。
この間、紅葉も黄葉も茶葉もすべて落ちて、スカスカな枝だけが
並ぶ淋しげな景色になってしまいました。
あの真っ赤なカエデのトンネルも、赤屏風のような並木もぜんぶ
消えて、いきなり初冬の空気につつまれました。
一瞬ですべてが変わる、まるで夢を見ているようですが、これが
自然の力です。



 紅葉といえば、誰でも真っ先に想い浮かぶのは、良寛さんの
辞世の句です。

   裏をみせ 表をみせて 散るもみじ   良寛

 誰でも自分のことについては、他人にみせたい表の部分と、
隠したい裏の部分があります。
特に年取ると他人には表だけをみせようと、過去の自分を都合の
良いストーリーに編集して語るものです。
でも死ぬ時は、もうそんなことはどうでもいい、両面を自然に
みせて散っていきましょう。
この句はこんなふうに感じるのですが。
いや最後は「裏も表もみえてしまうんだよ」といっているのかも
しれません。

   身にしみて 大根からし 秋の風    芭蕉

 この句も似た意味合いがあると思います。
秋大根のからさが身にしみるとは、なんともいいようのない
自分を語っているのでしょう。
いや、自然と人生のすべてを表現しているのかもしれません。

 それにしても、良寛さんや芭蕉さんの句はわかり易くて
良いです。
たまにラジオで聴く今の人の句は、ほとんど意味がわかり
ません。
俳人の解説がついてやっと理解できるほどです。
それだけ世の中が複雑化しているのか、自分がボケてきたのか、
それも良くわかりません。

 最近になってダイコンは葉っぱのほうが甘くて、しっぽの
ほうがからいとしりました。
この森にはお店がないので、20キロも離れたスーパーで
ダイコンを買います。
ダイコンは大好きなのですが、一本買っても最後のほうは
しなびれてしまいます。
半分に切っても売っていますが、葉っぱのほうが早く売れて
しまうらしく、残っているのはいつもしっぽのほうです。
こんどは開店直後にいってみよう。