森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

買い出し

2020-03-28 | 日記


 久しぶりの街への買い出しです。
 山奥から街へ出ていくとなると、なんとなくワクワクします。
 七飯の農家は雪解けを待って畑造りです。もうすでにビニールハウスを設置している
 所も多くありました。
 なにしろ北海道の農業は、次の雪がくるまでの半年間が勝負ですから。



 街は穏やかでした。どこへ行っても人は少なく、車もまばらでした。
 ここでもコロナの影響はあるようです。
 そんな中でも、ウオーキングの人やランニングの若者が、爽やかさを伝えてくれました。

 思い起こせば、去年は一年中想定外が叫ばれていました。
 しかし、どうやら今年もコロナで想定外が始まったようです。
 IPS細胞の山中先生のHPで、今回のコロナの終息には一年ぐらいかかるのでは、とあり
 ましたから、どうやら長いトンネルに入り込んだようです。



 3.11以降、日本中は「絆、きずな、キズナ」で明け暮れ、今や政治のスローガンに
 までなっています。
 人は集まってワイワイしなければ生きていけない。つまり「トゥゲザーしようぜ」とい
 うことが推奨されてきました。
 今、急に「三人以上集まるな 唾を飛ばしてしゃべるな 必要なしに外へ出るな」と
 なってしまって、梯子を外されたような感覚なのでしょう。
 街の人たちが、長期間この地味な生活をしいられるのは大変なことだと思います。

 しかしこの先も、夏の巨大台風や豪雨、冬の細菌感染、は常態化して決して想定外では
 なくなるような気がします。
 それは、科学的根拠はないけれど「地球温暖化と人間の攻撃性」にあると感じています。



 街でめいっぱい食料を買い込んで、これで当分は大丈夫です。

 森では雪が消えた途端に、トドマツの実生が見られるようになりました。
 なぜか、この子たちにストイックな生き方を感じています。
 
 


 
 
 
 
 

 

 

 

 

 


またきたよ

2020-03-23 | 日記


 世界中がコロナで大変なことなど何も知らずに、このこたちはまたやってきました。
 
 「おじさん 久しぶり またきたよ」
    「あっ! よいこ 今年もきたんだね」
 
 「おじさん もう生きていないかと思ってた みんなで話してたんだよ それにしても
  ずいぶん老けたね」
    「あぁ 悪かったね なんとかやってたよ」
 「よかった よかった」
    
    「ところで よいこたちはいいよね 毎年生まれ変われるから 人間は一回きりだ
     もんね 少し損だよ」
 「だって おじさんたちは何十年も生きられるんでしょう ぼくたちは年に一回しか生き
  られないんだよ だから同じことさ」
    「まあ そう考えればそうだけど」
 「おじさんなんか もう自分で数えきれないほど 長く生きてるんでしょう?」
    「まあ 数えきれなくはないけど 数えたくもないなぁ」

    「でも 人間の中にも生まれ変わった人がいるんだよ なん人もいないけどね」
 「おじさんはできないの?」
    「おじさんは むりだよ 普通の人だから それに近頃は一回きりの方がいいと
     思うようになってきたんだ」
 「こんど生まれ変われたら ふきのとうになれるといいね」
    「まあね・・・・・・」
     



 よいこたちとお話しながら春先の森を歩いていると、どこまでも行ってしまいます。
 誰もいないからいいようなものの、他人が見ていたら変な人と思われるのでしょうね。
 気を付けねば。



 お昼ごろ突然雪が降りだして、一時間ほどがんがん降ってピタリとやみました。
 すると見る見るうちに雲が切れて、嘘のように青空が広がりました。
 今年の「なごり雪」だったようです。

   ・・・森でみる雪はこれが最後ねと さみしそうに君がつぶやく
      なごり雪も降る時を知り ふざけすぎた季節のあとで
      今春が来て君はじじいになった
      去年よりずっとじじいになった🎵・・・
  
 イルカさんや伊勢正三さん、最近あまり聞かないけれど元気なのかなぁ?

 毎年この時季は若い植物たちの生命力に煽られて、冬の間よたよたしていた体が
 不思議とシャキッとしてきます。
 感謝しています。



 

 
 

 

  
  
 

 


 
   
  

明るい日曜日

2020-03-15 | 日記


 今日は久しぶりの清々しい快晴です。
 この森は標高が高いので、朝日はいきなり真横から射しこんできます。
 身の回りのモノたちが一斉に目を覚まして、一日が始まります。
 光の微妙な照射で、捨てようと思っていたものが妙にキレイに見えて、気が変わってしま
 うことがあります。
 だから、小屋の中にガラクタが溜まるのでしょう。



 そんな森でも、朝一番のニユースは世界中で流行っているコロナのことです。
 「昨日は何人感染しました」と聞いて、数が多ければ心配になりますし、数が少なければ
 もしや収束に向かっているのかな、と希望的になります。

 考えてみると、現代人は絶えず数字に翻弄される生活をしているようです。
 「年金制度を維持するために、出生率をいくつにしなさい」とか「老後の生活のためにい
 くら貯めなさい」とか、国も国民に数字目標を示しています。
 しかし国民も賢くなって簡単に数字には踊らされません。
 かくなる上は、全国津々浦々の政治屋さんたちが一人で百人の子どもをつくることしか道
 はないのでしょうか。
 がんばってください。

 数字といえば、先日運転免許更新のハガキがきました。 
 「後期高齢者はボケテストを受けてください」と書かれていたので、早速街の運転教習所
 へ出かけました。
 見知らぬ老人三人が一グループになってテストを受けるのですが、ここでも数字がすべてな
 のです。
 「76点以上の人は5000円の講習を受けてください それに満たない人は8000円の
 コースです 49点以下の人はダメです 病院へ行ってください」とのこと。
 幸い自分を含む2人は更新できましたが、残る一人は病院行でした。

 数字が突然人生を、生活を、一変してしまう怖さを目の当たりにしました。
 私だって3年後の更新時にはどうなっているのか、分かったものではありません。



 午後には気温も上がり、とうとう山道の雪が全面融解しました。これで泥が少しでも乾いて
 くれれば、重い長靴ともお別れできます。スニーカーが履けて初めて春の実感が湧きます。
  
 雪の春の明るい日曜日に、コロナにも数字にも無縁のこの森で過ごせることに、幸せを感じ
 ています。


 
 
 
 

春の夢

2020-03-09 | 日記


 この一週間、気温が徐々に上がって湖氷がかなり溶けてきました。
 朝晩の冷え込みもやわらいで、陽が射せば家にいるより外へ出たくなります。

 道行く人たちの服装もずいぶん軽くなりました。
 学校が休みだから、コロナを避けて親子さんで自然散策にきたのかもしれません。



 白鳥を探して、やっと一か所で数羽かたまっているのを見つけました。
 いつもの年なら今頃は、湖氷の溶けているところを埋め尽くすように、大集団でやってき
 てはギャーギャー大騒ぎしているのです。
 
 生態系が変わったのでしょうか。
 石器人も縄文人も現代人も楽しんでいた光景が今年で終わったのでしょうか。
 なんでも終わりは予告なしに突然やってくるというけれど、それなのでしょうか。
 だとしたら、淋し過ぎます。



 雪われの中に緑をいくつか見つけました。名前は分かりませんが今年生まれた植物に違い
 ありません。若々しい力強い緑で分かります。



 小樽では長年の地道な放流が実って、数年前からニシンが戻ってきていると聞きます。
 そして昨日、江差でもニシンの産卵で海面が白濁したとのニュースがありました。
 けして、悪いことばかりではありません。

 来年にはコロナも終わって、白鳥もまた来てくれて、シャケもイカもサンマも帰って来る
 かもしれない。
 そうなったら、北海道の夢よもう一度とばかりに、仕事を探して内地にいった人たちは
 ぞくぞくと帰って来るでしょう。
 かっての函館大門のむせかえるような活気を想い出しては、あれこれ希望を紡いでいます。


 
 


 
 
 

春の歌

2020-03-01 | 日記


 いよいよ今日から春です。とは言っても朝がたには、かなりの雪が降りました。
 森の春まだまだは雪の中です。

 でもこれからの一か月半は、ひたすら雪解けが続く希望的な日々です。



 雪解けのこの時季に思い出すのが、山口百恵さん歌う谷村新司さん作の「いい日旅立ち」
 です。
 
  雪解け間近の 北の空に向かい 過ぎ去り日々の夢を叫ぶとき 🎵
      帰らぬ人たち 熱い胸をよぎる せめて今日から一人きり 旅に出る 🎵

 もう何十年も前のことですが「雪解け」を織り込んだこの抒情的な歌が、日本中でヒット
 したのですから、日本人はずいぶん情緒的で優しかったのです。
 そうかと思えばその前には「錆びたナイフ」だの「風速40m」だのと、ほとんど意味不
 明な歌が流行りました。あれは何だったのでしょう。

 一方で今の若者の歌は「がんばれ! 負けるな! 夢を持て! 転んでも立ち上がれ!」
 と人生の応援ソングばかりです。
 それだけ厳しい時代を生きているのでしょう。
 しかし聴いていて疲れることもあります。

 時代の移ろいとともに、人の心も歌も大きく変わるのでしょう。

 しかし今年の春はそんな情緒もヘチマもありません。
 春と一緒にコロナが来てしまいました。
 この森はともかく、街は大変な状態のようです。学校も各施設も閉鎖されました。
 そのうち喋ることも歌うことも禁止されるかもしれません。
 そんな中でマスクを買い占めて高値で売る人が現れました。江戸の飢饉の時と同じ行動
 をとる人がいるところをみると、人の心は時代とは無関係なのかなぁ、とも思うのです。

 とにかく早く終息してほしいものです。
 自分自身も  
    コロ~ナに負けた🎵 いいえ 世間に~負けた🎵  
                       とならないように気を付けよう。

 そんな中でも自然は、雪解けは、確実に進んでいます。
 陽射しはすでに柔らかい春の匂いです。