昔話
2019-06-29 | 日記
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森の六月が終わろうとしています。
この静かな大沼にも、人々の間に悲しい昔話が伝わっています。
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その昔、沼を挟んで二つのコタンがありました。
コタン同士は沼の漁場をめぐって反目し合い、争いごとが絶えませんでした。
子どもたちは長老から「向こうのコタンの人間とは口をきいてはならぬ それ
を破れば禍いがおこるのじゃ」などと教育されていたのでしょう。
しかし、運命はそんなことおかまいなしです。
コタンの酋長の娘と、もう一方のコタンの若い勇者が恋に落ちてしまったのです。
当然二人は人目を避けて会うようになりました。
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その日も若者は娘に会うために、向こう岸から舟をこぎ出しました。
沼の半ばにさしかかった時、にわかに真っ黒い雲が空一面をおおうと
いきなり突風が吹きつけてきて、アッという間に舟は転覆し、若者は
水面に投げ出されてしまいました。気の毒に若者は二度と帰らぬ人と
なったのです。
そして悲しみに暮れた娘もまた後を追って入水してしまったのです。
その後の両コタンは仲良くなったのか、一層険悪になったのかは分かり
ません。ただ北海道駒ケ岳が白い煙を出すのは神がこの争いを怒っている
からなのだというのです。
ここ道南は民話伝説の宝庫です。
さあ、来る七月は文月(ふみづき)書の月です。
短い夜を、道南の昔話でも読みふけりましょう。
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動(yurugi)