森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

雪が降りません

2022-11-23 | 日記


 この数日、穏やかなよいお天気が続いています。
 朝晩は冷え込むものの日中は暖かく、薄着の子たちが元気で駆けまわって
 います。
 そういえば、霜月二十日を過ぎても初雪が降らないなんて、この森では
 初めてのことでしょう。
 天気予報を見ても、この先一週間は降雪のマークが出ていませんから、
 なんとも珍しい、雪を観ない11月となるかもしれません。
 もしやその原因が地球温暖化であるなら、これからもこの状態が進んで
 いくのでしょうね。
 小雪といって喜んではいられない、むしろ怖いことです。



 今日23日は勤労感謝の日です。
 日常で「キンローにカンシャせよ」といわれてもどうにもピンときません。
 もともと人間は、生きるために働くことは当たり前と思っていますから、
 今更ながらキンローに感謝の気持ちはおきません。
 家族を支えるお父さんには「父の日」があるし、子育て家事労働に関して
 は「母の日」があって、それぞれ感謝の気持ちが伝わります。
 しかし勤労そのものに感謝するのは、いかにも抽象的です。

 この日は戦前までは「新嘗祭(にいなめさい)」でした。
 もともと「新嘗祭」はその時の天皇が、新穀などの収穫物を神々にそなえて
 感謝する天皇家の宮中祭祀です。
 明治時代になって国は、日本古来の多神教「神道」を天皇一神教の「国家神道」
 に改造しようとしてこの祭祀を一般化したものとおもわれます。
 ですから、勤労というより収穫された穀物に、とくに「稲」に感謝する意味あい
 が強くあります。
 
 これとは別に、日本の民には古代から五穀の収穫を祝う風習がありました。
 水稲栽培が広まった弥生時代からは、全国各地で独自の収穫感謝祭おこなわれる
 ようになりました。
 しかし明治になってからはアミニズムに近い古来の「神道」に基づく祭祀は遠
 ざけられて「新嘗祭」に統一されていき、現在はほとんど伝承されていません。
 僅かに残存している有名な祭祀に、奥能登の「アエノコト」と石垣島の
 「マユンガナシ」があります。
 どちらも来訪神による祖霊信仰で、日本人の古代精神性を今に伝える、
 大変興味深い祭祀です。
 両地とも中央から遠く離れた、国の眼の届きにくい場所だからこそ生き続け
 られたのでしょう。
 今となっては貴重な無形文化財です。
 
 


 11月23日は「いいふみ」の日だそうです。
 いい文といえば、今月に入ってから何枚かの喪中ハガキが届きました。
 毎年その数が増えています。
 また、「もう年賀状書くのがおっくうだからやめます」という人もいました。
 こうして自然減にまかせていると、最後はゼロになるのでしょうか。
 いや、自分が先にやめるのでしょうか。
 いやいや、なんもわからんようになるんでしょうか。
 まあ、どっちでもいいけど。


 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

 

オオハクチョウがきた

2022-11-15 | 日記


 冬の足音がすぐそこまで近づいてきました。
 どうやら今週中には、初雪が降りそうな感じです。

 早朝からグァ~グァ~と喧しい声がするので、湖に降りてみると岸辺に
 30羽ほどのオオハクチョウグループがいました。
 人の気配を感じてすぐに岸から湖の奥へ泳ぎだしましたが、遠くに離れ
 てもその真っ白い姿は、殺風景な湖面を賑やかに飾ってくれます。
 おおかたの白鳥たちが内地の湖へ渡っていったこの時季に、まだ残って
 いるこのグループは、たぶんこのまま大沼で越冬すると思われます。
 この先春までいてくれるのは、なんとも嬉しいいことです。

 内地の湖は真冬でも凍結しないので、白鳥たちにとってはとても過ごし
 やすいのです。
 さらに、大沼では禁止されている鳥の給餌をおこなっている湖もたくさん
 あります。
 なかでも有名なのは新潟県の瓢湖です。
 毎年、小さな湖に5千羽以上の白鳥類、3万羽を超えるカモ類が集まります。
 いや、集めるのです。
 ここには代々有名人の餌やりオジサンがいて、毎日時間になると大量の
 餌をばらまきます。
 そのオジサンの手捌きの見事さに、また先を競って餌にありつく鳥たちの
 必死の動きに、観光客が感動するのです。
 今では町の貴重な観光資源になっているようです。



 鳥インフルエンザも心配ですが、今日北海道ではコロナ感染が1万人を
 超えました。
 それでもまだ8波にはなっていないとのことです。
 せっかく観光客が戻ってきているので、なんとかこれを維持したいので
 しょう。
 若い人たちは症状が軽いこともあって、ワクチン接種率はなかなか上がらず、
 もはや季節性のインフルエンザと同じ感覚になっているのかもしれません。
 しかし、死者もかなり増えていて、そのほとんどが高齢者ですから、やはり
 我々にとってはまだまだコロナは怖いです。

 この調子じゃ、どうやら来年も厳しい歳になりそうです。
 明るい材料が見当たりませんからね。
 オオハクチョウを観て過ごしましょう。

 初雪直前の北海道駒ケ岳です。


 
 
 
 

 

 
 
  

カラマツの大変身

2022-11-06 | 日記


 広葉樹の紅葉が終わって、いよいよカラマツが冬を迎える大変身を
 始めました。
 ちょっと前まで深い緑をまとっていた巨大な樹木は、じょじょに
 黄金色に衣装替えをしています。
 カラマツは、ゆうに30mを超えるまっすぐですらりと伸びた幹に、
 上方の枝は空に向かって、中間の枝は真横に、下方は地に向かって
 長く伸び、最上部には三角錐の樹冠を被っています。
 カラマツは、この森ではまさに堂々たる存在なのです。
 


 カラマツは大変めずらしい落葉する松です。
 ですから、周辺の地上は徐々に針葉で埋まっていき、道路が埋め尽く
 されると黄金色の長い絨毯を敷いたようになります。
 このとき森の生きものたちは、まるでディズニー映画のワンシーンを
 観るような、幻想的な世界に入り込みます。
 冬がくる前の一瞬の楽しみです。
 ただしカラマツは樹脂が多いため、この絨毯の道はとても滑りやすく
 坂道などは危険になります。特に車は要注意です。

 なを、カラマツは唐(中国)から来たと思っている人が多いのですが
 そうではなく日本の固有種です。
 北海道には信州の山地から来たとか、シベリアなどの北方から来た
 とかいわれていますが、その昔大規模な植林をおこなったことは
 確かです。
 日本以外にはヨーロッパカラマツがあり、シベリア、ポーランドにも
 固有種があります。
 そしてこれらの国々には、不思議な樹カラマツにかかわる神話や
 民話が残されています。
 以前簡単に調べたときには、残念ながらこの種のお話は日本には
 見当たらなかったので、今一度良く調べてみるつもりです。
 これもまた老後の楽しみです。

 11月に入って、森は急に冷え込んできました。
 もう、日中でも二桁気温にはなりません。
 おととい駒ケ岳の初冠雪がありましたし、地上は朝霜で真っ白に
 なっています。
 本格的な冬支度をしなくちゃ。