森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

馬も人も肥ゆる

2022-08-24 | 日記


 お盆が過ぎて処暑に入ると、すっかり秋景色になりました。
 北海道もいよいよ収穫の時期を迎えています。
 栗、トウモロコシ、カボチャ、枝豆・・・どんどん出てきます。
 「天高く 馬肥ゆる 秋」ですが、馬だけではなく人も立派に肥えます。
 
 しかし、北海道ではなぜか他人に対して「いや~肥えたね~」などとはけして
 言いません。
 「肥えた」は牛、馬、豚、専用の言葉です。
 これを間違えると「俺は豚か!」とばかりにヒンシュクを買います。
 東京以西、特に関西や九州では普通に使われている言葉でも、東北や北海道
 ではダメなんです。
 日本語は難しいです。



 少し前までは「メタボ」なんて言葉もなかったから、みんなごく普通に
 「あの人は肥満体です」と言ったものです。
 健康診断の結果でも「肥満体」と書かれた人はずいぶんいました。
 「ひまんたい」なんて、今聞くとどこかの地名のような感じがしますし、
 あまりいい感じはしません。
 
 しかし、当時は「痩せ」よりも「肥満」の方が良いとされていたふしが
 あります。
 ヤセッポッチの政治家や社長さんは「ちょっと頼りないな~」と思われ
 ましたし、商店やお金持ちのおかみさんは、デップリ肥えていないと裕福
 に見えなかったものです。
 
 私など子どもの頃から痩せだったので、お使いにいくとお店のデブの
 オバサンに「あんた ちゃんと食べてるの?」などと言われたものです。
 そんな中で唯一の私の自慢は「座高」でしたが、それも裕次郎がでたころに
 恥ずかしくなって止めました。
 それにしても、あの座高計測って、なんのためにやってたのでしょうか。
 人生の謎です。
 今は身長が、特に上半身が縮んで座高はかなり短くなり、やっと普通の
 旧日本人体形になりました。
 年取るっていいこともありますね。



 秋といえば「サンマ」ですが、いまや北海道でも不漁が続き、たまに店
 にでても大変な高値です。
 かつて、庶民の食卓で一番手頃なおかずだったサンマもホッケも、今や
 高級魚になってしまいました。
 いわしのメザシやハタハタなどは、見たこともありません。
 時代は変わりました。

 それでも畑で獲れるものだけは、変わらずにあります。
 むしろ、海外から伝わった新しい野菜も加わって、全体的に収穫は増えて
 います。
 もう無くなったものは諦めて、新しいものを楽しみたいと思います。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

晩夏

2022-08-16 | 日記


 このところ毎日雨が降っています。
 それも普通の雨ではなく、どしゃ降りと小降りが断続的にきます。
 東北ではこのどしゃ降りが長期間続いて、大きな被害がでているようです。
 これからリンゴの収穫ですから、さらに心配です。
 
 こんな雨のなかでも、時々パカッと雲が割れて嘘のように青空が顔を
 だします。
 そんな時は急いで外に飛び出して、短い距離を歩きます。
 遠くまで行ってしまうと、いつまたどしゃ降りがくるかわかりませんので。
 なにしろ傘などまったく役に立たないほどの大降りなのです。
 


 道端を見ると、この雨でキノコ類はほとんど割れていました。
 しかし花たちはまったく負けていません。
 かなりしおれたように見えても、陽が射すとニュ~と首をもたげて元気に
 なります。
 花には、けして折れない強さがありますね。
 もっともキノコだって、雨が止めば一日で新しいのがでてきますから、
 同じですけどね。
 短い晴れ間を利用するのは、人だけではありません。
 昆虫や鳥たちも一斉に現れます。
 雨音に替わったセミの大合唱は喧しいほどです。
 
 とうとう森の晩夏を象徴する、オオハンゴンソウと赤トンボがきました。
 盆明けの来週はもう秋風が吹くでしょう。
 短い夏です。



 日本列島は、年を追うごとに気象状況が厳しくなっているように感じ
 られます。
 酷暑と豪雨が常態化していて、さらに台風も大型化しているようです。
 この先が心配ですね。
 とくに今年の夏は、長引くコロナの蔓延に加えてカルト宗教の汚染が
 伝えられ、なんともスッキリしない気分で過ごしています。
 
 そうだ、そんな時は秋の美味しい食べ物のことを考えましょう。
 それが心身にいちばんです。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

立秋

2022-08-08 | 日記


 8月に入ってから雨の日が多く、気温は徐々に下がりはじめました。
 今日はもう二十四節気の立秋に入っています。
 いよいよ秋の足音を感じる季節です。
 内地はまだまだ35℃超えの厳しい暑さなのに、申し訳ない気持ちです。
 二十四節気は今の季節感とはずいぶんズレているといわれますが、涼しい
 北海道ではけっこう適用できている部分があります。
 秋といえば誰でも想い浮かぶのが、芭蕉さんの句です。

     秋深き 隣は何を する人ぞ
     物言えば 唇寒し 秋の風

 人はみな、秋風が吹くようになると、さまざまな心の内を考えるので
 しょうか。
 いつまでも夏バンザイをやっていられない、ということでしょうね。
 また芭蕉さんの秋の句の中に、今の北海道にピッタリなものがあります。

     蕎麦はまだ 花でもてなす 山路かな

 旅人に、今はまだ蕎麦の収穫ができていないので、新蕎麦でもてなす
 ことはできませんが、真っ白な蕎麦の花を観て楽しんでいってください。
 といっているのでしょう。
 なんとも優しい心使いですね。



 その昔から上方や西国ではうどん、東国では蕎麦だったようで、その
 伝統は今でも継承されています。
 関東では蕎麦といったら「戸隠」に代表される信州蕎麦がブランドです。
 どちらの店でも「信州の蕎麦粉使っていま~す」といいますが、全部か
 一部かわかりません。
 
 東京では蕎麦色の濃い「藪」と白色の「更科」を掲げる二つの店が
 あって、どちらも蕎麦粉の香りと腰が勝負です。
 どちらかといえば「更科」が高級品のイメージで、値段も少し高めですね。
 なぜか、蕎麦に関してはどこにでもうるさいオッチャンがいて、
 うんちくをやりだすと延々とキリがありません。
 時にはケンケンガクガク口論になることさえあります。
 うどんやラーメンではそんなことはないのですが。
 不思議です。

 それほどみんなに愛されている蕎麦ですが、現在の蕎麦粉の主要生産地
 は信州ではなく蝦夷地です。
 国産蕎麦粉の50%以上が北海道で生産されていて、長野県はわずか
 6%でしかありません。
 すっかり情勢がかわったのですね。
 そしてその北海道産の蕎麦粉のうち、なんと30%が幌加内で作られて
 います。
 幌加内はまさに蕎麦の町といっても過言ではありません。
 その他の生産地も、ほとんどが空知地方に集中していることから、
 空知の気候や土壌が蕎麦栽培にピッタリあっているのでしょう。
 


 しかし驚くことに、これほどの蕎麦好きな国でありながら、なんと僅か
 20%しか自給できていないとのことです。
 残る80%はロシアと中国から安価に輸入しているとのこと。
 いや~びっくりしました。国民食なのに。
 たぶんこの調子なら、うどんもラーメンも同じなのでしょう。
 なんでも安ければいいものと続けてのでしょうが、この先この二国
 はどうなるかまったくわかりません。
 もっともっと北海道の蕎麦粉を使いましょう。
 幌加内の、そして空知の蕎麦栽培を広げましょう。
 土地はいくらでもあるのですから。

 エネルギーと食料のほぼすべてを外国に依存しているこの国は、どんなに
 発展しても砂上の楼閣にすぎません。
 たとえ軍事費を倍にしたところで、燃料と食料を止められたら、すぐに
 この国はおしまいです。
 ・・・なんて偉そうなことをいってしまいました。でも本当のことです。
 
 森の夏も残すところ2週間あまり。
 お盆が過ぎると急に涼しい秋風が吹き、雲の形が変わってきます。
 夏の一日を大切に過ごしましよう。