森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

カボチャがない

2023-12-22 | 日記


 この数日の冷え込みで、湖水は完全に凍結しました。
来春までこんな色のない淋しい景色が延々と続くのですが、
たまに晴日がやってくると、その時の空の色や雲の形によって
ガラリと感じが違ってきます。
暗い殺風景なものが、明るい希望的なものに大変身するから
不思議です。
またそれが冬の楽しみでもあります。

 今日は冬至です。
一年で夜がいちばん長い日ですから、明日からは日を追うごとに
昼が長くなるわけです。
なんと嬉しいことでしょうか。
しかし、寒さはこれからが本番です。
 
 古くから、冬至といえば日本人はカボチャを食べてきました。
それは今でも続いているのですが、カボチャを食べることに
どんな意味があるのか、はたまた誰がいつから始めたのか、
まったくわかりません。
簡単にネットで調べたのですが、やはりはっきりしたことを
書いているものには出会いませんでした。
江戸時代、平賀源内さんが土用にウナギを食べるように仕掛けて、
それが伝統となって今の食習慣になったのは有名な話ですから、
冬至のカボチャにもそんなストーリーがあるのかと思ったのですが、
残念でした。
まあ、そのうち出てくるかもしれません。あるいは誰かが
まことしやかな話を創っちゃうかもしれませんね。

 早速、近くの野菜直売所にカボチャを買いにいきました。
しかし、カボチャはありませんでした。
店の人に尋ねると「カボチャはありませ~ん 入ってきませ~ん」
でした。
町営の野菜直売所ならまちがいなくあるだろうと、いってみましたが
ここにもカボチャは一個もありません。
「カボチャは入ってきませ~ん せっかく冬至だというのにね~」
でした。
ということで、カボチャは諦めてリンゴを買って帰りました。

 北海道はカボチャ出荷量全国の56%を誇るカボチャの産地です。
なかでも、駒ケ岳周辺の火山灰土質で栽培されたカボチャは、甘く
ホクホクで栗のようだと全国的に有名で、豊洲でも高値で取引されて
います。
秋に収穫したカボチャは低温乾燥処理して長期貯蔵することにより
さらにホクホク甘味が増し、この冬至のタイミングでド~ンと内地へ
高値で出荷するのです。
ですから、その辺をウロウロしている土地のジイサンやバアサンに
安く食わしてやってる場合ではないのです。

 生産者の側に立てばもっともな話です。
まったく反論はありませんが、少し淋しいです。

 さあ、いよいよ今年も残り僅か。
どんな年だったのか考える間もなく終わってしまいそうです。
立ち止まる時間を作らなければなりません。



 









 







暗い日々

2023-12-12 | 日記


 昨夜はいよいよ本格的な降雪がきて、今朝の森は真っ白に
変身してしまいました。
どうやらこの雪が今冬の根雪になりそうです。
それでも、いつもの年より一週間も遅かったから、これも
温暖化による異常気象なのでしょうか。
この調子じゃ春もかなり早くきてれそうですが、単純に
喜んでいる場合ではないのでしたね。

 今日、十二月十二日は「石川五右衛門」さんのお誕生日
です。
石川五右衛門といっても今の人なら「だれ それ?」「石川
さゆりさんの お爺ちゃ~ん?」といったところでしょう。
しかし、この人の末裔は誰一人として現代にはいません。
というのも、五右衛門の一族郎党それに親族はすべて幼児に
至るまで、お上によって窯茹でやその他の刑に処されている
からです。
 ものの本によると、五右衛門は今から465年前
(1558年安土桃山時代)に浜松で生まれています。
やがて、そう遠くはない伊賀に渡り忍者の修行をしてから
都に上って小集団を作り、それから大活躍をしています。
大活躍といっても、誰もが知るドロボー稼業ですが。

 盗賊の首長だった五右衛門が狙った相手は、権力者の
大名や大商人に限られていたため、それが義賊となって
やがて庶民の英雄的な存在になっていったようです。
しかし、36歳で捕らえられ処刑されるまでの行動の
記録はなにもありません。
大名家などは盗賊の被害にあったことを「家の恥」
として表沙汰にしたくなかったようですし、また
五右衛門が秀吉に滅ぼされた大名家の生まれ育ちで、
その恨みから行動をしていたなどという説もあります。
出生年と没年がこれほどハッキリわかっているのに、
行動内容がまったくわからないのは、たぶん誰かが
消し去ったのだと考えられます。
また口伝も封じるために徹底的な殺戮をおこなった
のでしょう。
単なる見せしめだけではないと思います。

 なにもわからない五右衛門のことですが、権力の
家を専門に狙ったことで、庶民がある種の痛快感を
覚えたことは確かで、話に尾ひれがついて義賊に
なったのかもしれません。
実際に盗んだお金を貧しい人々に施したかどうかも
記録はいっさいありません。

 話しは急に変わって今日この頃、毎朝政治家
たちの「わるごと」のニュースで目が覚め、そして
一日が始まります。
ラジオを切れば聴かなくてもすむのでが、他の情報
もあるからついつい流してしまいます。
なんと暗い時代になったのでしょう。

嘘か本当かわかりませんが、五右衛門さんの詠んだ
とされる辞世の歌。
「石川や浜の真砂は尽くるとも世に盗人の種は尽くまじ」
が妙に印象的です。


















 



クマが増えて人が減った

2023-12-02 | 日記


 約束どおり雪がやってきて、冬が始まりました。
このところは明るい曇り日が続いていますが気温が低く、ときおり
羽毛のような雪がふわ~と舞い降りてきます。
その雪も、雲が割れて陽が差すとじきに解けてしまうので、まだ
冬景色とはいえませんが無意識に「今年も来たな」と身構えて
しまいます。
こんな日がもう少し続いて、ある日ドカンとまとまった雪が降ると
それが根雪となり、来年の四月まで真っ白の世界になります。



 今年、この森からいちばん近い小学校が廃校になりました。
もうこの十年で近隣市町村の廃校は、数えきれないほどの多さです。
自分は子どもに係わる活動をしているので、時々小学校などを訪れる
のですが、どちらも一学年は一クラスしかなく、生徒数は十名を切る
ぐらいしかいません。
ですから、全校で六十名もいれば多い方です。
なかには、全校で五名という学校もありました。もちろん今はもう
廃校になりましたが。
学校が無くなるのは、なににも増して淋しいですね。
人口減少の時代だからしかたがないとはいえ。

 一方、コロナで止まっていた人口の東京圏一極集中は再開している
ようです。
人は便利な所で暮らすのが常ですから、それは良いことだと思います。
ただこのまま地方から東京圏への人口移動が続いていくと、地方で
食料を生産して東京圏へ送ることができなくなるのではないかと心配に
なります。
地方では人口が減っても食料はなんとか地産地消できますが、東京圏
ではそれは無理です。
すべてを輸入に頼るか、または東京近郊に大規模な農業工場をたくさん
造って、AIとLEDを駆使して工場野菜を作るかでしょうね。

 電力に関してもすべて地方が担っているのですが、こちらのほうは
問題はないようです。
地方の発電所に技術者を交代で派遣して保守管理すれば、あとは電線が
送ってくれますから。

 この国の形が急速に変わっていくことに、もしかしたら東京圏の人々は
気がついていないかもしれません。
というのも、東京圏ではどんどん人口が増え、毎日新しいビルが建ち、
人々は刺激的な生活を享受できるのですから、日本の人口減少など実感
する機会はないのだと思います。
もちろんそれはそれで良いことではあります。

 この山奥ではまだウロウロしているクマがいます。
いつもなら、とおに冬眠しているはずなのですが、食料が足りなくて
腹いっぱいにならないのでしょう。
この国は、クマが増えて人が減る国になりました。