森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

明るい夏がきそう

2022-05-28 | 日記


 やはり6月に近づくと、ぐずついたお天気がやってきます。
 花曇りといったところでしょうか。
 ツツジが見ごろになると、北海道も夏直前です。
 以前ならこの時季から、涼しい夏を求めて北海道に多くの観光客が訪れます。
 近くの国定公園大沼の駐車場には、いつも大型観光バスがたくさん入ってい
 ました。
 やっとコロナが落ち着きつつある今年は、どうなるのでしょうか。
 戻ってくれるのでしょうか。



 コロナ禍の二年半、観光関連の人々にとってはまさに受難の日々でした。
 観光拠点となる大沼公園駅周辺でも、レストランや宿泊施設の閉鎖が目に
 つきます。
 また周辺の学校や保育施設の閉鎖統合、大手のゴルフ場やホテルの売却、
 古くから生活を共に歩んだ鉄道の廃駅、さらに8年後の全廃線、など暗い
 ことばかりで明るい話はついぞありませんでした。
 
 このことは大沼周辺だけのことではなく、日本中の地方の町に普通に起き
 ていることなのかもしれません。
 たとえコロナ禍がなかったとしても。日本の人口、経済、すべてが急速に
 縮小しているのですから、この先もかっての状態に戻るのは難しいので
 しょうね。
 ならば、その分をインバウンドに期待するしかありません。



 今のところ、コロナワクチンは一部で廃棄しているほど、潤沢に入ってきて
 いますし、重症化を防ぐ治療薬も出回っています。
 待望の国産ワクチンも来年には作れるそうですから、今年いっぱいでなんとか
 コロナ禍からの脱出ができそうです。
 もちろんウイルスが完璧になくなるには、かなりの時間がかかるとのことです。
 地球全体でなくならなければならないので。
 報道では、アメリカですでに呼気だけで、しかも3分間で結果が出るPCR
 検査が始められているそうです。
 また、錠剤の経口ワクチンが完成して臨床試験をしているとのことですから、
 これがでてくれば、小さい子にも抵抗なく使えるようになります。
 
 こんな明るいニュースが入ってきているので、今年いっぱい我慢すれば、
 来年からはもとの生活に戻ることができそうです。
 やはりスペイン風邪の時と同じように終息には3年はかかるのですね。
 やっとトンネルの先に光が見えてきました。
 もう少しです。




 
 
 
 
 
 

風のまち

2022-05-21 | 日記


 毎年、この時季になると日本海まで車を走らせます。
 それは大切な仕事のひとつである、鉱石採取のためです。
 鉱石採取といえば聞こえはいいのですが、つまりは河川や海岸での石拾いです。
 このところ気温は徐々に上昇して、晴てくれれば日中は15℃を下ることはない
 ので、長い時間野外にいても冷えこむことはありません。
 また山の雪もほぼ消えて、雪解け水で河川が荒れたり水面上昇することもなく
 なりました。
 いよいよその時季がやってきたのです。
 ただ、最近しょっちゅう出没しているクマには気を付けなければなりません。
 
 先日はお天気にも恵まれ快適なドライブでした。
 道南は逆T字形の半島で東は噴火湾(太平洋)で西は日本海です。
 一番細いところでは双方の距離は、わずか30kmしかありません。
 自分の小屋は、逆T字の根元あたりの噴火湾に近い場所にありますが、それでも
 100kmも走れば日本海に到達します。
 日本海を南下して目的地にいくのですが、途中にやたらと風の強い地域を通ります。
 それが風のまちです。プロペラのあるまちです。



 かってこの海からはニシンやタラが豊富に獲れ、海岸は漁師たちの舟や漁具で溢れ
 かえっていました。
 獲れたものは乾燥させて、それぞれ身欠きニシンと棒ダラになり、北前船で本州に
 運ばれていきました。
 とくに京都では、コンブと共に貴重な食材として扱われたようです。
 我々は正直いって、どこでどんなふうに使われているのか、あまり関心がありません
 でした。
 しかし、京都でニシンそばを食べたときにはビックリ仰天しました。と同時に関西人
 の料理の凄さを感じました。
 また福岡で初めて辛子明太子を食べたときも、ショックを受けたものです。
 しかし、ニシンの大半は乾燥粉砕して、当時海外から持ち込まれた綿花の栽培の肥料
 として使われたそうです。
 特に江戸期の綿花栽培は、このニシン肥料がなかったら成功しなかったといっても
 過言ではないそうです。
 なにしろ、日本に綿が持ち込まれる前は絹と麻しかなかったのですから、画期的な
 ことだったのでしょう。
 
 そのニシンもタラも今ではほとんど獲れません。
 とくにニシンは100年ほど前にパッタリいなくなってしまいました。
 人々は悲嘆にに暮れました。
 そして今、ニシン代わってこの白いプロペラが現れました。
 やっと新しい道が開けたのです。
 しかし、年寄りたちは100年前の悲惨なニシン漁のことが頭をよぎります。
 この風もある日を境に、パッタリと吹かなくなるのではないかと。
 そのいちばんの不安要素は地球の温暖化による気候変動です。
 
 いやしかし、悪いことばかりではないと思います。
 逆にもっと強くて止まない風が吹くようになるかもしれません。
 そうしたらもっともっとプロペラを増やして、安定した豊かな生活ができるので
 すから。
 今は風の神に祈りましょう。

 遠くにユーラップ岳がまだ雪を被っていました。
 その昔アイヌさんたちに神山として崇められた山です。
 今またお願いいたします。
 麓ではモコモコした八重の桜が満開でした。




 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

 

北海道にないもの

2022-05-13 | 日記


 暖かい穏やかな日が続いています。
 気温は徐々に上昇して、湖は初夏のような景色になりました。
 梅雨のない北海道ですから、嬉しいことにしばらくはこの爽やかな天候が続き
 ます。
 花たちがまるで出番を待っていたかのように、次々と順序をまちがえずに顔を
 だしてきます。
 今いちばん元気なのがチューリップです。
 ピッカピカに輝いています。



 花が咲きだすと、空にも地面にも虫たちが一斉に現れます。
 みんな人なつっこく、歩いていても顔に当たってきます。
 時には耳や鼻に入ってくることもありますから、虫の嫌いな人はこういう所
 ではとてもじゃないけど暮らせません。
 子どもたちにとっては天国ですが。



 沖縄に続いて奄美が梅雨入りしました。
 いよいよそんな季節になりましたね。
 もうじき九州も梅雨に入って、約一か月かけて東北まできますが、ありがたい
 ことに北海道には梅雨は上陸しません。
 なんでも梅雨前線が届かないからとのことですが、詳しいことはわかりません。
 ただし、まったく梅雨の影響がないわけではありません。
 6月は道南でも雨の降る日は多くなります。
 かといって、本州のように1ヵ月以上も降り続くことはなく、せいぜい1~2週間
 しかも断続的に、しとしと小雨が降る程度です。
 
 本州では毎年のように梅雨の終盤に豪雨がきて、河川の氾濫やダムの決壊が
 おこり大きな災害が発生しています。
 報道などでは「想定外」や「百年に一度」などの言葉がおどり、「しかたがない」
 もののように伝えられていますが、なんとも気の毒なことです。
 ただ最近の情報では不気味なことに、毎年この時季の北海道の降雨日が増えている
 そうなんです。
 原因はわからないのですが、たぶん地球温暖化の影響ではないかといわれています。
 とすれば、この先降雨日は増え続けていくのですから、つまり北海道にも梅雨が
 やってくるのでしょうか。
 我々は、河川の氾濫などほとんど経験がありませんから、用心しなければ大変な
 ことになりかねません。
 怖いですね。



 昆虫たちが活発に動きだしてきましたが、本州にいて北海道にいないものが
 ゴキブリです。
 もともとゴキブリは寒い土地では繁殖できない昆虫ですから、もちろん森でも
 近くの町でも見たことがありません。
 ところがなんと最近、札幌あたりの飲食店などで、しばしば見かけるそうです。
 都会のビルや施設では24時間、空調や冷蔵庫が稼働していますから、その排熱
 で温まりゴキブリにとって住みやすい環境になっているようです。
 さらにここでも、地球温暖化は大いに関係しているとのことです。
 今のところいるのは、まだ小ぶりの茶っぽいゴキブリのようですが、なにしろ
 繁殖力の凄い連中ですから、そう遠くないうちに真っ黒でデッカイやつがくる
 ことは間違いないでしょう。

 梅雨もゴキブリも、この森にはきてほしくないです。
 エゾヤマザクラが、わずかにがんばっていました。


  
 
 
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

タンポポがきた

2022-05-05 | 日記


 ヤマザクラが散ってしまいました。
 ほんの短い期間でしたね。
 代わってドーッと現れたのがタンポポです。
 
 タンポポの生命力には驚嘆するばかりです。
 通常、野の花は地面に咲くものですが、タンポポばかりはどこにでも咲きます。 
 高い土手の上はもちろん、道路のアスファルトと縁石の間からも、こんな
 垂直なコンクリート壁のわずかな隙間からも顔をだしてきます。
 なにしろ、あのフワフワ綿毛の飛んでく先なら、どこからでも生まれてきます。
 地味な植物ですが、強いです。

 よく考えると、あの綿毛の種も不思議です。
 この黄色い花がいつの間にか球形の白いモフモフ花に変身してしまうのです。
 知らなかったら、とうてい同じものとは思えません。



 ちょっと前までは、少し小ぶりなニホンタンポポとこのセイヨウタンポポが
 混在していましたが、今はほぼセイヨウタンポポに置き換わっています。
 セイヨウというぐらいですから、ヨーロッパの方から来たのでしょうか。
 この種類は在来のニホンタンポポと違って、昆虫に受粉してもらわなくても
 自分の花の中で、自分の種を作ることができるとのことですから、繁殖の
 スピード早いのでしょう。
 やはり早いものにはかなわないのですかね。
 観る方は無責任にどちらでもいいのですが。



 花々が咲きだすと急に忙しくなるのが、ミツバチ屋さんです。
 この森の近くにも3軒の養蜂家がいらっしゃいます。
 直接親しいわけではないのですが、なにかがあったときにその天然の蜂蜜を
 買って食べます。
 土地の花で、土地のミツバチたちが作った天然ものは、スーパーで買うものとは
 まったく別ものです。
 さっぱりした中に、深い味わいのあるすばらしい美味しさです。
 ただし、当然のことながらかなり高価なものですから、しょっちゅうは買え
 ません。
 それじゃなくても、エンゲル係数がかなり高いのですから。

 もう少しすると、本州の養蜂家がトラックに巣箱を満載して北海道にやって
 きたり、北海道の養蜂家で本州でミツバチを越冬させて戻る人たちで賑やか
 になります。
 この人たちは行く先々で、ミツバチは農家の作物の受粉に役立つことから、
 歓迎されています。
 大変ですけど、いい仕事ですよね。

 じつは、ミツバチもタンポポとおなじく、セイヨウミツバチと少し小さい
 ニホンミツバチがいます。
 ニホンミツバチは本州、四国、九州なら街でも野でもどこにでも生息して
 います。
 しかし、なぜか北海道と沖縄にはいません。
 専門家が何度も持ち込んで生息を試したのですが、ことごとく失敗した
 とのこと、原因は未だにわかりません。
 今は数的にはセイヨウミツバチが圧倒的に多いために、ニホンミツバチの
 蜂蜜は希少で、価格はセイヨウミツバチの2~5倍もするそうです。
 これじゃあ、自分は一生口にすることはできないでしょう。
 ミツバチが一生かけて採取する密の量は、わずかティースプーン1~2杯
 だそうです。
 ミツバチさんありがとう。

 意外なことに、水芭蕉がまだがんばっていました。
 もうすっかり泥沼の水も乾燥したのに。
 植物は強いです。