森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

猛吹雪一過

2023-01-27 | 日記


 今週明けから3日間続いた猛吹雪がやっと収まり、昨日は朝から陽が出て
 青空が広がりました。
 しかし、猛吹雪一過でも気温は例年並みに戻らず、かなりしばれたまま
 です。
 おかげで、昨日はダイヤモンドダストがきらきら舞って、幻想的な森の
 風景に浸ることができたし、今日は久しぶりに外を歩いてキュッキュッと
 雪の鳴き声を聴くことができました。
 これも記録的な寒波がもたらしてくれたのですが、各地では被害がでて
 いますので、喜んでいては申し訳ないと思います。
 
 朝いちばんの仕事は雪にすっぽり埋もれた車を掘りだすことでした。
 当初は、この雪の量は大変だと覚悟して始めましたが、低温の雪は
 サラサラと軽く流れて、意外と簡単に終わりました。

 今冬は小雪でいいあんばいと油断していましたが、今回の猛吹雪で
 一気に例年並みの積雪になりました。
 この森でいちばん怖いのは倒木と噴火被害です。
 今回もかなりの倒木が見られました。
 やはり、北海道の森の中の生活は甘くはありません。



 倒木や噴火など、何かあった時に逃げるにはモノが少ないほうがいい
 のです。
 もともと必要なモノしか持たない生活をしてきたつもりなのですが、
 今回あらためて周囲を見渡すと、ごちゃごちゃとガラクタがいっぱい
 溜まっていることに気づきました。
 よく見ると、そのガラクタの一つ一つに出会った時の想い出が貼り
 ついていて、この小屋に来るまでのストーリーが浮かんでくるのです。
 「こりゃ~ 簡単に捨てられない 決断がいるなぁ~」と感じました。
 
 今は世をあげて「捨てろ捨てろ!年取ったらモノは要らない」の時代
 です。
 マスコミでも、たびたび「モノ捨て指導者」が断捨離を提唱して、
 もてはやされています。
 しかし、自分の場合この数年で年賀状が半減し、それに代わって居なく
 なった人の連絡が来るようになると、せめて身の回りのガラクタだけでも
 あったほうが賑やかでいいのではないかと思うこともあります。
 
 いっそ、世の風潮の抗ってモノを捨てないで増えるままにしていたら
 どうなるのでしょう。
 たぶん行き着く先は、「森の中のゴミタメ小屋」なのでしょうから、
 だれかが迷惑するのでしょうね。

 どうやら今年の課題のようです。
 雪に埋もれて考えましょう。



 
 
 
 

 
 
 

 

寒の花

2023-01-20 | 日記


 今日から大寒です。
 今年の大寒は1月20日から2月3日までで、大寒明けの2月4日が
 立春です。
 内地では大寒の15日間を寒さの底として、これをやり過ごしさえすれば
 春はすぐ近しです。
 今朝のラジオで「歩いていると ロウバイの香りがして きょろきょろ
 見まわしました」とリスナーがいっていました。
 
 内地で寒の花の代表といえば、梅、椿、蠟梅です。
 そしてみな良い香りを放ちます。
 特に蠟梅の香りはそうとう強いので、道を歩く人々はかなり遠くからでも
 気が付いて枝を探します。
 見つけると「あった! あった!」とまるで春を探し当てたように
 大喜びします。
 ちなみに北海道には蠟梅はありません。
 私はいい歳になるまで「蠟梅」を「老梅」と思っていました。
 なんという無知なのでしょう。

  「梅が香に 追ひもどさるる 寒さかな」  芭蕉

 この森で梅が咲くのはまだまだ先です。
 もうこのところ、長く花や緑を観ていません。
 懐かしくなって小屋の近くをウロウロ、それらしきものを探しましたが、
 いくらなんでもまだ見つかるわけがありません。
 ここでは、これから2月いっぱいが寒さの底ですから。



 函館からは醸造屋さんの「寒仕込み」のようすが伝えられています。
 酒、醤油、味噌、の仕込みには雑菌の繁殖の少ない寒の水が都合よく、
 また発酵もゆっくり進むので、深い味わいがでるそうです。
 近年、北海道では一級品のお米がとれるようになり、良いお米と良い水
 が揃って各地で醸造業が発展しています。
 
 函館でも数十年ぶりに日本酒の新しい酒蔵が誕生しています。
 また2~3年前にはフランスの有名ワイナリーが函館に来て、
 現在生産準備しているそうです。
 なんでもブルゴーニュと函館の気候が良く似ていて、ワインのブドウ
 の生産に適しているそうです。
 日本の沈滞がいわれるなかで、函館は元気になるかもしれません。
 希望的ですね。

 寒い時期の楽しみの一つに、「空と雲」の色を眺めることがあります。
 水色の絵の具を流し込んだような平面的な空に、純白の雲がまるく
 固まってポッポッと低く浮かびます。
 少し風があると一斉に移動したり、まるで生きもののようで、観ていて
 飽きることがありません。
 年取ってから、少しずつ冬が好きになっています。


 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

縄文遺跡

2023-01-12 | 日記


 だれもが「一月は あっという間に過ぎるよ」といいます。 
 確かに年が明けてから、ちょっとボケ~ッとしていただけなのに、もう
 小寒が過ぎて中旬になってしまいました。
 窓から、雪の上に残ったキツネの足跡など数えているのでは、脳に良
 くないと考えて、近くの町の郷土資料館をのぞいてきました。

 この辺りは縄文遺跡がたくさんあって、道路工事のたびに新しい遺跡が
 現れます。
 土器などはザクザク出ますので、これらの展示はごくありふれたモノの
 ように、無造作に台の上にポコンと置かれています。
 それがまた、なんとも楽しいのです。
 縄文人と同じ生活感を味わえるのです。
 まあ、勝手にそう感じているだけなのでしょうが。



 道南は縄文遺跡の宝庫なのですが、それより前の後期旧石器時代の遺跡
 はごく少ないのです。
 それは人が住んでいなかったわけではなく、その地層に達するまで深く
 掘らなかったのです。
 それは日本には縄文以前の旧石器時代はなかったのだ、と決められていた
 からです。
 ですから我々も学校では、日本人は縄文時代に現れたと教わりました。
 子どもたちはみんな「日本人はどこから生まれたの?空か海か地面か木?」
 などと不思議に思い、先生に尋ねたのですが先生は「わからん!」
 と怒るばかりでした。
 想えば、本当にわからなかったようです。

 今はもちろん科学的な教育になっていますから、学校で旧石器時代のことも
 教えています。
 また発見された遺跡も旧石器時代の地層まで深く掘っていますから、その
 時代の石器や貴重な土器も現れて研究がすすんでいます。
 自分としては、縄文時代と同じく、いやむしろ後期旧石器時代のほうに
 関心があります。
 そのころは、北海道にでっかいゾウがたくさん歩いていて、人間とともに
 暮らしていたのですから、いったいどんなようすだったのかと、想像する
 だけでも楽しいのです。

 さあ、来週はもう大寒に入って、今冬いちばんの寒い日々がやってきます。
 いつまでもボンヤリしてはいられません。
 頭も身体もピリッとしましょう。