昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

「みんさー工芸館」琉球時代の織物の歴史

2007年07月22日 | 沖縄の旅
石垣市登野城にある「みんさー工芸館」へ行きました。



門を入り、正面の建物1階に工房・展示販売店、2階に資料展示室があります。
門を入り左側の建物には、染色した糸が干されていました。


門を入った植え込みで、シーサーが出迎えてくれました。
後ろの玄関にもなかなか面白いシーサーがいます。


2階に資料展示室に上がるとミンサーの美しい作品が展示されていました。


これもミンサーの作品です。


写真の帯は、「みんさーふ」と呼ばれ、女性が心を込めて織って婚約した男性に贈ったそうです。
その隣の「チダマ」は、「みんさーふ」のお返しに男性から女性に贈られるものだそうです。


「みんさーふ」は、木綿糸を藍で染めて織り上げたもので、帯の絣(かすり)模様に意味があるようです。
昔の結婚は、男性が女性の実家を訪ねる「通い婚」と言う風習だったようです。
帯の中央に白い四角の模様が五つのものと、四つのものが交互に並んでいます。
「いつ(五)の世(四)までも末永く」という願いが込められてるそうです。
又、帯の両端にある「ヤッサミ模様」は、ムカデの足に似ており、「足しげくおいでください」と言う意味になるそうです。
なんだかこじ付けの様にも思えますが、一応信じておきましょう。

「みんさー」の語源も案内されていました。

めんさ  めんさ
「綿紗」・「綿狭」
    ↓
発音上沖縄の母音は、アイウの3音のみ(エオがない)
ま み む め も
       ↓    ミンサー
ま み む み む


写真は、「八重山上布」と言い、「苧麻(チョマ)」の繊維(麻に似た繊維)で織られた伝統的な織物です。
昔、宮古・八重山に人頭税制があった時代、首里王府が女性から織物を厳しく取り立てていた悲しい歴史があります。
涼しそうな白地に落ち着いた絣模様に親しみを感じます。


写真の両側に立つ女性マネキン人形には、琉球王朝時代の衣装「スディナ」が着せられています。
又、向って右のマネキン人形には伝統的な士族婦人の略礼装で、「カカン」と言う巻スカートのようなものが「スディナ」と一対で用いられていたようです。
中心に立つ男性の衣装は、黒朝衣(クルチョージン)・大帯だそうです。
「黒朝衣」は、王府時代の三司官以下の士族の礼装だそうで、絹や、麻などの繊維を藍染で作られているようです。
「大帯」は、前で大きく結んでいますが、礼装とは言え、お腹が出た人にはつらい服のように思えます。


「夏川りみ」さんがNHK紅白歌合戦で着た衣装が展示されていました。
「涙そうそう」でブレイクし、2002年の初出場した時に着たのが青色の衣装で、沖縄の海の色を表現したと思われる「みんさー」のドレスにはちょっと感動しました。


写真に向かって右上に「みんさー工芸館」館長の新絹枝が掲載されていました。
新絹枝館長は、この施設を経営する株式会社あざみ屋の創業者で、衰退する「みんさー」の復活に取り組まれ、2000年には「現代の名工」の認証を受けられたそうです。
一階の販売店では「みんさー織り」がハンドバッグ・財布・花瓶敷きなど現代生活で使われるものが売られていました。
「みんさー工芸館」のサイトにはオンラインショップもあります。


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