昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

北海道旅行No.53[最終回] 支笏湖畔「苔の洞門」の風景

2012年03月18日 | 北海道の旅
2011年6月3日から8日間、妻と北海道旅行をした思い出を約8ヶ月間に亘って掲載してきましたが、今回が最終回です。

雄大な「羊蹄山」の風景を見た後、支笏湖の南岸にある「苔の洞門」に立ち寄りました。



「支笏湖」に流れ込む「美笛川」の清流です。

国道276号を「支笏湖」の西岸に近づくと、左手に「美笛川」が並行して流れてきます。

「美笛トンネル」入口付近の路肩に車を止め、さわやかな新緑の中を流れる「美笛川」の風景を眺めることができました。

この清流が支笏湖の高い透明度の元となっているようです。



支笏湖の南岸、国道276号沿いにある「苔の洞門ネイチャーセンター」です。

道路の標識に「苔の洞門」の案内表示があり、立ち寄ったものです。

「苔の洞門」は、徒歩で約20分の場所にあるようでしたが、空港の搭乗時刻まで余裕があり、行ってみることにしました。

■「苔の洞門ネイチャーセンター」裏手にあった苔の洞門の案内板です。
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苔の洞門
●苔の洞門の生い立ち
 苔の洞門は、寛文7年(1667)の樽前山大噴火の際に発生した火砕流から生じた熔結凝灰岩が、長い年月を経て浸食されてできた涸れた渓谷です。
 切り立った岩壁をコケが覆い、渓谷の上から差し込む木漏れ日を受けて、幻想的な緑の世界をつ<り出しています。
 火砕流は、火山灰や軽石を含んだ高温の火山ガスが高速で斜面を流れ下る現象で、火山災害の中で最も恐ろしいものの一つです。
●洞門のコケ
 苔の洞門の岩壁には、エビゴケ、ジヤゴケ、チョウチンゴケ類、ムワムクゴケ類など30数種類のコケがびっしりと密生しています。
 コケ植物は一般に陰湿な環境を好みます。岩壁の熔結凝灰岩が含む適度の湿気と、木々を通って<る弱い光が、コケの生育に適した環境をつくって、このような見事な群生となったのでしょう。
 とても成長が遅い植物なので、傷つけないように観察してください。
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上段は、案内板にあった「支笏湖」付近の地図で、「苔の洞門」は、地図上(南)の「P 現在地」の場所にあります。

「苔の洞門」のすぐ左(東)には「風不死岳[ふっぷしだけ]」、その上(南)に「樽前山」、地図下(北)の対岸には「恵庭岳」がそびえる風光明媚な湖です。

下段は「苔の洞門」付近の地図で、「苔の洞門ネイチャーセンター」から「観覧台」まで750mとあり、その先に「苔の洞門」が続いているようです。



さわやかな緑に囲まれた「苔の洞門」の道です。

木の下には伸び始めたシダ類や、フキが広がり、やさしい緑の世界を演出しています。



「苔の洞門」への道の途中にあった木や鳥を紹介する案内板がありました。

上段の「苔の洞門附近で見られる樹木」は、「苔の洞門ネイチャーセンター」から400m地点にあったものです。

ミズナラ、ドロノキ、ハンノキ、ウダイカンパ、ハウチワカエデ、イタヤカエデ、ハリギリが紹介されていますが、この一帯は針葉樹のない林でした。

下段の「支笏湖周辺で見られる野鳥」は、、600m地点にあったものです。

様々な鳥がいる中で、左下に風変わりな「エゾライチョウ」が目につきました。

案内板の説明文には意外にも「細い枝の上を器用に歩きます」とあり、あまり飛ばない本州のライチョウとは大分違うようです。



「苔の洞門」に近い道の脇に苔むした大きな岩がありました。

火山活動で出来た広大なくぼ地に溜まった支笏湖畔、この林には岩が苔むすほどの湿気があるようです。



「苔の洞門」の観覧台に上る階段です。

なだらかな林の道の先に斜面があり、「苔の洞門」はその上にありました。

階段の下には監視員と思われる人がいましたが、この一帯がヒグマの生息地と書かれた案内板もあり、遭遇の可能性を考えると、こわいお仕事です。



階段を上り切ると狭い観覧台がありました。

「苔の洞門」への道はここで終了、先へは進めませんでした。



観覧台から見た「苔の洞門」の風景です。

確かに珍しい風景ですが、ガッカリ感が漂う観察になりました。

「苔の洞門」には歩道が見られ、かつては歩いて観察できたようで、入口附近までには近づける配慮が欲しいものです。

案内板では、1667年(寛文7)に「樽前山」が大噴火、その火砕流に深い谷が刻まれたとあり、苔むした渓谷となった約350年のドラマはこれからも続き、未来にはもっと驚くような風景を見せているかも知れません。



観覧台の階段下の案内板に「苔の洞門」を奥に進んだ風景が掲載されていました。

苔むした岩の渓谷が延々と続き、90mから370m先までの風景が並んでいますが、人の姿などがないためスケールがよくわかりません。

160m地点の風景では、V字形の谷に丸い岩が挟まり、人はその下を歩くようで、かなり大きな岩のようです。

■「苔の洞門」の写真に添えられた説明文です。
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支笏洞爺国立公園 苔の洞門
苔の洞門データ
①位 置 支笏洞爺国立公園支笏湖南岸(北海道千歳市支寒内)
②標 高 駐車場入口 250メートル  洞門終点 340メートル
③総延長 洞門入口から420メートル
④洞門内で見られるおもなコケ
  エビコケ、エソチョウチンコケ、ジャコケなど
苔の洞門
 苔の洞門は、樽前山の西暦1739年の噴火によっ生じた火砕流堆積物(溶結凝灰岩)が、噴火直後に頻発した土石流等により急激に浸しょくされてできたものです。
 この峡谷の岩壁には、約二十数種類のコケ植物が密生しており、これらは、適度な日照と湿度などの非常にうまく保たれた自然条件によって形成されております。
 このように、コケ植物が着生する特異な景観は私達の目を魅了するばかりではなく、学術的にも大変貴重な存在です。みんなで十分に保護しましょう。
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観覧台の階段下の苔の案内板にあったに苔の絵です。

左から「エビゴケ」「ジャゴケ」「エゾチョウチンゴケ」「オオホウキゴケ」です。

岸壁は、緑のビロードの様な苔で覆われていますが、10種類以上の種類が生えているとは意外でした。

■苔の絵に添えられた説明文です。
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苔の洞門のコケ植物
苔の洞門で多く見られるコケ植物は、次のとおりです。
●蘇類(せんるい)
 エビゴケ・エソチョウテンゴケ・スジチョウテンゴケ・タカネスギゴケ・ セイタカスギゴケ・ヤマコスギゴケ・エソノコブゴケ・ミヤマサナタゴケ
●苔類(たいるい)
 オオホウキゴケ・シャゴケ
代表的なコケ植物の特徴  代表的なコケ植物の特徴は、次のとおりです。

エビゴケ(エビゴケ科)
 エビゴケは主に、山地の日P芸地の、やや湿気のあるような岩面に垂れ下がるように群生し、葉の中央脈(中肋)がエビの触角をおもわせるように突出しているコケ植物です。
洞門内の岩面の大部分がこのエビゴケでおおわれています。

ジャゴケ(シャゴケ科)
 シャゴケはヘビのウロコのような六角形の区画が表面にみられ、湿った岩の上や土の上に生育し、人家のまわりにもみることができます。洞門内の中腹部に、まるで緑色のヘビがはうように群生する様子がみられます。

エソチョウチンゴケ(チョウテンゴケ科)
 エソチョウテンゴケは、山地の腐木の上や若の上に生育し、茎の先端に小枝状の無憎芽をつけます。胞子体の頭の部分はチョウテンがぶらさがつたようにみえます。洞門内ではエビゴケの次に多くみられるコケ植物です。

オオホウキゴケ(ツボミゴケ科)
 オオホウキゴケ1ま、湿つた岩の上や土の上に重なりあつて群落をつくります。個体13緑色で、ときとき赤みをおむます。一種独特な香りを持っていて、洞門入口付近や終点付近の岩の上や岩壁に密集して生育しています。
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支笏湖の南岸、「苔の洞門」附近の地形図です。

「苔の洞門」と同様、「風不死岳」の東にも数本の渓谷が見られ、「樽前山」の南東にも数本の渓谷が続いています。

「苔の洞門」は、「樽前山」が大噴火して周囲に火砕流を噴出、それが固まって熔結凝灰岩となり、浸食された地形であるとする説明がこの地形図により納得できました。

古い建物や、遺跡・遺物などから学ぶ歴史だけではなく、北海道の大自然の歴史も実に興味深いものです。


新千歳空港を起点にレンタカーで、道東の根室半島まで達し、襟裳岬を経由して北海道南端の渡島半島、積丹半島、小樽をまわる約3,000Kmを走破する楽しい旅になりました。


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