昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
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北海道旅行No.45 江差の風景と、繁栄の歴史

2012年01月28日 | 北海道の旅
北海道旅行6日目 6/8(水)、上ノ国を出発して江差町へ着いたのは16時半頃でした。

この後、明るい内に函館まで戻り、2010年に完成した五稜郭跡の「箱館奉行所」を見る予定で、時間がなく、ちょっと立ち寄った江差の風景です。



上ノ国から日本海海岸を北上、左手に鴎[かもめ]島が突き出た江差の町が見えてきます。

左手の海岸に見える三本マストの船は、青少年研修施設「開陽丸」です。

江戸時代、江差は、鰊[にしん]漁で大いに繁栄し、「江差の五月は江戸にもない」とまで言われ、蝦夷地では最も賑わう港でした。

蝦夷地の日本海沿岸の産物は、江差を経由して南に運ばれ、琉球などにも流通していたようです。



江差の町の地図です。

左下は、周辺の地図で、5Km南に上の国があります。

鴎島の東側の湾に江差港があり、港を中心に町がつくられています。



鴎島へ続く砂浜に青少年研修施設「開陽丸」がありました。

この施設は、箱館戦争の最中に江差沖で座礁・沈没した江戸幕府の艦船「開陽丸」を模した鉄筋コンクリート造りの建造物です。

実物大(長さ約73m、幅約13m)で再現され、海底から引き揚げられた「開陽丸」の遺物が展示されているようです。

「開陽丸」は、幕府がオランダへ発注して建造された戦艦で、箱館戦争では旧幕府軍の旗艦となる重要な戦艦でした。

榎本武揚率いる旧幕府軍を江差制圧のため上陸させた後、「開陽丸」は、暴風雨によりこの沖で座礁、さらに箱館から救出に来た戦艦「神速丸」も座礁したため、旧幕府軍の海軍力は致命的な打撃を受けてしまいました。



青少年研修施設「開陽丸」を過ぎると案内板「かもめ島歩きMAP」がありました。

島の左右には松前藩時代に沿岸警備で築いた砲台跡があり、直進すると「鴎島灯台」や、「江差追分節記念碑」などもあるようです。

時間があれば北前船で賑わった江戸時代の江差港を想い浮べながらゆっくりと散策したいものです。


上段のMAP「現在地」から見た「弁天島」と、江差港の風景です。

島の断崖の下に右手の防波堤に続く散策道があり、途中に大きな「瓶子岩」があります。

江戸時代、松前藩は、交易船からの税を徴収するため、蝦夷三湊(松前、江差、函館)のいずれかへ立ち寄るよう義務付けていました。

その中でも江差港は、中核となる港でしたが、幕末の1854年(嘉永7)、日米和親条約で箱館が国際貿易港となり、中核の座を譲ったようです。

しかし、明治から昭和まで鰊の豊漁が続き、港町の繁栄はまだまだ続きます。



江差港に浮かぶ巨大な「瓶子岩」[へいしいわ]です。

太い注連縄が掛けられ、「瓶子岩」は、海の安全や、大漁を願う漁師の守り神でした。

「瓶子」とは神社や神棚に酒をお供えする瓶で、この「瓶子岩」は逆さに置かれた形のようです。

昔、鰊の不漁が続いた時、「瓶子」に入った神水を神様から頂き、海に注いだところ鰊が戻ってきたと言う伝説があり、その瓶がこの岩になったとされています。



国道227号の脇に廻船問屋「横山家」の長い建物が見えてきました。

「横山家」の家屋は、国道と並行するかつての表通りだった右手奥の道沿いにあります。

江戸時代、江差には廻船問屋が13軒あり、その一部は松前藩から税の徴収を任されていたようです。



国道に面した「横山家」の倉庫です。

かつてこの建物は、海岸沿いに建っていたとされ、国道227号までは海だったようです。

船から陸揚げされた海産物は、すぐに海岸の倉庫に運び込まれるよう配慮されています。

横山家の出身は、現在の石川県珠洲市三崎町(能登半島の先端付近)の出身であることから、海運により財をなしたものと思われます。

左の長い建物の下部には柱があり、海に突き出た建物部分を支えているようです。

又、建物のやや左部分には出入り口のようなものがあり、倉庫の搬入出に使われていたものかも知れません。



横山家の近くにあった「姥神大神宮[うばがみだいじんぐう]」です。

「姥神大神宮」は、江差の産土神とされ、江差港に浮かぶ「瓶子岩」と同様に鰊漁の守護神としても崇められているようです。

1447年の創建とされる「姥神大神宮」は、函館にある北海道最古の船魂神社(1135年創建)には及ばないもののこの地に古くから和人系(渡党エゾ)の人々が住んでいたことを教えてくれます。

アイヌ以前の歴史は別格として、北海道は、広大な自然の風景と、明治以降の歴史を味わう土地と思っていましたが、渡島半島南部には中世からの和人系の歴史が想像以上に残っていることを学ぶことが出来ました。



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