まず、この写真をご覧ください。
これを見た大抵の人が16番(かHO)、あるいはそれ以上のサイズの模型だと思われるのではないでしょうか。
ですがこれはれっきとしたNゲージのモデルです。
それも電気機関車の中でもマイナー中のマイナーモデル、ED54形というから二度びっくりです。
実を言うとこれを見るまで、ED54のNゲージモデルが存在する事自体を知りませんでした。
メーカーはムサシノモデルという殆ど16番ブラスモデルの専業みたいなメーカーだったのもこの場合は盲点でした。
この間、中村精密のC55やワールド工芸のEF58が入線しただけでも大騒ぎだったのに今回はそれ以上のインパクトです。
ところで、実車の世界では「54」の型番を取る機関車は残念な結果に終わる機種が多いという事で定評(?)があります。
C51の改良型でありながら性能が中途半端で消えてしまったC54、EF52のギア比を変更した新形式だったために活躍の場を狭められて最後は図体の大きい入替機として生涯を閉じたEF54、斬新な変速機構を備えながらトラブル多発で短命に終わったDD54なんかが有名です。
このED54も例外ではありません。
スイスから輸入の高性能、大馬力電機としてデビューしたのですがいかにもスイスらしい精密極まりない機構のために整備が難しく、もともと2両のみという小所帯もあって早々と姿を消した電機です。
「精密な機構」というのは大出力=大型(というのが当時の常識)のモーターを床上に配置しているためその出力を確実に駆動輪に伝達しつつ路面の追従性をも高める目的で採用された「ブッフリ機構」という特殊な伝達形式にあります。
この機構を言葉で説明するのは非常に難しいのですが各々の車体に設置されたモータの歯車と動輪の間に各々2本の連結棒と歯車の付いた梃を介して間接的につながっておりこれによって車輪の上下動に動力の伝達機構が追従できるようになっていると言う物です。
まあ、外見上は「時計の内部機構みたいなのが一輪一輪の車輪の中に組み込まれたようなもの」とでも言えばいいのでしょうか。
この方式は性能面でのメリットは大きくスイス国鉄ではかなりの機関車がこれを採用していたのですが、日本の場合狭軌で線路の幅が狭いため同じ機構でもより狭いスペースにメカを押し込めなければならなかったのがこのロコの悲劇でした。
結局は整備がしきれなくなり比較的早い段階で引退を余儀なくされました。同様に3シリンダという先進機構を持っていたC52がC53という国産の後継機を得たのとは違ってと違ってED54の先進性が国産機の設計に反映されることもなく、一代限りだったのも悲劇的です。
さて、そのED54ですが以前紹介した原鉄道模型博物館の原信太郎氏がこの機関車が大のお気に入りでラージスケールとはいえ実際に駆動できるブッフリ機構を正確に再現したモデルを作った事で一躍有名になりました。
それから20年くらい経過して別のモデラーも16番で同様にブッフリ機構を再現したモデルをものにしています。が、おそらくこれ位が機構を再現できる限界かもしれません(断言はしませんが)
さすがにこのモデルもブッフリまでは再現できずカッコだけのモデルではあるのですが、電機としては非常に珍しい4連の大径動輪をひとまとめにして前後に従輪をひとつずつ付けた特異な構成は商売が非常に難しい(他の足回りを転用できない)モデルと言えます。
更にこれまた日本の電機では珍しい左右非対称なボディも強烈な個性を発散しています。
要するによほどのゲテモノ好き(ついでにお金持ち)でもなければなかなか手を出さないモデルでもあります。
私がこれに手を出した理由もその個性にあります。上述の動輪構成(ミカド蒸気を電機化したようなw)のせいかED型としては異例なほどの重量感と存在感があり非常な力強さをも感じさせます。
そのキャラクター性はC51やC53と並べても一歩も引かない程のものと言えます。
モデルですが冒頭で書いた様に到底Nゲージとは思えない細密感の高さにまず驚かされました。
どれくらい作られたのか知りませんがNの量産モデルで「砂撒き管が標準装備」などというモデルは正直初めてです。16番モデルでもこれがないのが結構あるというのに。
デッキ周りや足回りの再現性は無類。屋根上パンタ周りの再現性に至っては殆ど「博物館の模型レベル」と言ってもいいかもしれません。
それでいて小回りこそ利かないものの走行性も十分以上のスムーズさ。
カプラーがアーノルドでないので最低限KATOカプラーでないと連結が出来ないのが残念です。
題材のマニアック度、精密さと動力の凝り方、そして価格(汗)も含めて「怪物」という表現がぴったりのNゲージ電気機関車ではあります。
これを見た大抵の人が16番(かHO)、あるいはそれ以上のサイズの模型だと思われるのではないでしょうか。
ですがこれはれっきとしたNゲージのモデルです。
それも電気機関車の中でもマイナー中のマイナーモデル、ED54形というから二度びっくりです。
実を言うとこれを見るまで、ED54のNゲージモデルが存在する事自体を知りませんでした。
メーカーはムサシノモデルという殆ど16番ブラスモデルの専業みたいなメーカーだったのもこの場合は盲点でした。
この間、中村精密のC55やワールド工芸のEF58が入線しただけでも大騒ぎだったのに今回はそれ以上のインパクトです。
ところで、実車の世界では「54」の型番を取る機関車は残念な結果に終わる機種が多いという事で定評(?)があります。
C51の改良型でありながら性能が中途半端で消えてしまったC54、EF52のギア比を変更した新形式だったために活躍の場を狭められて最後は図体の大きい入替機として生涯を閉じたEF54、斬新な変速機構を備えながらトラブル多発で短命に終わったDD54なんかが有名です。
このED54も例外ではありません。
スイスから輸入の高性能、大馬力電機としてデビューしたのですがいかにもスイスらしい精密極まりない機構のために整備が難しく、もともと2両のみという小所帯もあって早々と姿を消した電機です。
「精密な機構」というのは大出力=大型(というのが当時の常識)のモーターを床上に配置しているためその出力を確実に駆動輪に伝達しつつ路面の追従性をも高める目的で採用された「ブッフリ機構」という特殊な伝達形式にあります。
この機構を言葉で説明するのは非常に難しいのですが各々の車体に設置されたモータの歯車と動輪の間に各々2本の連結棒と歯車の付いた梃を介して間接的につながっておりこれによって車輪の上下動に動力の伝達機構が追従できるようになっていると言う物です。
まあ、外見上は「時計の内部機構みたいなのが一輪一輪の車輪の中に組み込まれたようなもの」とでも言えばいいのでしょうか。
この方式は性能面でのメリットは大きくスイス国鉄ではかなりの機関車がこれを採用していたのですが、日本の場合狭軌で線路の幅が狭いため同じ機構でもより狭いスペースにメカを押し込めなければならなかったのがこのロコの悲劇でした。
結局は整備がしきれなくなり比較的早い段階で引退を余儀なくされました。同様に3シリンダという先進機構を持っていたC52がC53という国産の後継機を得たのとは違ってと違ってED54の先進性が国産機の設計に反映されることもなく、一代限りだったのも悲劇的です。
さて、そのED54ですが以前紹介した原鉄道模型博物館の原信太郎氏がこの機関車が大のお気に入りでラージスケールとはいえ実際に駆動できるブッフリ機構を正確に再現したモデルを作った事で一躍有名になりました。
それから20年くらい経過して別のモデラーも16番で同様にブッフリ機構を再現したモデルをものにしています。が、おそらくこれ位が機構を再現できる限界かもしれません(断言はしませんが)
さすがにこのモデルもブッフリまでは再現できずカッコだけのモデルではあるのですが、電機としては非常に珍しい4連の大径動輪をひとまとめにして前後に従輪をひとつずつ付けた特異な構成は商売が非常に難しい(他の足回りを転用できない)モデルと言えます。
更にこれまた日本の電機では珍しい左右非対称なボディも強烈な個性を発散しています。
要するによほどのゲテモノ好き(ついでにお金持ち)でもなければなかなか手を出さないモデルでもあります。
私がこれに手を出した理由もその個性にあります。上述の動輪構成(ミカド蒸気を電機化したようなw)のせいかED型としては異例なほどの重量感と存在感があり非常な力強さをも感じさせます。
そのキャラクター性はC51やC53と並べても一歩も引かない程のものと言えます。
モデルですが冒頭で書いた様に到底Nゲージとは思えない細密感の高さにまず驚かされました。
どれくらい作られたのか知りませんがNの量産モデルで「砂撒き管が標準装備」などというモデルは正直初めてです。16番モデルでもこれがないのが結構あるというのに。
デッキ周りや足回りの再現性は無類。屋根上パンタ周りの再現性に至っては殆ど「博物館の模型レベル」と言ってもいいかもしれません。
それでいて小回りこそ利かないものの走行性も十分以上のスムーズさ。
カプラーがアーノルドでないので最低限KATOカプラーでないと連結が出来ないのが残念です。
題材のマニアック度、精密さと動力の凝り方、そして価格(汗)も含めて「怪物」という表現がぴったりのNゲージ電気機関車ではあります。