高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

研ぎ出し!

2009年07月05日 04時16分50秒 | 竹細工作業工程

しばらく続いた大雨がやっと上がり、気持ちの良い青空である。

今日は工房の外で、花篭の研ぎ出し。日陰で鶯の声を聞きながら、新鮮な空気を吸って仕事する。こんな環境で仕事が出来るなんて、幸せだなー。

7_001研ぎ出しと云うのは、染め上げた篭を研磨材で磨き上げ、暗い所と明るい所のコントラストを出すことで、篭の表情を付けていくことだ。

左の篭が研ぎだす前、右が研ぎ出した後。随分表情が違うでしょ。

昔は、石粉を布に刷り込んで磨いた様だが、今は研磨材があるので、それで研ぎだしている。私が竹細工を始めた頃は、花篭が全盛の時で、毎日毎日、花篭を作っていた。この研ぎ出しという作業は、単純作業で、朝から晩まで、この作業をしていると手が痛くなり、よく、途中で止めて、気分転換に近くの温泉に行ったりしたものだ。

7_002 この花篭一つ研ぎだすのに、凡そ10分から15分。30個も研ぎ出すというと、一日中こればかりやっていた。

「篭にお化粧をしてあげる」という感じかな。無表情だった篭が急に生き生きと力強くなったり、繊細な優しさを含んだり、この研ぎ出しでいろんな表情に変わるのだ。

この後、漆を2回刷り込んで行って、やっと完成である。   たかが篭である。しかし、これだけ手を掛け作りこんだ篭だからこそ、この表情があるのだ!

竹工房オンセ

コメント
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