しばらく続いた大雨がやっと上がり、気持ちの良い青空である。
今日は工房の外で、花篭の研ぎ出し。日陰で鶯の声を聞きながら、新鮮な空気を吸って仕事する。こんな環境で仕事が出来るなんて、幸せだなー。
研ぎ出しと云うのは、染め上げた篭を研磨材で磨き上げ、暗い所と明るい所のコントラストを出すことで、篭の表情を付けていくことだ。
左の篭が研ぎだす前、右が研ぎ出した後。随分表情が違うでしょ。
昔は、石粉を布に刷り込んで磨いた様だが、今は研磨材があるので、それで研ぎだしている。私が竹細工を始めた頃は、花篭が全盛の時で、毎日毎日、花篭を作っていた。この研ぎ出しという作業は、単純作業で、朝から晩まで、この作業をしていると手が痛くなり、よく、途中で止めて、気分転換に近くの温泉に行ったりしたものだ。
この花篭一つ研ぎだすのに、凡そ10分から15分。30個も研ぎ出すというと、一日中こればかりやっていた。
「篭にお化粧をしてあげる」という感じかな。無表情だった篭が急に生き生きと力強くなったり、繊細な優しさを含んだり、この研ぎ出しでいろんな表情に変わるのだ。
この後、漆を2回刷り込んで行って、やっと完成である。 たかが篭である。しかし、これだけ手を掛け作りこんだ篭だからこそ、この表情があるのだ!