桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

礼文島・花の島⑬

2005-03-31 22:13:02 | 旅行記
ウエンナイで休みにした。電話も入れた。心配してくれているようである。ありがたいことだ。疲れがかなり出てきて、食欲はない。菓子を少し口にした。

あまり休むと腰が上がらなくなると思われたので出発した。この後は岩場はない。しかし、その代わりに、海岸へ下りたり、山に登ったりと、アップダウンが続く。そして、海辺でもこれだけ風がないので、山の中では暑くなることが予想された。水筒の水の他に、缶のお茶を買っておいてよかった。

初めの難関は砂走りである。ここを痛みの走る足でよじ登らなくてはいけない。ロープを握り、足を砂に取られながら登っていく。日はもう高く昇っており、汗が流れてくる。それでも歯を食いしばって登り、ようやく上に到着した。わずかに吹いてくる風が心地よい。海もべた凪という感じである。

ここから林に出たり入ったりを繰り返すのだが、林の中ではやはり暑い。しかし、場所によっては風通しの良いところに出て、そういう場所では風が心地よい。そして、前回歩いた時は雨空で見ることができなかった海や山の景色が素晴らしい。4時間コースで見た景色も素晴らしかったが、このコースから眺められる景色も素晴らしい。夜のミーティングで彦さんが「ただ歩き通すだけじゃなくて、景色や花に目を向けてほしい。」と言っていたのが思い出された。まさにその通りである。白樺の若葉の隙間から見える空の美しいこと。木々の根元に咲く小さな花の愛らしいこと。夕べクイズで答えられなかったカラフトナニワズも見つけた。花に鼻を近づけると、ジンチョウゲと同じような匂いがする。こんな小さなことも、昨日クイズで知っていなければ気付かなかったに違いない。そしてこの24時間コースも、ただひたすら歩き続けるだけで終わってしまっただろう。

林を過ぎると、一面の笹原に出る。この辺りからアップダウンの少ない単調な道になる。風は相変わらずほとんどなく、暑い。汗が流れる。そして、もう一つ困ったことが出てきた。これまではアップダウンのある道を歩いてきたので、眠気は少しも気にならなかったのだが、単調な道になった途端、眠気に襲われたのである。しかも、相当な眠気である。ちょっと休もうと立ち止まると、立ったままでも眠気に襲われる。30分ほど歩くたびに、道ばたに腰を下ろして休んでいたが、この辺りでは休むたびに10分15分と眠り込んでいた。

この辺りでかなりタイムロスをしてしまったようだ。西上泊ではお弁当などの差し入れが待っている。なるべく早く到着したいが、足の痛みと眠気との争いは続いている。

そうこうしているうちに西上泊の家並みが見えてきた。目指すはアトリエ仁吉である。

コメント
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