桑の海 光る雲

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礼文島・初めての星観荘③

2005-03-09 21:28:35 | 旅行記
食堂でのミーティング終了後、ブラックホールでのミーティングとなった。ブラックホールは星観荘の東隣にある建物の2階のことである。一見すると普通の物置なのだが、階段を上がるとカーペットの敷かれた広間になっており、端にはいくつも布団が積まれている。連泊している人達はここで泊まっているらしい。中にはハンモックがつり下げられ、昼寝するには気持ちよさそうだ。部屋の隅には空の一升瓶がすきまなく並んでいる。壁にはたくさんの落書き。皆、礼文に来て楽しかったことばかりが綴られている。一昨年小樽で会ったN君の落書きも見つけた。その名も「飛び込み野郎」。船泊から出航するフェリーを見送る時に港に飛び込むのが、去年までは見られたのだそうだ。そのフェリーも廃止されてしまったので、飛び込む様子はもう見られない。天井にはなぜかサーフボードがあり、それにもたくさんの落書きがある。星観荘は、こんなにもたくさんの人が、皆一様に感動して、こんなにもたくさんの落書きを残さずにはおれないようなところらしい。

泊まっている人のほとんどが集合する。スタッフの”ぱんつ”と呼ばれている人がやって来て、焼酎の番茶割りを作ってくれる。それが皆に行き渡ると、電気が消され、レトロな感じのランプに灯がともされる。さっきまではっきりと見えていた部屋の中やメンバーの顔が、薄暗いランプの光に照らし出されて、何ともムードたっぷりな感じである。

まずは自己紹介となった。名前、どこから来たか、職業、礼文の印象等の他、最後に恋人の有無が聞かれる。何でそんなことを聞くのか、と思いつつ「いません」と素直に答える。職業のところでは、大学名まで話すという、余計なことまでしてしまった。「恋人の有無」については「いません」と答える人が多いが、きっぱりと「います」と答え、恋人の名前まで話す人もいる。

最後にスタッフのぱんつさんが話をする。宿泊のお礼、ヘルパーの自分がオーナーの「彦さん」の代わりにこのミーティングを行っていること、自分のニックネームの由来などを話した。(いちばん印象に残ったのは、キャンプ場で泊まっているうちにこの宿に泊まり始め、もう2週間ばかりも泊まっているKさんというライダーだった。この人はこの後9月の終わりまで泊まり続け、その連泊記録は今でも破られていないのだそうだ。)後はフリートークということで、夕食時に話した人達、中でもNさんという女性や、Mさんという男性と主に話した。この人達とは翌日のハイジの谷のコースで一緒に歩くことになっている。連泊している人達は、そうした人達同士で盛り上がっている。酒も入っているので、とてもにぎやかだ。

途中でトイレに行くと、彦さんから「明日泊まれるけど、ブラックホールになりますよ。」と言われた。嬉しかった。ミーティングが終わるまで寝られないけれど、そんなことはどうでもいい。これで心おきなくハイジの谷へ行ける。

ミーティングは12時頃まで続いた。終わって部屋に戻ろうと外へ出ると、すごい星空だった。集落の中なので、街灯がついているが、それでもこれほどたくさんの星を見ることができる、ということは、街灯のない真っ暗なところでは、まさに満天の星なのだろう。明日の夜は星空も見てみたい、と思いつつ部屋に戻り、明日のハイジの谷行きを楽しみに、眠りに就いた。



コメント
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