桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

礼文島・花の島⑪

2005-03-26 21:04:21 | 旅行記
寒さで目が覚めた。ここでようやくスキーウェアーを貸してもらったことが正しかったことを知る。寒さに震えつつ、香深の町を後にする。道は再び海辺に出る。空はすっかり白んでいるが、高曇りで陽は射していない。しかし、利尻山はくっきりと見えている。

島の南端にある知床には4時半に着いた。車道歩きはここまでで、ここから先、スコトン岬までは、元地、西上泊、スコトンのごく一部を除いて山道を歩くことになる。看板に従って車道を右へ曲がり、山道に入る。私が礼文に来てからずっと好天が続いているので、道は乾いており、歩きやすい。

知床から元地灯台までは歩いたことがないのだが、道は一本道で、迷うことはない。しかし、実は途中から”秘密の花園”と呼ばれる場所へ分岐する道があったのだが、当時はその存在を知らなかったので、そのまま通過した。しかし、後年同じ場所を同じ時期に訪れた時、その美しさに驚嘆した。あの時訪れていれば、あの美しさを独り占めできたのである。今思うと少しばかり残念なことだ。

元地灯台で少し休み、友人達と訪れた3年前のことを思い返した。あの時桃岩から元地まで歩き眺めた利尻の美しさは忘れられなかったが、まさかこんな形で再訪するとは思いもよらなかった。今回は一人での訪問、旅のスタイルも全然違うけれど、元地灯台から振り返った利尻山の姿は、7月に訪れた3年前よりやや雪が多いことを除いては変わらない。

元地から桃岩までも、花の道が続く。知床から元地灯台まではひたすら登りだったが、ここはかなりのアップダウンがある。足下に咲いている花々が目を楽しませてくれる。まだ日が昇る前なので、花を閉じぎみの花が多いが、エゾノハクサンイチゲの群落や、カラフトハナシノブ、レブンキンバイソウの美しさは印象深い。

桃岩展望台に着き、ベンチで朝食にした。日が射し始め、空も見えてきた。風もない。どうやら今日は素晴らしい良い天気の一日になりそうである。桃岩展望台は、現在ではいつも大変なにぎわいであるが、この時は朝も早かったので、桃岩を独り占め状態であった。大きなおむすびをほおばりながら、この先のことに思いをはせた。特に、礼文滝からウエンナイまでの、まだ歩いたことのない海岸沿いの道(現在では通行禁止)がどうなっているのか、少々不安も感じていた。でも、この後の好天に期待をし、何とかなるだろうと思いながら、桃岩展望台を下った。

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