桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

書道について67

2010-01-12 22:17:09 | 日記・エッセイ・コラム

○大学院2年の頃①

*西安ツアー・その1

2年に進学し、1年生にはまたいろんな人達が入学してきた。学群にも11人の1年生が入学し、賑やかになった。でも、この年辺りから書コースの学生の質の変化が始まっていたように、今になって思う。

進級してからは教員採用試験の勉強を始めた。他に就職活動をしてもいなかったし、する木もなかったので、教員になるしか道は残っていなかった。問題集を買い、暇を見つけては図書館で勉強した。珍しく自宅でも勉強した。

4月に岡本先生の紹介してくれた西安へのツアーが行われた。名古屋在住の高木大宇先生と岡本先生が、それぞれのお弟子さん達を引き連れ、西安で行われる書道のイベントに参加しがてら、西安にある書道関係の史跡を見て回ろうという企画であった。同級生のS君も一緒に参加するので、不安は感じなかった。

現在では旅程表とかもどこかへ行ってしまったので、アルバムを見ながら書いていこうと思う。前日は名古屋在住の学群時代の友人宅に泊まり、翌日名古屋空港に集合した。当時は西安行きの飛行機は、西安と姉妹都市である名古屋からしか飛んでいなかったのである。

西安には夜中に到着した。中国は初めてだったが、機内食からして中国食の洗礼を受けた。西安で最初の食事は中国風の精進料理ということであったが、あまり食の進まないもので、これから先どうなるのかすごく不安を感じた。しかし到着したホテルは日航系の素晴らしく豪華なホテルで、ここでなら5泊するのも安心だとほっと胸をなで下ろした。

翌日はまず市内のホテルで開催された書道のイベントに参加した。席上揮毫が行われ、アジア各地やアメリカからも書家が集まり様々な書の腕前を披露していた。中村先生の授業で名前を聞いていた柳曽符という人や、「書道研究」という雑誌に「中国書法史」という論文を連載していた鍾明善という人も来ていた。

高木先生は筆を2本持って一気に大字を書き上げた作品と、紙を左右の2人の人に持たせ、空中に吊ったままで書き上げた作品の2点を制作した。岡本先生はお得意の趙之謙風の作品と、大字の篆書作品の2点を制作した。中国の人達の作品はいかにも中国風な作品ばかりだったが、曲芸的な技を披露してくれる人もいた。アメリカから来たAnne Woodsというおばあさんの書家は、筆で流暢なアルファベットを綴って見せてくれた。日本人も他にいたが、記憶にない。

午後は西安碑林の見学になっており、今回のツアーのメインイベントの一つでもあるので、午前中のこの退屈なイベントも我慢することができた。

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書道について66

2010-01-01 22:04:59 | 日記・エッセイ・コラム

○大学院1年の頃⑨

大学院1年の後半のことはあまりよく覚えていない。しかし、進路のことと修論のことは考え始めていた。制作の方も、陳鴻壽風の行草を書いたり、何紹基風の隷書を書いたりしていたが、まだ将来の方向を決めたわけではなかった。

進路については漠然と教員かな、と思っていた。でも、書道の教員の採用はどうやらないらしいということを、同じ群馬出身の先輩に聞いていたので、副免として取ってあった国語の教員免許を生かして、国語教師の道を選ぶことになる(国語は古典を中心に嫌いではなかった)のかなと考え始めていた。そうなると、試験勉強はハードだなとも思っていたが、不思議と不安は感じていなかった。

修論については、卒論で陳鴻壽を扱う中で、陳鴻壽もその一員である西泠八家の書に惹かれるものがあり、陳鴻壽の書について調べたことを、西泠八家にまで広げて調べてみようと考えていた。陳鴻壽は西泠八家の中で時代的にほぼ中間に位置しており、陳鴻壽を基準にして、前にさかのぼって考えることも後に下って考えることも可能であり、その点では調べやすいのではないかと考えた。そこで、実は卒論が終わった後から、ぼちぼち資料を集め始めていたのだった。本格的な資料集めは台湾から帰った後から開始した。タイトルも「西泠八家の書」と決めた。

3学期に入った頃、授業の後の休憩時間に岡本先生から「今度4月に、西安に1週間ほど出かけるんだが、一緒に出かけてみる者はおらんか?」と言われた。聞けば、ある書道関係のイベントに参加するとともに、大雁塔、昭陵、乾陵、歴史博物館、兵馬俑坑、始皇帝陵などの書道関係の史跡を一通り見て回るとのことだった。どこも訪れてみたいところばかり。先生は費用も教えてくれたが、自分の持ち合わせに少しプラスすれば何とかなる金額だったので、同級生のS君と一緒に参加することに決めた。

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