桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

10連休は北海道⑪

2019-06-14 19:35:30 | 旅行記
*旅の終わりに

自分の車で北海道に行ったのは約10年ぶりでした。それまでは毎年のように出かけていたので、何だか懐かしくもありました。

今回のように10日間まるまる、休暇願いも出さずに、何の縛りもなく休めることは、仕事をリタイアするまでないでしょう。よって、観光客も多く金のかかる時期ではありましたが、思い切って出かけることにしました。

礼文で水芭蕉が見られなかったり、羅臼で観光船に乗れなかったり、男山自然公園のカタクリがやや見頃を過ぎていたりしたことなど、心残りはありましたが、数十回に上る北海道旅行で、そうした心残りがなかったときの方が珍しいので、それも残念ではあるけれど旅の思い出なのでしょう。今回の旅での嫌な思い出も、次の旅の時に良い思い出で上書きできればいいと思っています。

今回は10日間の旅でしたが、1ヶ月間くらい旅したように思うのは、自分で車を運転したのが一番の理由であるように思います。今回自宅を出て自宅に戻るまで、10日間で2,821㎞も運転しました。よくこれだけ運転できたなと思いますが、不思議なことにそれほど疲れたという感じはしませんでした。

話はそれますが、昔(1993年)9月の礼文で48時間コースをご一緒した、あるライダーの女性からもらった手紙に「バイクは乗らないんですか?風を感じられますよ。」と書いてあったのを覚えています(その女性は1,000ccを超える大きなバイクで北海道にツーリングに来たついでに、ふと礼文に行きたくなり、島に着いたところで星観荘のオーナーに泊まれるか尋ね、泊まるなら48時間コースに参加してほしいと誘われ、そのまま参加してしまったというすごい方です。)。私は不器用で運動神経もこの上なく鈍く、バイクに乗ると事故に遭う恐れがあり、結局今日までバイクに乗らずに来てしまいました。

今回こうして旅がとても長く感じたのは、各所で懐かしい再会や新しい出会いがあったのに加え、そうして自分の力で長距離・長期間移動したからに他ならないと思うのです。ここ10年は飛行機で渡道してしまうばかりで、確かに訪問地では楽しいひとときを過ごせても、飛行機で羽田に着くと、なんともあっけなく旅が終わってしまった感じがしてなりませんでした。私は車での旅なので、バイクのように、その女性が言ったように「風を感じる」ことはできませんが、それでも今回の旅での2,800㎞の移動中、風は感じられなくとも、北海道の景色はフロント硝子越しにずっと見続けました。行き帰りのフェリーでも、時間はかかりましたがゆったりとした時間を過ごしました。思えば旅の間中、飛行機というある種の“どこでもドア”を使わずに、自分の体ごと旅していたようにも思えるのです。だから、10日間が1ヶ月にも感じられたのではないかと思うのです。

これだけ充実した旅ができるのは、次はいつになるのでしょうか?いつかはわかりませんし、実現不可能かも知れませんが、実現できる心のゆとりは持ち続けたいものです。旅先で出会った皆さん、再会した皆さんには心から感謝しています。
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10連休は北海道へ⑩

2019-06-12 21:21:50 | 旅行記
5/5

丘を後にして、美瑛の山頭火に入ったのが15時前。ラーメンをすすった後、インスタの写真をUPしたりしてのんびりしていたら、何と16時近くになっていました!この日は苫小牧東港から19時半発のフェリーに乗らなければなりません。遅くとも30分前に到着していなければ危険です。慌てて車に飛び乗り、一路旭川へ。幸いに信号にもさほど引っかからず、私の車の前にはちょうど良いスピードで走っている車がいることも多くてスピードオーバーにもならず済みました。

しかし、20年前のお盆、札樽道の渋滞にはまり、渋滞で止まったままの車窓の向こうに、乗るはずのフェリーが静かに出航していくのを眺めた経験のある私は、その悪夢を繰り返すわけにはいきません。予定よりやや早く旭川鷹栖インターに到着し、道央道に乗った後は、時計とスピードメーターとにらめっこしながら、ひたすら飛ばしました。幸いに緊張しているためか眠気も催しません。ナビに示された予定到着時間が着実に早まっていくのを見ながら、それでもスピードの出し過ぎに注意し、まさにハンドルを握る手に汗しながら苫小牧東港を目指しました。

もちろん何の買い出しもできないまま、苫小牧東港に付いたのは19時。何とか30分前に到着できました。車の乗船はほとんど終わっており、私の後に来た車は2台しかありませんでした。無事に船に乗り込み、高くて決して美味しくない夕食を済ませ、風呂に入ると一気に眠気が押し寄せてきました。帰りの便はベッドの下段で、上段の人は寝るときしかベッドにいなかったので、静かに眠ることができました。

5/6

目を覚ますと秋田沖でした。秋田港に入って停泊したので、以前筑波の研修でご一緒した、秋田在住のKさんに、研修でご一緒した皆さんのLINEのグループで秋田港にいることを知らせました。その後船室に戻ろうとして、ふと下を見るとマイクロバスが停まっています。近くには見覚えのある顔。そう、同じ研修でご一緒したSさんが、今まさに同じフェリーに乗り込もうとしていたのです。何という偶然でしょう!

先生とは2月に会って以来でしたが、しばらくして乗船してきたSさんとデッキで再会していろいろ話をしました。Sさん顧問を務める自動車部の大会の引率で秋田に毎年来ており、今日はその帰りだとのことでした。私は遊びの帰り、Sさんは仕事の帰り。何だか申し訳ない気分でした。昼食や下船の際、Sさんが生徒にキビキビと指示を与えている様子を目にし、普段のSさんの仕事ぶりが思い浮かびました。

酒田沖からは、残雪を頂いた鳥海山が眺められました。この時期のフェリーに乗るのは初めて、しかも帰りの秋田港寄港便に乗るのも初めてです。鳥海山を関心をもって見たのも今回が初めてでしたが、この時期はゆわんと村で知り合ったAさんやOさん、俺の蕎麦のSさん達が毎年登りに行っているなぁ、自分もあの山頂に立ったんだなぁと思いながら、その雄姿に眺め入っていました。

Sさんは仕事中ということで、私は特に話をしに行ったりすることはせず、新潟着まで読書や昼寝をして過ごしました。新潟に着く前に先生に挨拶をして、一足先に下船し、あとは関越道を飛ばして前橋のタイヤショップに行き、レンタルしたスタッドレスタイヤを返却して自宅に戻りました。
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10連休は北海道へ⑨

2019-06-09 21:14:21 | 旅行記
5/5(日)

突哨山に結構な時間滞在してしまい、また気温が高く、すっかり汗をかいてしまいました。次に向かうのは北邦野草園です。ここも14年ぶりに行きます。前夜会った元ゆわんと村オーナーご夫妻も行くという話を聞いていたので、時間を合わせようかと思っていたのですが、思いがけず突哨山で時間を食ってしまいました。

北邦野草園は旭川の西の郊外にあります。無料で入場でき、季節の花々を楽しむことができます。今回はカタクリとエゾエンゴサク、キバナノアマナ、エゾノリュウキンカ、キタコブシが見頃でした。この暖かさで、ひょっとしたら早咲きのシラネアオイも、と思っていましたが、一輪だけ開きかけのを見ることができただけでした。ここのカタクリとエゾノエンゴサクは、突哨山と同じくちょうど満開という感じでした。男山自然公園と同様に、カタクリとエゾノエンゴサクがちょうど良い具合に混じって咲いているので、ピンクと水色、そしてここは日当たりも良いので葉の緑もきれいです。男山や突哨山に比べて規模は小さいですが、また違った趣で楽しめました。残念ながら元オーナーご夫妻とはすれ違いになってしまいました。

次に向かったのは、旭川に来たときは必ず顔を出している野の花菓子店。ゆわんと村で出会った旅友達が店主をしています。休日ということで多くのお客さんが見えており、引けるのを待って店内でしばらく話をしました。
ゆわんと村が営業していた頃は、それこそ何度も何度も一緒になり、礼文の星観荘でも一緒になったことがあるほどです。今は年に1回会えるかどうかで、お互い着実に年を重ねていますが、それでも会えば昔のようにいろんな話に花が咲きます。後の予定もあり、大好きなリンゴジャムをいくつも買って、名残惜しく店を後にしました。

最後の目的地は美瑛。雪を頂いた大雪山・トムラウシ・十勝岳連峰をパッチワークの畑の向こうに眺めたいと思っていました。美瑛には昔何度も車で来ましたが、天気に恵まれないことが多く(というか、天気の良い日は山に登っていてそもそも美瑛には来ない)この日は快晴ということでその目的を果たすべくやって来ました。

畑の続く丘の向こうに山々を眺めるには、北瑛に行くのが一番です。パッチワークの丘周辺以外は観光客は少ないだろうと思って来てみたら、やはりそうでした。一方で農作業をしている人も多く、邪魔にならないよう、また畑に入らないよう注意しながらビューポイントを探しました。それにしても見事な眺めです。青空の下、遠くに真っ白に雪をかぶった大雪・十勝の山並みが続きます。手前には土を掘り起こしたばかりの茶色の畑、あるいは牧草が一面に生えた緑の畑が広がります。本当なら麦の熟れる時期の方が私は好きなのですが、その時期には山には雪がありません。それでも十分にきれいで、しかも大雪山、トムラウシ、そして十勝岳には登頂しています。そのときの感動を思い起こしながら、景色に見入っていました。



















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10連休は北海道へ⑧

2019-06-08 19:44:09 | 旅行記
5/5(日)

いよいよ今日は最終日。旭川近郊のカタクリの群落は、清里のYHでご一緒したUさんが4/29に見に行ったときはちょうど見頃で素晴らしかったとのことです。見頃は過ぎたもののまだまだきれいだとのことで見に行きました。
ここを訪れるのは14年ぶり。あのときはちょうど見頃で、それはそれはきれいだったのを覚えています。ただし時間が早かったので、花が開ききっていませんでした。そのとき以来の男山自然公園。手前の日当たりの良い群落は花が終わりかけていましたが、カタクリの桃色と、エゾノエンゴサクの水色と、アズマイチゲの白のコントラストが見事です。もう少し時期が早ければ、フクジュソウの黄色も混じって、さらに見事だったろうと思います。オオバナノエンレイソウやエゾノリュウキンカなども咲き始めていました。やや日陰になった西奥の方の群落はちょうど見頃でした。群馬近郊では栃木の三毳山(みかもやま)のカタクリの大群落が有名ですが、それとは比較にならないほどの広大な群落です。恐らく日本一の大群落と言っていいでしょう。
この日は19時半のフェリーに間に合えば良いのでまだ時間があります。14年前は時間がなくて行けなかった突哨山のカタクリも合わせて見に行くことにしました。男山自然公園は自然公園ということで、遊歩道が整備され、カタクリが見やすいように下草が刈られ、枯れ枝も取り除かれていましたが、こちらは遊歩道こそ整備されていたものの、柵などもなく、一方で下草や枯れ枝もそのままで、男山自然公園に比べて見やすさという点では劣りますが、こちらでは自然のままの大群落を見られます。さらに、群落の広さはこちらの方がはるかに大きく見事でした。エゾエンゴサクの大群落もありました。人も少なく静かにのんびりと、カタクリの大群落をまさに堪能しながら歩くことができました。

男山自然公園のカタクリ








突哨山のカタクリ














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