桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

伊吹山

2013-07-14 13:07:35 | 旅行記
6/29(土)
百名山完登を目指す私にとって、百の山の中には全く魅力を感じない山も結構ある。さしづめ今回登った伊吹山や荒島岳などはそれに数えられるものだろう。もちろんこれは私個人の感想であり、荒島岳は百名山を選んだ深田久弥の故郷にある山という理由で選ばれているし、名古屋出身の知人には、幼い頃から遠く眺めてきたなじみのある山だそうで、同じ山でも人によって違いがあるのはやむを得ないことであろう。いずれにせよ私は伊吹山と荒島岳には魅力をあまり感じないので、できれば同じ機会に一度に登ってしまいたいと考えていた。

例年6月末から7月頭には北海道に行っていたが、今年はゆわんと村が閉まっており、礼文も昨年のこともあって今年は行く気が起こらなかったので、今年は仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳に登ろうかとも思ったのだが、残念ながら天気が悪く、せっかく南アルプスの名峰に登るからには、できるだけ天気のいい日に登りたいために、今回はキャンセルし、やむなくここで伊吹山と荒島岳に登ることに決めたのである。

前橋から名古屋まで約5時間かかると知人に聞いていたので、午前中に登って昼頃下山するために、朝5時に起きて5時半には出発することに決めた。北関東道から上信越道、長野道から中央道、名神へとひたすら走り続ける。途中中央道の恵那山トンネルでは天井板除去工事をしており、対面通行でスピードが落ちたが、あとは快調に飛ばせ、途中で眠くなることもなく関ヶ原インターに到着した。カーナビでは高速料金が9,300円と出ていてびっくりしたが、ETCのおかげでほぼ半額であった。

ここから伊吹山ドライブウェイで山頂のすぐ下まで行ける。ここの通行料金は何と往復で3,000円なり!関ヶ原までの高速料金と1,300円しか違わないのにはびっくりした。3,000円という料金のためか、土曜日の割には比較的空いていた。10キロ以上走って、山頂直下の広々した駐車場に車を駐めたのだが、駐車場にはせいぜい100台ほどしか車は駐まっていない。3,000円という料金は結構敬遠されているのではないかと思われた。

駐車場から頂上までは3つのルートが通っている。一番ポピュラーなルートは小1時間で山頂に着けるなだらかなルートだが、その分たくさんの家族連れが登っているのが見える。もちろん私はこのルートは採らない。私は真ん中の、一番距離が短く一番急なルートを採った。ここは急な階段が続くルートで、しかし20分で山頂で着くとのことだった。

伊吹山は高山植物群落で知られ、天然記念物にも指定されているが、この日はちょうど花の端境期に当たるのか、ほとんど咲いていなかった。急なルートとのことだったが、それほど急ではなく、一歩一歩階段を上がっていくうちに、何と10分で山頂に着いてしまった。このルートの登山道脇には、山頂の売店に荷物を運び上げるためのケーブルカーの軌道が付いており、私が登り始めた直後にケーブルカーも上がってきたのだが、山頂まで抜かれることはなかった。

山頂はとても広く、いくつもの小屋が建ち並んでお土産を売ったり食事を出したりしている。私はもちろん利用しないが、どこも結構な人でにぎわっていた。私は山頂にある日本武尊像の前で写真を写し、すぐに下山した。下山も10分ちょっとだった。駐車場脇のレストハウスで、名物という伊吹山蕎麦(かき揚げ付き)をすすって、登ってきた道をそのまま引き返し、関ヶ原インターから再び名神高速に乗って西に向かった。
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荒島岳

2013-07-14 13:05:35 | 旅行記

6/30(日)

朝6時にホテルを出発して、大野市の勝原にある登山口を一路目指します。大野方面の空には雲が浮かんでおり、どうやら山頂での展望は望めそうもありません。例によって気勢が上がらないまま車を走らせました。

大野まで約30㎞。大野盆地に入ると真正面に荒島岳が聳えているはずなのですが、半分から上は雲に隠れて見えません。すっかり意気消沈して、とにかく登ることに意義があると気を取り直しました。勝原まではさらに山に入って5㎞ほど走ります。登山口は廃止された勝原スキー場にあります。駐車場もスキー場の駐車場をそのまま利用しています。この日は梅雨の晴れ間の日曜日ということで、登山口脇の駐車場は既にいっぱいで、私は入り口近くに路駐するような感じで駐車しました。

最初はスキー場のゲレンデだったところを登っていくのですが、これがいきなりハードで閉口しました。けっこうな斜度のゲレンデを直登している上に、舗装されているのです。いきなりきつい登りで汗が流れ出ました。しかし、荒島岳は容赦しません。この先もひたすらハードな登りの連続で、下りや平坦なところはほとんどありませんでした。階段が付けられたところにしても、階段のない登山道にしても、とにかくジグザグもなくひたすら斜面を直登していくばかりなのです。周囲は新緑ですが、それに見入っている暇もなく、少し登っては休み、少し登っては休みを繰り返します。しかも日曜日ということで数多くの登山者がおり、また、早朝から登り始めた人の中には早くも下山してくる人もあり、そうした人を交わすたびに足を速めたり、避けたりしなくてはならず、その上そういう人に接するのが決まって斜度のきついところだったので、これまた閉口しました。

さらに悪いことに、この日着ていたポロシャツが、おろしたてだったのです。学校の文化祭で作ったもので、ポリエステルの速乾性の生地だったので、汗も乾きやすいだろうと思って着ていったのですが、新しいために肌の方が慣れておらず、汗を吸った生地が肌にとても不快でした。同じなら着慣れた綿シャツの方が、たとえ汗で濡れてしまっても肌触りが気にならなくて済んだのにと後悔することしきりでした。

途中小荒島岳からのルートと合流するところで一瞬平坦になり、下りもあるのですが、ここから山頂までの登りもひたすら急登でした。前荒島から稜線に出たのですが、ここからはガスの中に入りました。山頂もガスの中。しかも結構風が強く、肌寒くすらあります。写真を写して早々に下山しました。山頂から少し下ったところで、登ってくる人とすれ違う時に突然「ひょっとして群馬ナンバーの車の人ですか?」と声を掛けられました。「そうですが。」「どちらからですか?自分は伊勢崎です。まさか群馬の人がいると思わなくて。」「私は前橋です。驚きですねぇ。」どうやら、群馬ナンバーの車から私が降りてくるのを見て、それをずっと覚えていていたようです。しかも私はめったにいない手ぬぐいを頭に巻くスタイルで登っているので、身なり格好も覚えていたのでしょう。それにしても驚きました。

ひたすら急登ということは、下りはひたすら急斜面を降りていくことになります。下りが苦手な私としては、急な下りはますます苦手です。しかし、下らないわけにはいきません。分岐点まで戻って腹ごしらえをし、後はひたすら下り続けました。うんざりするほど下った後、ようやく木々がなくなり、草が生い茂る斜面をトラバースしていくと、舗装された道が現れ、廃墟になったスキー場のレストハウスが目に入りました。そこをほとんど駆け足で下っていくと間もなく駐車場に着きました。携帯で時間を確認すると、登り3時間、下り2時間半で、登りはコースタイムとほぼ同じ、下りもコースタイムより15分ほど短いだけでした。

荒島岳をはっきり言ってなめてかかっていました。こんなハードな山(別のルートはもっと穏やかだそうですが、登山口までのアプローチが良くないそうです)だとは思ってもみませんでした。

勝原には日帰り温泉がないので、大野まで戻り、清掃工場に併設された温泉に浸かりました。風呂から出て駐車場に戻ると、田圃の向こうに荒島岳が鋭く聳えているのが見えました。この前登った剣山同様、下山後に山頂が見えるというパターンでした。

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