桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

開聞岳②

2006-12-14 21:41:07 | 旅行記

開聞岳の眺めは、開聞岳の東にある長崎鼻あたりの海岸から望むのが一番素晴らしいとのことだったが、下山後では空が曇ってしまうことが予想された。

だから、まずはJR最南端駅である西大山駅に行ってみた。ここから見る開聞岳は、まさに円錐形の美しい形をしている。「日本最南端の駅」標を入れて、開聞岳の写真を写した。線路脇のガードレールが邪魔だったが、まぁ仕方がない。

次に、山麓に広がる野菜畑の中の道を走り、なるべく建物や電柱のない景色の見える場所を探した。そして、一面にキャベツ畑の広がる向こうに、西大山駅で見たもの以上に完璧な円錐形の開聞岳が聳えているのが見える場所に着いた。そこで写真を写し、登山口へ向かった。本当は海岸線から海の向こうに開聞岳を見たかったが、土曜日ということで、山は早い時間からかなり混雑すると思われたし、何しろ山頂で曇ってしまうのは一番困る。海岸線までにはまだ距離がある。その時間を惜しんでともかく登山口に行こうと決めた。

ところが、登山口にある駐車場には、車が10台ほどしか停まっていなかった。百名山に入っている山で、しかも土曜日なのにこんなに少ないはずはない。おかしいなぁ、と思いつつ、登山の準備を始めた。

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開聞岳①

2006-12-10 20:49:42 | 旅行記

深田久弥「日本百名山」の中で、標高が1,000m未満の山が二つだけある。低い方から三番目が1,500mほどあるのだから、その二つがいかに低いかがわかる。

二つの山とは筑波山と開聞岳である。筑波山は6年間を暮らしたつくばの北側に聳え、目に親しんできた山で、一度はロープウェーを使って登頂もした。

もう一つの開聞岳も、そのユニークかつ見事な山容はテレビなどでもよく知っていて、いつか登ってみたいと思っていたが、その位置する鹿児島はあまりに遠すぎた。

このたび、縁あって2泊3日で鹿児島を訪れることになった。と言うより、鹿児島に、開聞岳も含めた行ってみたいところがいくつもできたため、安い航空券を使って出かけてみたのであった。

開聞岳は日本百名山にも入っており、また標高も低く、観光地にも近いため、休日はたくさんの登山客でにぎわうと耳にしたので、私はホテルを7時前に出て、一路枕崎方面を目指して車を飛ばした。

有料道路を下り、しばらく丘陵地を走り続けていた時、あるカーブを曲がりきるといきなり目の前に開聞岳が姿を現したのだった。全く意表を突く開聞岳の現れ方であった。そして開聞岳は、標高1,000mに満たない山とは思えない秀麗な姿を、重なる山々の向こうに聳えさせていた。

私はすっかり嬉しくなってしまった。そして、西の空から雲が少しずつわいているのを見つけ、これは急いで登らなくてはいけないと思い、車を急がせた。

丘陵地が終わる手前で、目の前に大きな湖水が表れた。池田湖である。池田湖の向こうに低い山並みが続き、開聞岳はさらにその向こうにすっくと立っている。池田湖と開聞岳の絶妙な取り合わせ。湖畔に菜の花の咲く時期はさぞかし見事な眺めであろうと思われた。

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霧島山・韓国岳

2006-12-06 19:32:56 | 旅行記

鹿児島には、訪れたところがいくつもあった。今回機会を得て訪れることになり、霧島山(韓国岳は宮崎)、開聞岳に登ってきた。

鹿児島空港に降り立つと、東側に霧島連山が並んでいるのが見えた。韓国岳のおおらかな山容、昭和に入って大噴火した新燃岳、そして神が降臨した山・高千穂峰が北から順に並んでいる。私は連山で最高峰の韓国岳に登ることにしていた。

車で一時間ほど走ると、韓国岳の東側にある硫黄山の登山口に着いた。空は青く澄み渡っており、天気に恵まれての登山が期待できた。それにしても寒い。南国とはいえ、やはり冬の山である。寒さ対策にカッパを羽織って登りはじめた。

登山道のあちこちに霜柱が残っており、ざくざくと踏みしめながら登っていく。高度が上がるにつれ、えびの高原の名前のもとになったススキの原が広々と見渡される。

しばらくすると、大浪池が見え、さらにその遙か向こうに桜島と大箆柄岳(おおのがらだけ・私は初め屋久島ではないかと勘違いした)が聳えているのが見える。鹿児島湾の海が輝いている。

眺め下ろせる霧島の山々はどれも皆同じような山容である。火山でありながら、富士山のような成層火山の形ではなく、どの山も皆山頂に大きな火口か、その後である平地がある。今登っている最高峰・韓国岳からしてそうである。連山で唯一、鋭い山容を持つ高千穂峰ですら、山頂の両脇に二つの大きな火口を持っている。同じ九州の火山でありながら、桜島や阿蘇山、九重山とは全く違った山容なのは面白い。

それにしてもやはり寒い。樹林帯を抜けると、カッパを脱げなくなった。眺めは見事だが、体を冷やして風邪でも引くと、この後の日程に支障を来すので、足を速めた。

1時間ちょっとで山頂に着いた。山頂からは、空港から見えた高千穂峰、新燃岳が眺め下ろせた。新燃岳は噴火の後も生々しく、山腹から蒸気も立ち上っていた。桜島や大箆柄岳、大浪池も同じく眺められた。私がこれまで登ってきた山からは、必ず見たことがあったり、登ったことがあったりする山が見えたが、この韓国岳から見えるのは、いずれもこれまでに見たことも登ったこともない山で、実に新鮮であった。振り返るとそこには巨大な火口がぽっかりと口を開けていた。これだけの火口を作った噴火の大きさと、噴火しなかった場合の韓国岳の標高を思った。

寒さのあまり、写真を写して早々に下山した。コースタイムは都合2時間であった。霧島温泉で汗を流し、鹿児島市内に向かった。

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