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《『宮沢賢治 その理想社会への道程 改訂版』(上田哲著、明治書院)》
さて前回私は、最後に、「現在はほぼ全否定されている智学といえども、一度冷静になって智学を再検証してみることが必要なのではなかろうか」とつい口走ってはみたものの、調べてみたならば智学について論じている著書等はあまりないということを知った。そこで、そのような本が見つかるまでは、まずは上田哲の『宮沢賢治 その理想社会への道程 改訂版』によって、田中智学のことをしばらく学んでいってみたい。
というのは、同書の始めの「自序にかえて」において、
賢治が入会した国柱会については、年譜などには必ず取り上げられてはいるものの表面的な点だけしか触れられず賢治への影響について突っ込んだ研究は行われていない。それだけでなく客観的、実証的な調査研究をせずきわめて主観的な憶測による誤った説が行われている。この機会に従来の研究における誤りを匡し、賢治と国柱会のかかわりを見直したい。
〈『宮沢賢治 その理想社会への道程 改訂版』(上田哲著、明治書院)2p~〉と上田は前置きしていたし、同じくそこで、「賢治の作品と行動の基底には確かにパンティシズムと仏教思想が流れており」ということも指摘したいたこともこれあり、しかも彼はクリスチャンだから、「賢治と国柱会のかかわり」を客観的かつ的確に論ずるにふさわし研究者だと私は直感したからだ。具体的には、同書の章「Ⅰ 賢治と国柱会」において、このことについて実証的に論じられていると直感したから、同章を読み進めながら懸案の事柄を学んでゆきたい。
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