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『ユングでわかる日本神話』 林道義著

2023年04月17日 | 読書雑感
神話は単に暗誦され語られていただけではなく、本当に現実にあるかのように演じられていたのです。今日では「儀礼」とか「祭り」という言葉で表されるような行事の中で、神話どおりの演劇がなされました。人々はそれを見たり聞いたりしながら、自分のルーツを確かめていたのです。世界はどのようにして出来上がり、どういう構造になっているのか、人間はそもそもはどのようにして生まれたのか、死んだあとはどこへ行くのか。こういう一番大切なことにすいて教えられ、納得して、「自分を根拠づけて」くれるものが神話であり、その内容を演じたものが儀礼だったのです。(中略)自分たちのルーツへの問いに対する答えはもちろん論理的ではなく、心理的でした。たとえば、「人間は生まれ変わる」という神話は、「何も悪いことをしていないのに、どうして不幸になるのか」という疑問に心理的に答えてくれるものとしては、上手くできた物語でした。

神話の中の一つひとつの話が、何かを表現しているシンボルなのです。個々のイメージだけでなく、物語の筋立てを全体として、そうした意味を含んだシンボルと見ることができるのです。

シンボルが意味しているものを解明するためには、ユング心理学の「元型」という概念が大いに参考になります。「元型」というのは、人間が無意識のうちに共通にもっている普遍的なイメージであり、それを具体的なイメージで表しているのがシンボルです。(中略)日本神話に出てくるシンボルの意味は、単に世界共通の意味を表しているだじぇではなく、その当時の日本人が託した大切な意味が込められているはずです。つまり、シンボルのいみは、一方では世界共通の原型的な意味を突き止めると同時に、他方では民族固有の個性的な意味を明らかにするものでなければなりません。

「元型的シンボルとは無意識の中にある内容を表している」のではなく、意識との活計の中で現れてくる元型こそ重要な意味を持っているのです。すなわち意識の発達やあり方に呼応して、それに見合って現れる元型に注目すべきなのです。

神話の世界でうは、天地が分離することによって世界が始まるのですが、(中略)ユングは、天と地が分かれることはそもそも意識の発祥、意識の誕生を意味していると考えていました。ノイマンは意識が生まれるのは物事の区別を認識した時であると言っています。すなわち意識というのは区別する働きであって、最初に区別されるのは光と闇です。さらに彼は光の出現と天地分離のイメージを自我の誕生と関係づけ、「人間は字がを際立たることによって、すなわち原両親を引き裂き、原竜を切り刻むことによって、はじめて息子として自由になり、光の中へ歩み入り、初めて自我を備えた人格として誕生する」と言っている。

■ 天地分離の型
・原両親の分離
・宇宙卵:卵の殻から天空と大地を作ったという話
・死体化成:原人、母なる怪獣の死体を切り裂いて天と地を作ると言う話

■ 天地分離後の話
・出現型:天と地が分かれたことを前提にして、そこに神が登場する
・海水型:海の中や底からモノを持ってきて大地を作る
・創造型:素材のあるなしに関係なく神が自分の意志によって作る
・出産型:両性による出産により島が生まれる

■ 日本神話の特徴
出現型と海水型と出産型とが入り混じっている。
「イザナギとイザナミがナメノヌボコをさし入れて攪拌する」=意識の世界から無意識の世界に働きかけている
オノゴロシマの誕生=意識の誕生と関係があり、意識のよって立つ基盤という意味

■ 地下世界
意識が誕生すると、無意識の方はそれと対立するものという形でシンブルの中に立ち現れる。意識と無意識の対立を表す一連のシンボルは、明らかにプラスのイメージとマイナスのイメージの組み合わせになっています。たとえば上ー下、光ー闇、明ー暗、善ー悪、幸ー不幸、生ー死、など、
ノイマンは英雄の「竜との戦い」を「動k通夜明解へはいっていくこととしてdが枯れたり、飲み込まれることとして、つもり母との近親相姦として描かれると」という。ある程度発達した意識からみると、冥界とは意識を呑み込んでしまうという意味で恐ろしいところに見える。冥界へ行くと帰れなくなるという恐怖は意識が無意識に負けてしまうという恐怖。

■ 起源神話を心理学的に考える
死の起源、性の起源、文化の起源が同時に語られるという特徴が世界中の神話に見られる。たとえば、イザナミが火の神カグツチを生むことによって死ぬ間際に金属の神さま、粘土の神さま、穀物の神さまなどが生まれる。(中略)蛇に騙されて木の実を食べたために人間は裸であることが恥ずかしいという感情がおきた、つまり性を知った。そしてイブは漆んでお産をする。また人間は土に帰る=死ぬ運命を与えられる、額に汗して濃厚して得られるパンを主食にしなければならなくなる=濃厚という文化

■ 文化起源の三類型
・排泄・産出型:
・対立・窃盗型:火を盗むプロメテウス
・継承型:
いずれの型も、無意識の世界からよい内容をもらってきたり、盗んできたりする。つまり無意識の世界の内容を取り込んで、意識の内容にするという特徴を持つ。意識というのは自分で内容を作り出すということはめったにない。意識は外の世界や無意識の中から材料を持ってきて内容を作る。

■ 神話における破壊、神の罰、争い
これらは破壊衝動、悪の原型を表している。破壊の後に必ず再生とか生まれ変わり、新生が出てくるのも元型的で普遍的。どうにも二進も三進も以下なkなって悪くなって行き詰ってしまったら全部ご破算にしてりせっとしたいという心理。要するに、上手くいかなくなったわるくなった、それらを全部破壊して新しくしたいという心理。




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