何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

成功したい人の夢実現ノート

2011-08-17 21:31:41 | Book Reviews
「成功したい人の実現ノート」 江口克彦・著、PHP研究所、2006年6月23日

p.12 成功するための条件を、あえて一つだけ挙げよと言われれば、「熱意である」と私は断言したいと思います。

p.26 しかしもう少し制限を緩めていただけるならば、「熱意」に加えて「誠実さ」と「素直な心」の三つを挙げたいと思います。

p.28 反省とは、失敗に対する反省ばかりを指すのではありません。自分へのねぎらいの時間を持てということです。その日一日の行動を振り返り、良かったこと悪かったことをゆったりとした心持ちで考えてみる時間という意味です。

p.32 うまくいっている会社の社長は、もし一見してそう賢そうに思われなくとも、どこかでその人は経営と人情の機微を掴んでいる。だから会社はうまくいく。

p.38 人間は誰でも成功するようになっている。
 仕事であれ、経営であれ、あらゆるものは、もともと必ず成功するようになっている。
 ただし、正しさを貫く、という一点を押さえているならばという条件付きです。

p.41 失敗は自分が原因。成功は、運と周囲のおかげ。これが成功する人の考え方です。

p.48 威張って知識を見せつけるよりも、心を開いて尋ねるほうが、実はずっと敬意を表される。しかも、自分が話しを聞きたいのだという姿勢を見せれば、人はどんどん情報を持ってきてくれる。――この智恵を知らぬ者が成功することは限りなく難しいことでしょう。

p.51 しかし、世間は神のごときものだと考えれば、「自分のしたことが正しければ、必ず大衆はこれを受け入れてくれるにちがいない」という気持ちになります。そこに絶大な安心感が生じてきます。
 そのような大きな安心感の中で、絶えず大衆の神のごとき審判を受けつつ、力強く歩んでいく。大衆の審判に感謝しつつ、共に歩んでいく。その積み重ねで大きな成功が生じる。

p.62 不正は必ず発覚するものです。「ここまではグレーゾーンだ」という考え方を決して取ってはなりません。グレーゾーンに一歩踏み入れるということは、ブラックに足を踏み入れたと同じなのです。

p.66 自分は勉強してきたから成功したとか、努力したからこうなったのだと思うと、どこかに無理が生まれ、どうしても実力以上の野心が生まれてきます。そこに失敗の芽生えが始まってしまいます。

p.70 本質的に相手を評価しないまま、口でいかに上手に話しても、相手は無意識のうちにそのことを察知してしまうものです。だからいくら褒めても、いくら綺麗な言葉を使っても、決して感動しないし、従うこともないでしょう。むしろ褒める人に反発すら感じてしまうかもしれません。

p.75 再度謝るということは、叱られた内容を部下がいま一度自分でかみしめたということです。この作業のできる人間は、必ず大きく成長していくものです。

p.76 熱心で頭もよくて、これは成功しそうだという人が案外成功しないことがあります。そういう人たちによく共通して見られるのは、他人の意見を用いないということです。
 それとは反対に、なんとかしてこれをやり遂げたいと思うがゆえに、多くの人にものを尋ね、力を貸してもらいたいという態度をとる人がいます。こういう人は、必ずと言っていいほど成功するものです。

p.78 多くの人にものを尋ね、知恵を集めるためには、自分に話してくれたことに感謝し、褒めることが大切です。
 そのとき大切なことは、内容の良し悪しに対してではなく、自分に話をしてくれた、その誠意に感謝し、褒めるということです。
 そうすれば、相手は自分が役に立った喜びを感じ、「また何かあればこの人に情報を持ってこよう、教えてあげよう」と思うでしょう。

p.84 暗い顔をした人間のところに人は集まらない。人が集まらないようでは、仕事がうまくいくはずもない。

p.89 見るからに優秀そうな経営者の会社が、内部がギクシャクして成果が上がっていないというケースは少なくありません。そのようなとき、経営者が「理」には優れていても「情」に欠けている、という場合が多いようです。

p.96 具体的目標については臨機応変に扱っていくということでいいでしょう。
 しかし、そのとき、基本理念(=どのような考え方で)と理想(=最終目標)は決して変えてはなりません。それを変えたら、絶対に統率を取ることはできません。組織がバラバラになり、腐敗していまいます。

p.99 人間としての大きな使命感がなければ、いくら熱意を持って始めたことであっても、やがて勢いを失い、力強い活動を続けることはできないからです。

p.102 「目に見えない要因」とは、たとえばその会社の経営理念や哲学、方針、あるいは経営者の考え方とか姿勢です。と同時に、社員の人たちの心がまえ、やる気、雰囲気もとても重要でしょう。

p.105 人間は偉大な素晴らしい存在であると考えれば、「そうだ、この人の意見に尋ねてみよう、この人の話を聞いてみよう」ということになる。
 あるいは、この人に仕事を任せてもしっかりとやってくれる、熱心に取り組んでくれる、という気持ちになる。

p.116 では、どうすれば素直な心になることができるでしょうか。
 ――自分の行ないがはたして素直であったかどうか、日々、よく反省をすることが大切だということです。自分で自分をもう一度ふり返ってみて、とらわれた心ではなかったか、素直な心で行動していたか、充分反省をする。
 その繰り返しの中から、いつしか素直な心を会得している自分を見つけることができるでしょう。


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原発はいらない

2011-08-16 22:11:06 | Book Reviews
「原発はいらない」 小出裕章・著、幻冬舎ルネッサンス新書、2011年7月15日

p.217 防災の原則は、「危険を大きめに評価し、あらかじめ対策を講じて住民を守る」ことだと思います。しかし政府のやってきたことは、一貫して事故を過小評価し、楽観的な見通しを公表することでした。
 このような時は、住民の被曝を防ぐことが最優先されるべき対策です。残念ながら、政府の動きは、住民の安全を守るよりは、ひたすらパニックを恐れていたようです。

p.219 ガンジーの墓碑に記されている「七つの大罪」
 「理念なき政治」「労働無き富」「良心無き快楽」「人格無き知識」「道徳無き商業」「人間性無き科学」「献身無き崇拝」

p.233-4 原発推進の国際的機関であるIAEA(国際原子力機関)が安全強化を訴え、それに呼応して政府、電力会社、経済界などから再稼働の声が高まっています。その前提条件としてもっともらしく掲げられるのが、「安全が確認できれば」というフレーズです。
 しかし、今回の福島第一原発事故が事実として示したように、「安全な原発などはなく、安全性を確認できるようなことは金輪際ない」のです。

p.237 「社会を変えていくのは数ではない。一人です、二人です、三人です」

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宇宙銀行

2011-08-15 11:29:30 | Book Reviews
徳を積み立てると幸運が引き出せる 宇宙行」 植西聰・著、サンマーク出版、2007年2月15日

p.2-3 この宇宙銀行へ預けるのはお金ではなく、“徳”であるということです。人を喜ばせたり、尽くしたり、社会のために役立つようなことをすると、それが徳となって宇宙銀行に積み立てられ、満期になると積み立てられた徳の量だけの恩恵が“ラッキーな現象”として授けられるというものです。

p.21 宇宙銀行は、この潜在意識の中にあるのです。

p.31 宇宙銀行に預金を積むうえで、必要以上に見返りを期待してはならないということを強調したいからです。
 見返りなんか一切期待しないで、「ただただ、人の役に立ちたい」「人に尽くすことができれば、それでいい」という寛容な心を大切にしたいものです。

p.51 「他人とうまくつきあうのは、相手がなんとか自分を優秀に見せようと、躍起になっていることを念頭におくことだ」

p.135-6 ピンチや逆境に見舞われたり、物事が思い通りに進まないときは、絶対に願望がかなうと信じ、「どんなことがあっても、必ずそうなってみせる」と自分に強く言い聞かせるようにしましょう。

p.140 楽天の発想とは、自分の身の回りに起こる現象、あるいは自分の身にふりかかってくる出来事を、すべて良いほうに解釈する発想の転換法のことをいいます。ツイていないことでも自分に都合よく解釈したり、起きたことを結果として自分の人生にプラスになると考えるようにするのです。

p.143 人から悪口をいわれたとき、悪口をいったほうは預金がマイナスとなり、悪口をいわれたほうは、その反動として同じ分量だけプラスになる、つまり「利息がつく」と考えるのです。

p.147 では、なぜ相手のことが好きになれないのか。なぜ相性が悪いと思うのでしょうか。それは、お互いが相手に対して、「あの人になだけは負けたくない」「自分のほうが優れていたい」という思いを人一倍強く抱いていること、つまり「自己重要感」が関係しています。
 ここは思い切ってあなたが大人になって、その感情を逆手に取ってしまってはいかがでしょう。具体的にいうと、こういうときこそ、例の「ほめ言葉作戦」を実行に移してみるのです。

p.149 自分が困っているとき、悩んでいるとき。大変な状態にあるときこそ、相手に尽くしたり、助けてあげるという行為が崇高さを増します。苦境下において徳を積むと、通常のそれよりも数倍の預金を積んだことになるばかりか、莫大な利息までつくようになるのです。


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なぜか、人とお金がついてくる50の習慣

2011-08-12 18:50:24 | Book Reviews
「なぜか、人とお金がついてくる50の習慣」 たかの友梨・著、フォレスト出版2011年2月13日

p.5 自分の恵まれない部分を嘆いていると、それが増幅していくだけ。成功するには、そんな感情はどんどん捨てていくクセを持たなければなりません。

p.16-7 創業して間もない頃、一生懸命に育て、可愛がってきたスタッフが、次々と辞めていったのです。ショックを受けた私は、傷つき、落ち込みました。
 あなたにとって、いまの仕事は楽しくやりがいのあるものでも、辞めたいと感じる人にとってはそうではないのです。だから、辞めたい人は辞めればいい。離れていきたい人は離れていけばいい。それだけの話です。
 あなたとの仕事を面白がり、一緒に頑張ってくれる人は縁のある人、合わなくて辞めていく人は縁のない人。その人は、あなたと縁がないだけで、別の誰かとの深い縁を探しているだけなのです。

p.19-20 ゴマすりは、最強のビジネスツールです。あなたも、顧客に対して、取引先に対して、上司に対して、もっともっとゴマをすってみましょう。
 いきなりで難しければ、まずは相手に合わせることです。ただ賛同するだけでも、ゴマすり効果は充分にあります。
 相手を喜ばせようとゴマをすることは、卑屈なことでも何でもなく、一種のビジネスマナーです。

p.24 人は、好きな人の言うことには素直に耳を傾ける。
 部下たちがあなたを好きでいてくれたら、彼らはあなたの意見に素直に耳を傾け頑張ってくれるのですから。
 あなたがビジネスで成功したいなら、まずは好かれる人になることです。

p.29 目の前にいるお客様が、あなたより専門知識がないのは当たり前。お客様が見当違いな質問をするたびに、イライラするようなことはありませんか? それは、お客様に問題があるのではなく、あなたの言っていることが、ビジネスを成立させる説明になっていないということです。
 わかりやすい話ができない人から、人はモノを買おうと思わないし、わかりやすい話ができない人を信用することもありません。

p.32 どんな人と懇意にするのもあなたの自由ですが、あなたにウソをつかせるような人たちは遠ざけたほうがいいでしょう。
 「もっといい手があるから私にまかせて。ときにはズルも必要ですよ」
 うまいことを言ってくる人は、本当にあなたのためを考えているのではなく、あなたを介して自分が得をしたいだけ。いざとなるとお金も出さず力も貸してくれないでしょう。

p.32 苦しいときにもウソをつかずにやっていると、いつの間にか「信頼貯金」が増えていきます。そして、その貯金は、いざというときにとても役立つのです。

p.58 あなたが、大きなビジネスをしたいなら、銀行からの借金を恐がらないこと。恐いと感じるとしたら、返せない自分を想像している証拠。そんな弱い覚悟では、そもそも、そのビジネスは成功しません。

p.67 「あのときの、たかの友梨には感激したわ。今後エステに行くとしたら、たかの友梨しかないと思ったもの」

p.105-6 自分で選んだことは否定したくないから。間違っていても目をつむってしまう。こうした人間ならではの心理を「選択盲」と言います。
 この心理は、ビジネスの場でも大いに顔を出し、私たちの判断を誤らせます。企画、商品開発、人事・・・・・あらゆる場面での失敗に、この心理が関わっているのではないかと私は思います。
 自分が選択したことが期待ほどの結果を出さなかったら、極めて客観的に観察し、間違っていたらすばやく切っていく潔さが必要です。

p.118-9 男性の前では「ちょっと不幸な私」をウリにしてしまったこともありました。ところが、それをやると、自分が確実に損すると、あるとき気づいたのです。
 成功したいなら、少したりとも不運の香りをさせないほうがいい。
 つまり、このケースでは、男女ともに「低きに流れる」人生になります。自分への同情を買おうとして過去の不運を匂わせるということは、自分の価値を下げ、自分の未来を安いものにしていることにほかなりません。だから、自分の幸運度はかさ上げするくらいでいいのです。

p.148 自分がお客様だったら何をしてほしいのか。ビジネスの答えは、すべてここにあります。


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道をひらいた男

2011-08-11 22:34:02 | Book Reviews
道をひらいた男 成功へと導く奇跡のレッスン ジョー・タイ、PHP研究所、2006年2月3日

p.19 雇われて仕事をする者は、心の安定が得られない。天職として仕事をする者は、決して職を失わない。

p.41 あなたの成功はまず、今をあるがままに見つめてこれを受け入れることにかかっています。しかし同時に、奇跡を期待することにかかっています。あなたの未来をあなたの望むようなものにつくりあげるには、その奇跡が必要です。

p.70 希望的な考えと積極的な考えはどうちがうと思う? それはね、希望的に考える人がなにかの実現を希望してなにもしないで待っているのに対し、積極的に考える人は実現を〈期待〉して積極的に〈働きかける〉ことよ。

p.82 志ある大きい夢のほうがなぜ臆病で小さな夢より実現される可能性が高いのか

p.82 大きな目標を実現しようと決意すると――といっても、実現したいなあといった生半可なものではなく、〈死ぬ気で〉実現してみせると固く決心すると、実現に必要な人でも金でも、どんなものでも引きつけてきます。

p.86-7 それは、彼ら(成功者)が将来のできごとを〈記憶〉していることです。その記憶に絶対の自信をもっています。先の展開が予想できるから、自信をもって必要なリスクをとることができるのです。
 効果的な未来の記憶には、三つの要素があります。まず、視覚的イメージ。細かい点まではっきりう頭の中で描けるほど望ましいですね。

p.92 想像力を最も生産的に活かすのは、未来の記憶をつくることです。
 想像力は使えば使うほど、さまざまな情報を吸収して成熟し、直観力に育ちます。その直観力が、夢の実現に必要な人や行動へと導いてくれるのです。

p.94 先へ行って幸せになりたければ目先の楽しみには目をつぶらなければなりません。

p.141 恐怖を味方につけ、逆境から学ぶ

p.144-5 恐怖を感じないのは勇気がないからだ。怖さを知らない者は危険をかえりみない。だが、それは勇敢だからじゃない。恐怖を感じなければ勇気も出てこない。恐怖が大きいから勇気も大きくなる。

p.150 恐怖はぜったい消えないって言っただろ。いいか、恐怖はおれの味方になったんだ。それからは、怖いと感じたらいつでも恐怖と話をすることにした。恐怖ってやつは臆病だから、こっちが真正面から立ち向かうとこそこそ逃げていく。

p.153-4 まず逆境はかならず訪れるものと考えておかなければいけない。悪いことは自分には起きない。ほかの人だけに起きると決めつけてはいけない。逆境を期待することだ。
 ギャッ局のあとにはかならずチャンスがめぐってくると信じること。

p.171 小さなことから始める、ただし今すぐ始めること。起業家になるというのは、失敗もたくさんすることです。なんでもやってみて、うまくいくことは継続し、うまくいかないことは捨てればいいのです。

p.183 ものを売るってどういうことか、わかってるか? 自尊心を試す究極の手段だ。突きつめていくと、売るものはひとつしかない。自分だ。売る相手ももひとりしかいない。気難しくて、へそ曲がりで、頑固で、ノーとしか言わない客。これも自分だ。自分に自分を売る。これができればなんだってできる。

p.196 最後に、人にやさしくし、人を信じることが大切だ。つまり、逆パラノイアになればいい。人を見たら白馬の天使と思う。そういう態度でいれば成功しないわけがない。

p.214 『こうしたい、でも、あまりに・・・・・だからできない』から『こうしたい、だから、こうする』に変えなければいけません。

p.224 雇われて仕事する者は、心の安定が得られない。天職として仕事をする者は、決して職を失わない。

p.225 安定した職場というのは幻想かもしれませんが、天職を見つけて得た心の安定は決して揺らぎません。自分の仕事を、生活費を稼ぐ手段としてではなく、天職として見るなら、〈やりがいのある仕事が見つからない〉という日は決して訪れません。もちろん、収入が少ないことはあるでしょう。しかし、仕事がなくなることはありません。

p.226-7 従業員を大事にし、顧客のニーズに応え、地域に貢献すれば、利益と株価は結果としてあとからついてくると信じています。

p.235 奇跡は、人生の困難を一瞬にして取り除いてくれるものではない。むしろ、時間の経過が奇跡を起こす。イエスは申された。祈りをささげるときは、祈りへの答えですでに受けたと信じて祈りなさい、そうすればかならず通じると。祈って〈すぐ〉願いがかなわないと、神への信頼を失ってしまう人が多すぎるのではないだろうか。

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ぶれない人

2011-08-10 21:48:28 | Book Reviews
「ぶれない人」 小宮一慶・著、幻冬舎新書179、2010年7月30日

p.5 金儲けのために仕事をする人は、仕事がお金を稼ぐための手段になっているため、効率性ばかりを重視するなどして、仕事が荒れていきます。

p.6 一方、「そのまま伸び続ける人」とは、もう一段階、考え方が上がる人です。
 「良い仕事をすること」そのものを目的とするようになるのです。そういう人は、良い仕事をすることが目的になりますから、終わりがありません。仕事が生きがいになりますので、良い仕事をすることが好きですし、良い仕事をやりつづけるので、発展も止まることがありません。

p.24 正しい考え方のもと、自分の考えは間違っていないと確信を持って言えるのであれば、理不尽な上司と仕事をしなければならない場面でも、上司の一挙一動に安易に振り回されることなく、なるべく距離を置いて接する、一歩引いて物事を見てみるなど冷静な対応をとることができるでしょう。

p.27 ひとつは、いつまでもお金や地位といった欲が先行する人がたどる道です。お金を稼ぐことが目的化するため、仕事は稼ぐための手段になってしまいます。

p.30 金儲けがしたいと思う人が儲からないのは、金儲けをすることが仕事の目的になっているため、「お客さまのために」良い仕事をするという気持ちが二の次になってしまうからです。

p.34 (仕事の際に)お金や地位を目的にしてしまうと、仕事が手段となりますから、仕事が荒れたり、チームワークが乱れたりしがちになり、働いている人も次第に疲れてくるようになるのです。
 その大きな要因が、成果主義の評価結果が、「お金や地位」だけになりやすいことにあったと思います。

p.35-6 お金や地位というのは怖いもので、給与をアップしてあげるよ、役職もアップしてあげるよという“にんじん”がぶら下げられていると、あたかもお金や地位だけが目的のように感じるようになりがちです。そして、お金を稼ぎさえすればそれでいいという考え方に陥りやすくなってしまうのです。
 その結果、会社全体が、殺伐としてきて、チームプレーや働く喜び、そして、何よりも良い仕事をすることや自分の存在意義(目的)を見失ってしまいがちになります。そして、ひたすらお金儲けだけに走り出すのです。

p.59 現代では、正しい考え方を自発的に学ぼうという姿勢がない限り、それを身につけることは難しいのではないかと私は思うのです。自分で勉強するしかないのです。

p.64 原点をしっかり持っていない、つまり、正しい考え方を持っていない人間が、適切な人間を選ぶことなどできないからです。

p.70 私は、正しい信念のある人がとる行動は、そのとき賛否両論があったとしても、いずれは多くの人に尊敬されることになるだろうと思っています。

p.79 能村さんのような「信念のある人」は、信念のない人から疎まれることがあります。なぜなら信念のある人がとる行動は、ときに、大勢の反対を押し切ってでもやり遂げようとするため、信念のない人から見れば不可解だったり、場合によっては、それが頑固な人、面倒な人に見えてしまうこともあるからです。
 信念のない人が、信念のある人に叱られようものなら、その思いはますます募り、嫌悪感を抱く人もいることでしょう。しかし信念のある人は、正しい原点だから貫こうとしているのです。正しい考え方を信念を持って貫いているため、同じように正しい考え方を持っている人であれば、この人になら信じてついて行こうと思えるはずです。本物の人は本物が分かりますが、偽物には本物がわからないのです。

p.99 何を省みるかというと、次の三つについてです。
 他人とのかかわりに、真心がなかったということはないか。友人とのつきあいに信義に欠けることはなかったか。習熟していないのに教えることはなかったか。

p.100-1 成功した人ほど、うまくいったときは、「○○さんのおかげだ」「運が良かった」など、自分以外の成功要因を口にすることが多いものです。そして、失敗したときは、決して他人のせいにせず、鏡を見て自分を反省する人が多いというのです。成功した人ほど、我が身を省みる姿勢を持っているというわけです。
 正しい考え方を持っている人は、失敗したときや、うまくいかなかったときほど、その原因を自分に求めます。誰かのせい、何かのせいにして罪をなすりつけることは決してしません。

p.103 彼(バフェット)にとってお金を稼ぐのは、人を助けるための手段に過ぎない。

p.107 鷹山にとってのお金をかけるべき基準は明確でした。それは、民のためになるか、ならないか、でした。

p.113 リーダーとして名を馳せた人物に共通しているのが、「指揮官先頭」という姿勢です。

p.118-9 ビジネスにおける正しい考え方とは、お客さまのため、社会のために良い商品やサービスを提供し続けることなどを指します。ビジョンや理念は、それをベースに創られていることが多いと思います。
 お題目のようなビジョンや理念があってもダメです。そして、経営者が、儲けるためにはビジョンや理念が必要で、そのためにビジョンや理念を掲げているようでは本末転倒です。

p.123 大きな決断をするときこそ大切なのが、原点に立ち返ることなのです。

p.134 教えるとは頭で理解したことを相手に分からせることです。技術的なことや会社の規則などは教えることです。
 一方、伝えるのは気持ちや考え方です。相手に伝えるには心で分かることです。心でわかったことは、自分で信じて実行するようになります。

p.138 働きがいを感じている人は、残業が続く日でも、それが周りから認められ、また、お客さまや同僚のためになるならという気持ちで頑張ることができますし、毎日、会社へ行くのも自然にルンルン気分になるものです。
 一方、お金や地位だけで評価される会社で働いている人は、働きがいを感じることは難しいと言えます。

p.149 「お客さまのため」や「社会に貢献する」といった高い「意識」を共有している会社は、結果として売り上げや利益が出ています。そして、「意識」の高い会社は、それを「徹底」して「継続する」という特徴があります。

p.150 どんなことでもそうですが、「やり続ける」というのは、よほど意識が高くなければできません。

p.153 「和気あいあい」の雰囲気の会社は、居心地が良い、社員が働きやすいというイメージがある人もいるかと思います。しかし、会社の正しい社風は、「和気あいあい」ではなく、「切磋琢磨」です。

p.154 「みんなで仲良く」という雰囲気のある和気あいあいの会社は、実力のある人が突出した能力を発揮することを好みません。実力のある人が、実力のない社員レベルに合わせながら仕事をせざるを得なくなるため、生産性も落ちてしまいます。できる社員のやる気をはばむのです。
 失礼を承知で言えば、たいていこうした会社は、経営者や幹部たちの実力がたいしたことがないことが多いのです。できる社員に能力を発揮されると、自分たちに能力がないことがたちまちバレてしまう。だから、「和気あいあい」を大義名分にして、なあなあをよしとしていることが多いのです。
 和気あいあいの会社は、「内部志向」になるのです。
 「みんなで仲良く」が社風ですから、お客さまよりも。社内の人間にどうしても目が向いてしまうのです。社員の顔色をうかがって行動することが多くなり、何か問題があっても、「言わないほうが無難」という心理が働きやすくなってしまいます。

p.164-5 しかし私は、経営コンサルタントの仕事をしているなかで、しばしば、「『お客さまのため』をモットーに頑張っているのに、全然結果が出ないんだけど・・・・・」という声を耳にしていたのも事実です。
 結果が出ないのは、なぜか。理由は二つのことが考えられます。
 ひとつは、まだまだ「お客さまのため」が足りていないから。
 もうひとつは、そもそも正しい考え方ではないから。「お客さまのためを実践しているわけですから、一見、正しく見えますが、実は、お金を儲けるため、その手段として「お客さま第一」を掲げているのです。しょせん、金儲けが目的ですから、最初は順調に売り上げや利益が出ても、必ず行き詰まるときがやってきます。

p.167 良い商品やサービスを提供すれば、結果として、売り上げや利益が出る。それを、社員や株主に還元し、納税を通して地域社会にも貢献していく。これが、正しい考え方です。なぜ、正しいかと言えば、会社に関わるすべての人を幸せにすることができるからです。

p.177 「部長までは技で出世させる。でも、役員以上は考え方で選ぶ」

p.191 それというのも、お互い人間として最も大切なことは、単に梯子段を一段でも上に昇るということにあるのではなくて、そのどこか一ヶ所に踏みとどまって、己が力の限りハンマーをふるって、現実の人生そのものの中に埋もれている無量の鉱石を、発掘することでなくてはならぬからであります。

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回復力

2011-08-09 22:27:10 | Book Reviews
「回復力 失敗からの復活 畑村洋太郎・著、講談社現代新書1979、2009年1月20日

p.5 「回復力を信じる」といっても、そのためには多少のコツが必要です。そのコツとは、「失敗との付き合い方」と言い換えてもいいかもしれません。

p.28-9 失敗した人や失敗のリスクを負う人をこのような形で必要以上に追い込まないようにするには、根本的には、失敗に対する社会の認識を変えるしかないのです。
 だから一方では、失敗した人や失敗のリスクを負う人が潰されないようにするための取り組みを、社会や組織として真剣に行わなければならないと思っています。
 そして、その前提には、人は誰でも失敗するし、そうした場合は、誰でもうつなどの精神的ダメージを受ける可能性があるという認識が必要なのです。だからこそ、大きな失敗をした人に対しては、精神的なケアを含む周囲のサポートが重要なのです。

p.33 失敗をしたら、それをすぐにカバーすることで周りからの信頼を取り戻したくなります。ところが、失敗直後はダメージを受けてエネルギーが失われているので、なかなかうまくいきません。それどころか、焦っているうえに頭が働いてくれないので、むしろ間違った行動をすることで、ダメージをさらに大きくしてしまうことのほうが多いのです。
 このような自滅パターンにはまり込んだ人には、ある共通点があります。それは冒頭で述べた「人は弱い」という認識が欠けていることです。

p.37-8 失敗をした人に向かって、よく「もっと頑張れ」と声をかける人がいます。その人はよかれと思ってやっているようですが、これはほとんどの場合、相手には励ましどころかたいへんな苦痛になっています。
 失敗した人は、心の中では「いまの状況に負けずに頑張りたい」と思っています。しかし、そう思っていてもエネルギーが枯渇しているのでなかなか行動することができません。そのときに周りがかける「もっと頑張れ」という言葉は、「もっとエネルギーを出せ」と言っているのと同じです。つまり、エネルギーがないのにエネルギーを出すことを強いるのです。これでは励ますどころか、逆に失敗した人を追い込むことにしかなりません。

p.38 エネルギーを失ったときには、人は失敗に立ち向かうことはできません。それはどんなに強い人でも同じです。そのことを理解しないと、失敗後の対処をうまく行うことはできないのです。これは失敗を考えるときの大前提です。

p.40 いずれにしても、エネルギーが戻ってくると人は必ず自発的に行動したくなります。誰にでもその時期は必ずやって来るのです。多くの失敗者と接するなかで、私はそのことを確信するようになりました。
 だから、自分の「回復力」を信じて、その瞬間をひたすら待つのが失敗への最高の対処法なのです。

p.55 この「想定外」も大きくふたつに分けられます。起こってしまった現象が、まったくの想定外であるということがそのひとつです。しかし多くのケースでは、一応は想定していたものの、そんなことが実際に起こるということを計算に入れていなかったのです。
 つまり、知識として知っていたり、頭の中では「そうしたことが起こるかもしれない」と考えているのに、それでも失敗してしまうのです。この原因は一言で言うと、「油断」です。

p.60-1 何か失敗が起こると、必ずこの“正論”を振りかざして、失敗した人を責め立てる人が現れます。「もっと注意すれば防げた」とか、「管理の問題云々」というのがそれです。
 しかし、こうした正論の通りに行動したところで、実際には失敗が完全に避けられることはほとんどありません。なぜなら、こういう場合に使われる正論の多くは、きちんとした分析によって導かれたものではなく、たんなる建前論になっているからです。正論とは名ばかりで、その人の主張を正当化するための詭弁であることもあります。

p.70 明らかに自分のせいで失敗した場合、人は目の前で起こっていることが失敗であると認めたくないので、目の前で起こっている悪い結果をなるべく見ないようにします。そして、周りから何も言われなければ、何事もなかったかのようにそのままやり過ごそうとします。
 失敗した人がこのような曖昧な態度を取りたがるのは、失敗を認めた瞬間に、前章でも説明したように、辛くてたいへんな思いをしなければならないからです。背負わなければならない荷物も出てきます。だから可能であれば、何事もなかったかのように振る舞おうとします。これは一種の自己防衛反応です。 #RM

p.71-2 そもそも失敗を失敗として認めないうちは、そこで何が起こっているかを正しく理解できません。悪い現象が起こっていてもすぐに「そんなはずはない」と否定してしまうし、自分が悪い状態にあることを自覚しても、原因についてはせいぜい「自分は運が悪かっただけなんだ」くらいにしか考えられないからです。これでは失敗後の対処がうまくできるはずもありません。
 しかし、不思議なもので、「これは失敗なんだ」と自分の失敗を認めることができた瞬間から、状況が一変します。

p.72 裏を返せば、失敗を失敗と認めないうちは、失敗後の対処など考えることができないし、悪い現象を前にして何ひとつ手を打つことができないのです。だから失敗にうまく対処するには、自分の失敗を認めることが大切な第一歩なのです。

p.74 失敗や失敗した人の責任を過大に評価して責め立てることには、結果として社会に大きなマイナス効果をもたらす危険性があるのです。

p.75-6 「自分の評価」と「他人の評価」、それぞれに過小評価や過大評価になりやすいという欠点があるので、どちらの評価がいいかということは一階には言えません。
 それよりも重要なのは、その評価が何をよりどころにしているかです。そうしたとき、ぶれることのない「絶対基準」があると、正しい失敗の評価が行えます。

p.76-7 それでは失敗を見るときの「絶対基準」は、具体的にどのようなものでしょうか。これは古臭い言い方かもしれませんが、結局は「お天道様に向かって堂々と話せるかどうか」ということではないかと私は考えています。

p.78-9 「責任追及や関係者の利害と切り離したところで事故の調査を行わないと、後本当の原因は明らかにできない」

p.80-2 (失敗を評価する)その中でもとくに重要なのは「物理的視点」「経済的視点」「社会的視点」「倫理的視点」です。
 物理的視点というのは、目の前でどのようなことが起こっているかをありのままに見ることです。
 経済的視点は、いわば損得勘定で失敗を見る視点です。
 社会的視点は、具体的には「社会の中でその失敗がどう見られているか」とか「社会がその失敗にどう反応して動いているか」などを見ることをいいます。
 倫理的視点は、人としてやらなければいけないことがきちんとできているかどうかを判断するためのものです。

p.85 大きな失敗は即企業の存亡につながるということを考えると、安全性と利益は決して対立するものではないと思います。

p.85-6 いくつかの相反するもののどちらかを選択しなければならない状況では、どうしても判断ミスが起こりやすくなります。加えて組織の中では、それまでの活動を通じて培ってきた独自の文化の影響を受けやすいという問題があります。そのためすべての活動において組織独特の基準の影響が強く、失敗や失敗原因の評価についてもこの基準によって行われています。

p.90 仮に自分の正当性を主張できたとしても、そのように動くことがトータルとしてその人にとって本当に得になるとは限りません。これは会社などの組織の中にいるときによく起こることです。とくに、独特の価値観に凝り固まった運営が行われているような組織では、一般的な常識が通じないことがよくあります。

p.91-2 私は、失敗後の対処は“損得勘定”をしてから行えばいいと考えています。もちろん、その場合でも失敗をきちんと評価して、何が起こっているかを正確につかんでおかなければなりません。
 そのうえで謝ったほうが自分に得になるなら、理不尽に思えても頭を下げればいいし、そうでなければ開き直るというふうに、自分にとって最も得になる行動をしたほうがいいと、私は思います。
 真面目な人、プライドの高い人は、おそらく理不尽な場面では、自分の正当性を主張したくなるでしょう。それは悪いことではありませんが、その場合はどこまでその正当性を押し通すのかをあらかじめ考えておく必要があります。頑張って正当性を押し通したところで報われることのほうが少ない、たいていはいびつな論理に負けて挫折することになります。その挫折の後に自分に何が起こるかということを含めてあらかじめ想定し、妥協点を探しておくのです。
 それをせずに感情や正義感の赴くままに突っ走ると、回復不能の状態に追い込まれてしまいます。それよりも自分の被害が一番小さくて済む方法を選択し、後でリベンジすることを考えるべきです。ちなみに、そのような行動指針を私は「被害最小の原理」と呼んでいます。

p.93-4 以前に比べるとだいぶ変化がみられるとはいえ、日本ではまだまだ失敗は「悪いもの」「恥ずかしいもの」とされたり、失敗した人や組織は、「ミスをしたダメな人間・ダメな組織」として扱われます。
 概して言えるのは、失敗を隠したがる人は、世間から低く評価されることを怖れる気持ちが強いということです。失敗を見るときも、「自分がどう思うか」よりも「周りがどう見ているか」が気になります。こうういう人にとっては、自分が失敗したことを確かに知られていないのは「失敗がなかった」というのと同じです。だから失敗したことが周りにバレさえしなければ、とくに気にすることもなくそのことをやり過ごすことができたりします。

p.95 もともと失敗について検討するときには、人は、「自分は悪くない」という理由づけをどう行うかを重点的に考える傾向があります。そして、そのことばかりに気をとられているうちに、時間の経過とともに自分を正当化する理由だけが頭の中に残るのです。その一方で、失敗を招いた自分の悪い行為に関する記憶はいつの間にか消えてしまいます。その結果、頭の中ではいつの間にか自分にとって都合のよい架空の記憶へのすり替わりが起こるのです。
 こうした状態で失敗が隠蔽され続けると非常に危険です。そうでなくても「隠す」という対処には失敗を拡大再生産させるリスクがあります。それは隠すことで、失敗の原因が放置されることがよくあるからです。周りの状況は以前と同じままであるうえに、本人には自分が失敗を起こした自覚がないとなると、隠したのと同様の失敗が再発する可能性は当然高くなります。

p.98-9 失敗を起こした企業がその失敗の事実を「隠蔽」していたと見なされた場合、社会から徹底的に叩かれるというケースが目立ちます。
 一方で、私が、失敗した企業の関係者から相談を受けると、彼らの多くが「世間やマスコミは自分たちのことを誤解している」「実際以上に悪く報道されているのは納得できない」といった不満を口にします。
 確かに彼らの言っていることにも一理あります。しかし、そのように話す人には、誤解されたり不当な扱いを受けている原因が、自分たちにもあるという認識が明らかに欠けています。これでは状況を変えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

p.112 そのことを反省はしているものの、当時の行動を否定する気はありません。自分がしたことが間違いだったというのは、あくまでも後から考えたときの判断だからです。少なくともその時点では、自分が正しいと考えたことを一生懸命やっていました。そのこと自体は認めなければいけないと私は考えています。

p.155 社会が何を求めているかをきちんと見極め、それに順応しながら柔軟に動いていくこと、これがまさしく「コンプライアンス」の本当の意味であり目的であると私は理解しています。

p.160 社会のシステムがいままでどおりにあてにできてもできなくても、個人は個人で生きていかなければなりません。そのことを前提にしていないと、困難な状況に追い込まれたときに何もできず、結果として自分が不幸になるだけです。

p.164 本書で繰り返しているように、人の命に関わることは、何があっても最優先というのが私の持論です。そのためには杓子定規で考えてはいけません。仮に成果主義と自殺の増加に関連があるとするなら、ときにはインチキをするなどのぬるい対応が行われることがあってもいいと考えています。

p.172-3 裁判で責任がないことが明らかになったのに、それでも会社が個人に失敗の責任をかぶせるようなことを行うのは、早い話が世間を納得させるためです。本人に責任はないとはいえ、失敗の責任を追及された人が失敗後も同じ部署で同じ仕事を続けているのを知ったら、世間は「あの会社は反省していない」「また同じ失敗を繰り返すのではないか」と批判します。そのような批判をかわすために、会社は懲罰人事のような目に見える形の対策を行うのです。

p.182-3 話を伺って私は、彼らが前に進むことができない最大の原因は、愛する人の死を「無駄死にだったかもしれない」と感じさせられていることにあると思いました。それはつまり、日本航空が事故後に遺族に対してきちんとした対応をしてこなかったということにほかなりません。
 じつは日本航空は、この事故で得た教訓を一切社会に示してきませんでした。それだけでなく、その教訓が自社の安全対策に生かされている姿も、外に向かって一切見せてこなかったのです。会社の立場で考えると、事故のイメージを引きずるのはマイナスなので、事故に関する情報発信に消極的になる気持ちはわからなくもありません。日本航空に限らず、大きな事故を起こした会社はどこもそのように動きがちですが、これは遺族にしてみればたまらなく不快なことだと思います。

p.184 批判は批判として甘んじて受けつつ、事故から学んだことを生かして、より安全なものをつくり出していくというのが、事故を起こした者の社会的な責任の果たし方ではないかと私は考えています。

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失敗学と創造学

2011-08-08 21:40:38 | Book Reviews
失敗学と創造学 守りから攻めの品質保証へ 濱口哲也・著、日科技連、2009年10月26日

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人は一瞬で変われる

2011-08-05 22:06:34 | Book Reviews
は一瞬でわれる」 鎌田實・著、集英社、2010年11月22日

p.52 「英語のチェンジは、変える、別のことをするというイメージです。一方、モディフィケーションは、自分の中にある違うものを引き出すというイメージ。つまり、行動変容とは、まったく違う自分になるということではなく、今はまだ自分のなかで眠っている何かを引き出すことなのです」

p.69 スポーツのメンタルトレーニングでは、「サイキングアップ」という手法がよく使われる。これは、緊張をほぐすリラクゼーションとは逆のテクニック。短く速い呼吸を繰り返したり、アップテンポの曲を聴きながら体を揺すったり、自分が勝ったときの姿をイメージしたりしてテンションを上げる。心を興奮状態へ、戦闘モードへともっていく。

p.76 ぼくは若いころから、人と比べると、不幸がはじまると思っていました。
 誰だって誰かと比べたら足りないし、比べはじめたらきりがない。でも、自分がこれで十分だと思えば十分じゃないか。人と比べるより、自分の好きなものや自分らしいものを基点に生きるほうが、ずっと楽しい。

p.146 世の中には美しい人や華のある人はたくさんいるけれど、成功できる人は、心のなかに鬼を飼っているように思う。

p.151-2 自分のなかに鬼がいることを認めたら、より自由になれたという。「でしゃばりと言われたくない」とか、「女らしいと思われたい」といった、それまで自分を縛っていた想いから徐々に解き放たれていったのである。

p.152 「人間万事塞翁が馬。不幸は裏返せば、みんなプラスなんですよ。よく、あなたのモチベーションは何かと聞かれますが、そのたびに私は答えるんです。『それはたぶん、不幸です』ってね。」

p.154 世の中に「ダメな子」というレッテルを貼られた子は変わらないのか。いや、違う。変わりにくいだけ。むしろ、変わりはじめれば、劇的に変わる。「そういう子が変わったとき、会社にとって、ものすごく大きなエネルギーになるんですよ」

p.201 道を踏みはずしたのは、あんただけのせいやない。そやけど、いつまでも立ち直らへんのは、あんた自身やで。甘えるな!

p.241 「ぼくもそう考えていたんですよ」「それはいいことだから、ぜひたりましょう」
 人は共感されると、強くなる。自信をもって、自分の力を発揮してくれる。

p.265-6 何から何まで変わらなくて、いい。大事なのは、変えようと思えば、行動パターンは一瞬で変えられる、ということを頭にたたき込んでおくこと。最初から性格を変えよう、なんて意識しないほうがいい。あとで自然についてくるものなのだ。

p.267 人は変われる、きっと。変わる必要が起これば、人は必ず変われるのだ。

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福島原発の真実

2011-08-04 22:35:23 | Book Reviews
「福島原発の真実」 佐藤栄作久・著、平凡社新書、2011年6月22日

p.51 「善悪分かたざるを患う」
 つまり、「為政者は、善悪の区別がつかないのが一番悪いことである」という意味だ。

p.108 村上教授は、「安全学」という新しい学問を提唱されている。安全は工学を超えて、倫理学や哲学の領域に踏み込まなければ実現できないとの意見が印象に残った。
 「『あり得ないことが次々と起こる』というのは、『起こるべくして起きている』のと同じ意味で、これらはすべて日本社会に内在する問題だ」と村上氏は指摘した。

p.110 「日本社会の権力理解は、『構造化されたパターナリズム』だと思います」

p.241 しかし、決断するには、さまざまな既得権益と闘わなくてはならない。そもそもリーダーとは孤独なものだが、既得権益に――特に本書でも見てきたように、官のそれに踏み込むとき――抵抗は最高潮に達する。

p.249 「原子力発電は、絶対に必要である。だから、原子力発電は、絶対に安全だということにしないといけない」という考え方が、結局何らの対策も取らなかったことにつながったのではないか。

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【ジェネリック】 変えてもたいして安くならない?

2011-08-03 14:13:39 | ジェネリック de リ・スタート!
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ★ ジェネリック de リ・スタート!
┃  -治療レベルを下げずに、支払いはリーズナブルに-
┠────────────────────────────
┃       2010.12.19  Sun.   通巻72号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 みたキタ企画、薬剤師のsukeです。

 このメールマガジンは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が
適切に使用されることを目的として、話題を提供しています。

◆ジェネリックの使用をためらっている一般のかた
◆ジェネリックの適切な使用促進に悩んでいる薬剤師
◆ジェネリックについて興味や関心のあるあなた

 といった皆さんにお読みいただきたいと思います。
──────────────────────────────

 前回から、メルマガの間隔があいてしまいました。すみません。
 ずっと気になっていたのですが、筆(?)が進まず、失礼しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ 「ジェネリックに変えてもたいして安くならないのですが」
──────────────────────────────

 今回はジェネリックにおける「価格」についてです。

 調剤における自己負担金は、大きく「技術料」と「薬剤料」から成っており、
いわゆる“お薬代が安くなりますよ”というのは、後者の「薬剤料」について
述べられたものです。

 昨今は、調剤の際に領収書のみならず、明細書をもらえるようになりました
ので、薬剤料の差はそれを比較してみることで確認することができます。

 また一部の健康保険組合では、ジェネリックに変更することで、どれだけ
安くすることができるかを試算した通知しているケースもあり、そこでも
薬剤料の差を知ることができます。

 患者さん(国民)にとって、とにかく 安いこと!
 これがジェネリックにおける最大のメリットといえます。

──────────────────────────────

 では、安ければいいのかというと、支払いが減るからジェネリックに変えるか
というと、必ずしもそう話は簡単にはいきません。

 いくらジェネリックは先発品と同等である! といってもです。

 身の回りの物についても同様・・・、1円でも安いほうの店から買うという
のは、どちらから買っても得られる物や、それに付随する価値は同じであると
考えるからです。
 
 皆さんも、常に安さだけを判断基準として消費行動をとっているのではない
と思います。安くても不要なものは買わない、高くても欲しいものは買う、
そんな姿も見られます。

 安いことはけっして悪いことではないのですが、その価格に対して得られる
ものとの比較・バランスにおいて、納得できるかどうかが、購入するかどうか
を決めるうえで重要なのではないでしょうか。
 
──────────────────────────────

 「薬」というものの性質上、価格は二の次、とにかく先発品、ブランド品で
なければ安心できない・・・、そう考えるかたはそれでいいのです。

 先発品を使うことが、最善の医療を受けることだ・・・、そう考えるかたは
それでいいのです。

 それは先発品とジェネリックには有効性や安全性のうえで違いがあると、
先発品のほうが勝っているとの思いに拠るのではないかと思います。

------------------------------------------------------------

 ジェネリックに変えてもおそらく大丈夫だと思われるけど、万一ってことも
あるし・・・、ということで価格差によって異なる、とする向きもあります。

 同じ処方にもかかわらず、10円の差でしかない時と、1000円の差が
つくときでは、判断が変わってくるかもしれません。
 
 判断が変わる差額ラインはどこか、100円? 300円? 500円?
 それは個々に異なります。

 同じ金額であっても、数字して見ているときと、それが現実への影響や
感覚としてとらえた時によっても異なります。

 たとえば100円程度の差であっても、それによって何か別の物を買う
ことが出来て良かったと考ると、少ない金額にも価値が感じられます。

 仮に100円安くなったとしても、1万円が9900円になった時と、
300円で買っていたものが200円で買えた時とでは、受ける印象が違って
くるのではないでしょうか。

 また1回の差がわずかでも、年間通じての積算で考えると、ある程度の
まとまった金額になることもあるでしょう。
 それがあるとないとでは違うと思えば、判断が変わるかもしれません。

──────────────────────────────

 3割負担で自己負担金が30円違うということは、70円は医療保険や
税金で賄っていますので、医療費全体では100円異なるということです。

 一見、たかが30円のようで、それが国民全体の集積となると相当の
医療費削減につながります。それによって、今後の保険制度等にも影響
してくるかもしれません。保険料や負担割合が上がってしまうおそれがある
のなら、それを考慮するということもあるでしょう。
 
 保険の種類や自治体による補助、あるいは疾病等により、自己負担が
ゼロという人もいます。自己負担がないので、ジェネリックを勧められても
あえて先発品のままでよい、と考える人もいます。

 しかし、おわかりのように、「どこか」が差額の100円を支払っているので
あり、ジェネリックに変えることで医療費削減に協力することができるのです。
 
 自己負担がゼロだから関係ないのではありません。医療費は発生している
のですから、見えないところで関係しているにすぎないのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 ジェネリックであろうと、薬価は「公定価格」といって、薬ごとに決められて
います。それを越えて安くすることもできませんし、値上げ(?)したかのように、
高い価格で算定することもできません。
 
 価格差がどうあれ、ジェネリックを使うかどうか、使用に踏み切るかどうか、
勧める薬剤師による部分も少なくないと思われます。
 
 これまでも健康問題の解決に親身になって係わってきてくれた薬剤師で
あれば、そういう薬剤師が勧めるのであれば安心感が違うと思います。
 
 いくら勧められても、これまであまり親身に係わりがなかった薬剤師で
あったり、相談してもさほど頼りになるふうではなかった薬剤師が勧めてきた
場合は、つい何か裏を感じてしまうかもしれません。

 これまでの係わりや気遣いが、誰でも同じようになされてきたものなのか、
個人に応じてなされてきたのかによっても、異なるでしょう。

------------------------------------------------------------

 今度、薬局で調剤を受けるとき、いくらの価格差になるのか(1回当たり、
あるいは年間で)、ちょっと試算してみてはどうでしょうか。 

 それが医療費に換算するとどのくらいの貢献になるのか、考えてみては
どうでしょうか。

 ジェネリックは、その成分を含む薬剤として考えれば、十分、使用実績を
経て、使えるようになった薬剤です。

============================================================

 薬局でジェネリックを勧められて、あるいは患者さんに勧めてみて、
自己負担金に関連して、何かご感想やご意見はありませんでしょうか。

 もしあれば、その時のエピソードを添えてお知らせください。

 また取り上げてほしい話題、感想等、些細なことでも構いません。

 お送り先は、 tamsuke@gmail.com です。
(@は小文字の「@」に変えてお送りください)

 お待ちしています! それではまた次回! (^^)/

============================================================
☆☆☆【みたキタ企画よりお知らせ】

 みたキタ企画では、ジェネリックについてご相談をお受けしています。

●個人的な疑問がある、相談したいという要望(一般のかた)
●ある集まりで、話をして欲しいという要望(一般のかた)
●どうやってジェネリックを進めていくとよいか悩んでいる(薬剤師)

 ご要望があれば相談に応じますので、ご遠慮なくお知らせください。 
 現状から一歩前進できるよう、そのお手伝いができればと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆☆☆ メールマガジン 【ジェネリック de リ・スタート!】

■発行 : みたキタ企画
■発行人: suke
■ご感想やご質問等の宛先 --> tamsuke@gmail.com
 (@は小文字の「@」に変えてお送りください)
------------------------------------------------------------
■発行システム:『まぐまぐ!』  http://www.mag2.com/
■購読希望(メールアドレス登録・変更)・配信停止はこちら
     http://www.mag2.com/m/0000286496.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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仕事の魔法

2011-08-03 12:57:54 | Book Reviews
「仕事の魔法 ついに極意を明かす! 営業の次はこの魔法 中村信仁・著、ビーコミュニケーションズ、2008年7月10日

p.39 佐藤先生は僕を見て「小笠原、お前さんは自分の下で働けるかい?」と尋ねてきた。「自分の下・・・で、ですか?」「そう、小笠原がもし上司を選べるとしたなら、自分自身を選ぶかってこと」

p.41 「人は、時として自分に駆けるという覚悟が必要だよ。そしてね、ときには部下に賭けることも必要だ。そうやって賭けると、お互いに自分の知らなかった力が湧いてくる。そうすると、自分を信頼してくれた人と、初めて命と命の呼応が生まれる。そんときだよ、お前さんたちが本物になれるのは」

p.43 叡智とは匂いを嗅いで察するという力なんだけど、上司にたてついたり方針には向かっている内は「大物」にはなれないよ。ひねくれていたり、見えている世界が狭いヤツはすぐ毒づいたりするんだ。要は金魚鉢の中の世界観程度ってことだな。匂いを嗅ぐには素直さが一番さ。

p.44 「小笠原、水口には『人の心を察する』ことを教えてやるんだよ」といった。「そして、ただひとつ『痛みを分かる人』に育て上げろ、それが人の叡智だ」と。

p.76 「でも、私のように無駄な歳月ばあkり重ねると良く分かるの。結局は、『できなかった』のでも、『やれなかった』のでもなく、ただ、『やらなかった』だけだったということが」

p.101 「新人に教えることなんて唯ひとつでいいんだよ。いつでも『お前のことを見ているぞ』って。どんな時でも、俺が後ろにいるんだから・・・と」

p.105 『ゆとり』が心から失われると、ついつい『利』に走り出す自分がいた。

p.106 明日を信じろ・・・。『信じる心』が恐怖を打ち消すただひとつの方法だと。

p.115 『三学戒』
 少くして学べば則ち壮にして為すことあり。
 壮にして学べば則ち老いて衰えず。
 老にして学べば則ち死して朽ちず。

p.116 業績が悪くなるとすぐ人を辞めさせたりしてきたけど、これも間違いです。
 すべて効率という考えが軸にあったからだよね。でも、効率なんてもんは志の欠片にもならない。大切なのは『この先どこへ向かい、どんな世の中にしたいのか』を真剣に考え商売をしなきゃならない。

p.120 紙谷さんはそんな僕に『売らない営業』を指導した。ただお客様の悩みを聴き続ける良き相談者であれと諭し続けてくれた。

p.131 「もちろん、早く顧客を増やしてどんどんノートを書いていきなよ。ただ、絶対にパソコンで仕上げちゃダメだよ。
 「どうしてですか?」
 「手書きが大事なんだよ。強調するところを大きく書いたり太く書いたりと、その時の状況は手書きで残すからこそ鮮明に想い出せるんだ。デジタルにしちゃうと雰囲気が甦ってこないからね」

p.146 「オガ、最近誰かを喜ばせてますか?」

p.151 誰かのために必死になれる人は、途中であきらめません。途中で投げ出しません。妥協しません。

p.153 もし、自分の人生のためだけに仕事をしているなら、きっと、どんな仕事であろうと、あなたには粘りも熱意もゴールも求める情熱すらなく、不平と不満ばかりを心にためるはずです。

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まずは1人で独立・起業!うまくいく人、いかない人

2011-08-02 21:55:51 | Book Reviews
「まずは1人で独立・起業!うまくいく人、いかない人 会社にいながら準備するための独立・起業マニュアル 鏡味義房・著、クロスメディア・パブリッシング、2009年10月11日

p.25 専門職という範疇にはいる業務は得てして、会社ではメインの仕事ではない場合が多いのです。この場合は、他社でも通用する専門性を身につけることが、将来会社を離れても自活できる道と言えます。今勤めている会社にいながら、よそでも通用する専門家になる道が専門職としての会社との関係ではないでしょうか。

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御巣鷹山と生きる

2011-08-01 22:31:26 | Book Reviews
御巣鷹山と生きる 日航機墜落事故遺族の25年 美谷島邦子・著、新潮社、2010年6月25日

p.69 私は、その中でも、太田市医師会の木村嘉孝医師が書かれた、「科学文明を過信した人間の驕り昂ぶりがなかったか。人間の思い上がりが、天を畏れざる所業が、自然から報復を受ける結末にいたることはないのか、人間たるもの、もっと自然に対して謙虚な思いを持ちたいと願うものである」という一文に大きくうなずいた。技術万能の時代に警鐘を鳴らしていると思った。

p.79 「520人の人々は、この時、真っ赤に染まる夕焼けをみただろう・・・・・」

p.94 大きいことはいいことだ。速いことはいいことだ、の企業体が憎いのだ。高度成長の果ての、この構造の上にわが子は殺された。

p.109 「日本では事故調査イコール責任追及と考えている人が多いため、今急に再発防止を優先させると言っても、なかなか世論の理解を得られないのではないか。これについてはなるべく幅広く論議を行ない、決めなくてはならない問題だと思う。アメリカでは、再発防止を優先させる傾向が定着している。それに反して、我国が再発防止を後回しにし、責任追及を優先させるために調査報告書を裁判で利用する、という後戻りはできないと思う」

p.135 補償の提示がはじまると、日航は企業の顔をして対応してきた。それが、事故後の苦しみに追い打ちをかけた。遺族は、「お金のことではない。人の命の尊さを、最愛のものを亡くしたこの苦しみをわかってほしい」と叫びたかった。

p.177 ヒューマンエラーを完全に防ぐのは不可能だ。ヒューマンエラーについては、ANAグループの安全教育センターを見学に行った時、わかりやすく記されていた。「ヒューマンエラーは誰にでも起こるもの、訓練しても、罰しても絶滅はできない。しかし、このエラーの連鎖は、エラーを報告するという日々の積み重ねで断ち切ることができる」と。
 つまり、ヒューマンエラーを少なくする、拡大の防止を図るには、エラーを起こした当事者から積極的に報告してもらわなくてはいけない。そうすることで初めて、真の原因を究明し有効な対策を見出すことができるのだ。 #RM

p.178 「人間は、これからもますます高度な科学技術を開発し機械をつくる。事故がおきないようにそれらを使い、管理し、運用するのも人間。人間にはミスがあり、そのミスを防いでいくのも人間」とは、黒田さんの言葉だ。

p.181 「安全」はマニュアルから生まれるだけではない。かけがえのない命へのおもいを、日々の現場で、弛まぬ努力の中で活かして欲しい。

p.182 「モノづくり」のために一番必要なのは、そうしたことができる「人づくり」のように思う。
 日航は「モノ」を作る企業ではないが、命をあずかる企業だ。安全という「モノ」を熟成していく仕事をしている。飛行機という高度な技術商品を扱う日航の誇りは、「安全」をつくることだと思う。今度こそは、「安全」であるモノを通して、「人づくり」をしてくれることを願う。日航に、本当に今、必要なのはたくさんのお金ではなく「人づくり」をする人たちだと思う。
 #RM

p.217 「僕は、何故死ななければならなかったの?」

p.219 私たちは、ただ罰したいのではない。市民感覚を重く受け止めて仕組みを変えたいのだ。

p.223 若い人たちが、深夜電話をしてくる。「死にたい」という言葉は、「生きたい」という心の叫びだった。「私は、いらない存在なの」は「私は、ここにいていいのね」と同じだった。アドバイスを何もしなくても、「話を聞いてくれてありがとう」と電話は切れた。共感してくれる人がいれば、生きるという気持ちにつながると知った。


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