何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

【ジェネリック】 使用促進のカギは患者さんにあり

2011-08-21 14:20:57 | ジェネリック de リ・スタート!
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┃ ★ ジェネリック de リ・スタート!
┃  -治療レベルを下げずに、支払いはリーズナブルに-
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┃       2010.12.31  Fri.   通巻73号
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 みたキタ企画、薬剤師のsukeです。

 このメールマガジンは、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が
適切に使用されることを目的として、話題を提供しています。

◆ジェネリックの使用をためらっている一般のかた
◆ジェネリックの適切な使用促進に悩んでいる薬剤師
◆ジェネリックについて興味や関心のあるあなた

 といった皆さんにお読みいただきたいと思います。
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 今年も残すところ、わずかとなりました。皆さんは、どこで、どのように
新年を迎えようとしておられますでしょうか。
 
 今年の年始を思い返して、今年はこうありたいと願っていたことは
1年経った今、どの程度進捗したでしょう・・・。

 毎年、漠然としたことを思い描くだけでは、夢の続きになりかねません。
 来年は、具体的な進展がみられる年にしましょう (^^)/

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☆ ジェネリック使用促進は、患者さんに委ねられている
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 先日、沢井製薬が薬剤師を対象に行った意識調査の結果を発表しました。

 昨年に比べると、保険薬局では積極的に使用を勧めているとの結果が
出ましたが(病院薬剤部では昨年と変わらず)、双方とも、「患者の判断に
委ねている」というのが、保険薬局の薬剤師では57.6%、病院・診療所
では25.8%と、相変わらず相当の割合を占めることがわかりました。

 意向を尊重することは重要ですが、ジェネリックに対する理解を得て、
使用が増えることも重要です。

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 ジェネリックを使用することで得られる最大のメリットは価格の安さである
ことは言うまでもありません。しかし、ひたすら安さを強調して、“どこよりも
安いジェネリックですよ、いかがですか”と勧めてみたところで、それだけで
ジェネリックに変更するほど、コトは簡単ではありません。

 安いだけではダメなのです。

 安さを理由に変更しても、安いことが逆に品質への不安の一因になって
いることもあり、何らかのきっかけがあると、元に戻そうという思いを強く
させてしまいます。

 金額差が少なければなおさらで、自身の健康問題にかかわる服薬に
対して、安さは最優先たる薬剤の選択肢ではないのです。

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 使用するかどうかは、ひとつはジェネリックに対して、また処方や調剤に
関わる医師や薬剤師といった医療従事者に対して、信頼感、安心感が
あるかどうかが重要です。

 ジェネリックが先発品と同等だといっても、変更に際しては、自らをもって
試すことになるので、その瞬間において不安をかきたてます。
 「変更しても大丈夫なのだろうか」というわけです。これまでと同じ効果が
得られるだろうか、これまでにはなかった不都合がみられるのではないか、
という不安です。

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 このような思いというのは、初めて口にする食べ物を目の前にした心境に
似ているような気がします。「注文するのはいいけれど、本当においしいの
だろうか、もし食べておいしくなかったらどうしよう・・・」。

 興味はある、でもただちに手を出しにくい・・・、このような時、みなさんは
どうしますか?

 そのような時、既に食べたことがある人に感想を聞いてみたいと
思いませんか?
 1人より2人、できればもう少し多くの声を聞いてみたいと思いませんか?
 
 インターネットのグルメサイトでは、店の評価に関連し、お客様の声が紹介
されています。多くの人が高い評価をしている店や料理であれば、期待感が
高まるのではないでしょうか。

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 ある薬局では、既にジェネリックを服用している人に、服用後の感想を
述べてもらい、それを来局者に紹介して、同じ薬を飲もうとしている人の
参考にしてもらっています。

 薬剤師に勧められても躊躇していた・・・、しかし既に何人も先行して服用
している人がいる・・・、彼等は使用してみて、どうだったのだろうか・・・、
何か不具合などあったのだろうか・・・、もし彼等も推薦するのなら
自分も使用してみようかなと、気持ちが動くのではないでしょうか。

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 その薬局では、自由記載の用紙を用意し、自主的に、ときに依頼をして
ジェネリック使用後の声や感想を集めています。それを薬局内に掲示したり、
ニュースレターにまとめたりして、紹介しています。

 またジェネリックを製剤ごとに、使用している患者数の多い順に、
ベストテン形式で紹介しています(毎月、ベスト30まで紹介)。

 それを見て、“あっ、自分と同じジェネリックを飲んでいる人はこんなにいる
んだ、毎月これだけの人が使っているのなら安心だな”と思ってもらえる
のです。

 生の声でないにせよ、他の患者さんの声を聞けることによって、
頼もしい味方が増えたような気がするのではないでしょうか。

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 薬局も、ジェネリック使用後の体調等の把握を怠ってはいけません。
ただ漠然と「お変わりありませんか?」「気になることはありませんか?」と
済ませるのではなく、多くの印象を引き出すのです。
 どういうことを述べる人が多いのか、注意深く聞く必要があります。

 そして、得られた情報を他の患者さんに紹介してみましょう。
「このジェネリックをお飲みになられているのは、毎月、ウチの薬局では●人
ほどいらっしゃるのですが、そのようなことを仰られるかたはいませんよ」
などと伝えられたら、安心してもらえるのではないでしょうか。

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 さて、まもなく2011年です。

 今年も当メルマガをお読みいただき、ありがとうございました。

 来年も「ジェネリック de リ・スタート!」をよろしくお願いします。
 
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 薬局でジェネリックを勧められて、あるいは患者さんに勧めてみて、
患者さんはどのようなところに不安を感じているのでしょうか。

 こんなことを言ったら笑われるかも・・・といったことでも構いません。
少なからず、同じ不安を抱えている人がいることと思います。
 ぜひ、お知らせいただければと思います。

 また取り上げてほしい話題、感想等、些細なことでも構いません。

 お送り先は、 tamsuke@gmail.com です。
(@は小文字の「@」に変えてお送りください)

 お待ちしています! それではまた次回! (^^)/

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☆☆☆【みたキタ企画よりお知らせ】

 みたキタ企画では、ジェネリックについてご相談をお受けしています。

●個人的な疑問がある、相談したいという要望(一般のかた)
●ある集まりで、話をして欲しいという要望(一般のかた)
●どうやってジェネリックを進めていくとよいか悩んでいる(薬剤師)

 ご要望があれば相談に応じますので、ご遠慮なくお知らせください。 
 現状から一歩前進できるよう、そのお手伝いができればと思います。

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☆☆☆ メールマガジン 【ジェネリック de リ・スタート!】

■発行 : みたキタ企画
■発行人: suke
■ご感想やご質問等の宛先 --> tamsuke@gmail.com
 (@は小文字の「@」に変えてお送りください)
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■発行システム:『まぐまぐ!』  http://www.mag2.com/
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     http://www.mag2.com/m/0000286496.html
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失敗を生かす仕事術

2011-08-21 10:10:50 | Book Reviews
「失敗を生かす仕事術」 畑村洋太郎・著、講談社現代新書1596、2002年3月20日

p.4 多くの人たちが好んで使ってきた「成功に学ぶ」という方法は、右肩あがりの時代だからこそ通用した方法で、大激動期を迎えて状況がめまぐるしく動くいまのような時代には不向きです。

p.16 私たちが日常的に行っているすべての事柄、仕事でも家事でも、趣味でもなんでも、失敗なしに上達することは不可能です。人の行動には必ず失敗がつきまとうものですが、一方でそうした失敗なしに人間が成長していくこともまたあり得ません。

p.18-9 「決まりきったことを可もなく不可もなく行うのが自分たちの役割である」といった空気は、いまは行政組織にかぎらず日本中の組織に蔓延していますが、決まったことを決まったようにこなすことだけが仕事だと勘違いしていることが、結果的に大きな失敗を招き寄せる原因になっているという構図がそこにはあるのではないでしょうか。

p.21 社会の要求がすでに別のところにあるのに、それを見ようとしないで従来型のことしかやろうとしないおかしさも、いまや日本中の組織に共通している問題です。成熟した組織の宿命かもしれませんが、組織の中で決まりきったことさえやれば、一見ものごとは滞りなく動いていくように見えます。しかし実際には、取り返しのつかない大失敗へと向かう道を選択しているケースがいたるところで頻発しているのです。

p.40 偽ベテランのいちばんの問題は、自分の経験に基づくもの以外を絶対に認めないので、制約条件が変わって新しい情況に直面したときに、対応ができないことにあります。そのくせ自信があるだけに、自分が過ちを犯してまちがった方向に進んでいても、いつまで経ってもそれに気づくことがありません。

p.47 人は失敗すると必ず「痛み」「悔しさ」を感じます。じつはこれが非常に大切なことで、これによって人は新しい知識を受け入れる素地を自分の中につくることができるのです。

p.53 時代が変わると、定式もまた変わります。人間の営みは結局、失敗から定式をつくって成功が得られる状態に導き、その定式が通じなくなったら再びチャレンジして失敗する。そして新しい定式をつくり出して成功に導いていくという繰り返しなのです。

p.69 「うまくいく方法はどこも異なっているが、失敗するパターンはすべて互いに似かよっているものである」

p.105 人が活動している限り失敗の確率をゼロにすることはできないのもたしかです。つまり、人が行動すれば必ず失敗は起こるわけですから、確実に起こるものに対して事前になんの準備もしないというのでは無謀すぎるように思います。

p.106-7 日頃から3割の冷静さを持って行動し、「自分は失敗するかもしれない」「それによって、すべてを失ってしまうこともある」という危険性の検討をたえずしていれば、少なくとも致命的な失敗に遭遇することは避けられるはずです。また一歩進んで、大失敗の予兆として起こっている29件の軽度の失敗や、あるいは「ヤバイ」と思った三百件の些細な出来事を経験したときにこれを生かすことができれば、未来に待ち受けている失敗のほとんどを防ぐことができるでしょう。

p.108 仮想演習をきっちり行えば、失敗被害の予測もある程度までは可能です。それらを踏まえて失敗後のことをきちんと検討しておくことは、失敗によるダメージの軽減ばかりではなく、失敗からいち早く立ち直ることにもつながるのでおろそかにはできない大事なことなのです。

p.111-2 失敗の原因を分類してみると、(1)未知、(2)無知、(3)不注意、(4)手順の不遵守、(5)誤判断、(6)調査・検討の不足、(7)制約条件の変化、(8)企画不良、(9)価値観不良、(10)組織運営不良のおよそ10項目に大別できます。この中の(2)から(6)までは失敗に結びつく直接の行動を行った者の責任と考えられるもので、(7)から(10)はそれを管理する者に責任が帰すべき失敗原因です。(1)の未知は、現象とそれに至る原因をだれも知らないために起こるもので、失敗当事者にも管理者にも防ぎようのない失敗です。

p.120 相手が海千山千の上司ならば、このとき「いざとなったら会社が全部責任を負うから」と甘い言葉をささやいてくるでしょう。そのような場合には、「問題が発覚したら、あなたの命令でやったことをいいますよ」「地獄に落ちるときはあなたも一緒ですよ」などといって、責任を共有しなければならないことを相手に自覚させるくらいのことは最低でもやるべきです。それでも相手がまったく怯まないならば、場合によってはさらにひとつ上の上司と話し、同じように「道連れ」であることを強調しておく必要があります。

p.122-3 失敗が起こったときの準備として、日頃から「ばれたら恥ずかしいことはやらない」という心構えで行動することも大切です。

p.136 リストラと称する組織の再構築を行っているところは多々あります。ところが、「変わる」という言葉の響きに酔いしれて、その裏にある落とし穴にはまっているケースがほとんどのように思います。「変わるため」と称して行われている動きが、実質的には以前とまったく「変わらない」状態に陥っているのです。

p.145-6 いくら建前として、「定められた筋道のとおりにやればうまくいく」としたところで、いま実際に起こっているのは「そううまくはいかない」という事実です。にもかかわらず、結果が出せないのをマイナス評価されてしまっては、評価される側は立つ瀬がないし、ただやる気を失っていくだけではないでしょうか。

p.156 失敗対策は上から下へのトップダウンでやらないと、決して強い力にはなり得ません。ときには組織全体の見直しが迫られることもあるからで、それをせずに部下に任せたりすると、往々にしてこれまでのやり方に準じた歪曲化かつ矮小化された形でのぬるい失敗対策になりがちです。

p.159 多くの失敗は、いわばヒューマンエラーであると規定され、個人に責任を押しつけて終わりにするような問題解決がいまだに日本ではまかり通っています。

p.168 つまり個々の人間が突然組織から切り離されてもきちんと仕事のできる自律した人間であること、それぞれのパートの仕事をしながらも組織全体の仕事が見えていること、そうした組織がつくれることが創造的な組織においては理想なのです。
 いずれにせよ、単なる上からの管理によって運営されている組織からは、不測の事態に対処することも、時代に合った新しいアイデアが生まれてくることも期待できません。

p.174 マニュアルの目的は、このように複雑化した作業をだれもが容易にできるようにすることにありますが、じつはその便利さこそが失敗を招くものでもあるのです。完成された組織は、現場で働く人や管理者に深い理解はなくても、マニュアルを踏襲することで効率的に運営していくことはできます。しかし、その実態は部分的な理解しかできない人たちによって、組織が運営されている状態になっていますから、表面的な繁栄の裏で、そのじつ著しい潜在能力の低下が起こっていることが往々にしてあるのです。

p.190 「このままで済ませよう」という悪魔のささやきに耳を傾けることで、失敗の種は大きく育ち、いざ生じたときの損害額も大きくなっていくのが失敗というものです。

p.211 そもそもこの失敗の根にあるのは、成功偏重主義に陥っているいまの日本の文化としての問題です。これを変えて、失敗に学んだり、失敗を生かすことで新たな知恵を生み出す新しい文化を築いていかないかぎり、時代の変化にうまく対応できずに同じような大失敗を繰り返すことになるはずです。

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