何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

真実の瞬間

2009-02-08 23:18:19 | Book Reviews
「真実の瞬間 SAS(スカンジナビア航空)の戦略はなぜ成功したか ヤン・カールソン、ダイヤモンド社、1990年3月1日

p.85 顧客を重視して“真実の瞬間”に好印象を与える企業をめざすなら、ピラミッドを崩す、つまり顧客のニーズに直接、迅速に対応するために階層的な責任体制を排除しなければならない。顧客本位の企業は、変化に即応するよう組織される。

p.90 「素晴らしいです。まるで新しい会社で働いているようです」「たとえばどんな点ですか」「そうですね。たとえば、だれかの許可を求めたり、あとでいちいち報告せずに、いまのようにお客様を案内したり、飲み物を出したりすることができるという点ですね」

p.96 責任の委譲は権限放棄と同じことだとみなされることがあるが、それは誤りだ。実際、分権化した機構を円滑に運営するには、中間管理職の職能が不可欠である。現場従業員の意欲を盛り上げ、業務活動をサポートするには、指導、情報伝達、批判、賞讃、教育に熟達した、見識のある中間管理職が必要だ。総合戦略を現場従業員のための業務ガイドラインとして具体化し、業務目標達成に必要な資源を確保するのが、中間管理職の権限になる。そのために中間管理職には、独創力や機転とともに、実際的な業務計画づくりの能力が求められる。

p.97 ここで重要なのは、管理職は追加経費を受益者である顧客の立場で評価しなければならないという点である。もし経費追加の目的が、ビジネス旅行者のニーズに応えるという戦略に合致するなら、それは承認されるべきだ。そうでない場合は、その経費は戦略に沿うサービスに充当される。
 きにしい規則でしばるよりも、目標達成の全責任を与えたほうが、従業員の能力を発揮させることができる。

p.104 私は読者に、自社の組織の見直しを強く勧めたい。ピラミッド機構を崩せば、顧客をさらに満足させるサービスを提供するだけでなく、従業員が内に秘めている活力を解放する。しかも、企業体質は以前と比較にならないほど弾力的になり、驚異的な成果が期待できるのである。

p.122 私がこれまでに述べた、従業員の意欲を高め、秘めた活力を解放した事例に多くは、じつは情報伝達、説得、激励、つまり意思疎通の事例である。分権化された、顧客主導型企業のすぐれたリーダーは、コミュニケーションに最も多くの時間を費やす。リーダーは、全社員を一つの目標をめざして結束させるために、社員との意思疎通を図り、会社の新しい活動とサービスを周知させるために、顧客に情報を伝達しなければならない。

p.137 取締役会におそれを抱いている社長は、自分の企業ビジョンを開陳せず、かわりに経営陣が成果を上げているという印象を与える都合のいい情報を取締役会に伝えることになる。同時に、些細な決定についても取締役会の承認を求めて、責任を上部に委譲してしまう。そして取締役会の決定を社内に発表する。取締役会が最高意思決定機関なので、その決定は定則となる。その決定が社内に通達され、各現場で実施される。
 このような手順は時間を浪費し、従業員の意欲をそぐだけでなく、役員たちの企業運営経験を活かす方法としても妥当なものではない。

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