何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

これからという時だからこそ

2010-03-17 23:43:13 | くすり雑感
 今朝から大洋薬品の業務停止の話題が周囲を賑わしていた。以前も抗生物質の注射薬の製造でトラブルについても記憶にあったので、たび重なると製造体制の信頼が揺らぐ。
 業務停止のきっかけになった薬剤はもう半年前のことで、どの程度回収がされたのかは定かではないが、少なくとも市場に残存していないことを願う。今からでも再度製品回収をし直してもいいのではないか。

 新年度を目前に、調剤報酬改定もあるというこの時期に、しかも新年度ではいよいよジェネリックの使用促進が正念場を迎えるというのに、本報道はそれに水を差すかのような印象だった。ジェネリックメーカーの大手であるにもかかわらず、その中でも比較的販売数量も多い薬剤である。

 ジェネリックに対して品質に不安感や不信を持っている人からすると、今回の報道はより一層その思いを強め、ますますジェネリックを使用するのは慎重でなければならないと感じただろう。こんな製造ミスをするなんて、通常ありうる話ではないし。

 しかし回収騒ぎを起こすのは、ジェネリックばかりではない。先発品にだってありうることだ。ジェネリックだから多いわけでもない。
 なので本報道を持って、だからジェネリックの信頼性は不十分だ、せっかくの機運も冷めた、と捉えるのはいかがなものだろうか。ジェネリック全体に対して信頼失墜をきたしたのではなく、ある一メーカーの問題ではないかと思う。

 他のジェネリックメーカーも敵失を喜ぶようなことは慎むべきではないかと思う。先発品で回収騒ぎがあれば、先発品全体への信頼であるとか、薬全体に対する懸念などとは思わない。そのメーカーだけのことに過ぎない。
 
 大洋薬品は、トラブルがさらに続いて類似のことが判明したとすればユーザーから見離されると覚悟したほうがいいだろう。今回の報道は不適切な薬が流通していることへの注意喚起の報道ではなく、そういうことがあってこのたび工場が業務停止になるという報道だ。前者についてであれば、半年前にそれを流すべきだったと思うが、それが遅れたのはいただけなかった。

 ジェネリック全体への逆風にとらえる向きもあるかもしれないが、一メーカーの問題であると受け止めたい。

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<大洋薬品工業>配合量誤り業務停止へ 岐阜県が方針固める
3月17日11時35分配信 毎日新聞

 ジェネリック医薬品メーカーの大洋薬品工業(本社・名古屋市)が同社高山工場(岐阜県高山市)で製造した胃かいようや胃炎などの治療薬「ガスポートD錠20ミリグラム」の主成分の配合量を誤ったまま流通させたとして、岐阜県は同工場に薬事法に基づく業務停止命令を出す方針を固めた。業務停止は今月下旬から10日間前後の見込み。健康被害は報告されていない。

 同社によると、昨年2月に製造し、同年4~9月に出荷した約2万8500箱(1箱100錠)で、主成分の胃酸分泌抑制成分・ファモチジンの配合量が厚生労働省に出した申請から外れていた。薬剤の配合は、メーカーが厚労省に医薬品の製造販売承認を求める際、自社で定める。

 同社は主成分の配合量を1錠あたり20ミリグラムと定め、誤差の範囲を5%以内としたが、約2万8500箱は最大で20%の誤差があった。品質検査でもミスを発見できなかった。

 昨年9月、自社検査で配合ミスが発覚。同月末~10月末に全国の3116医療機関から自主回収し、厚生労働省に報告した。大半は既に処方され、16.1%しか回収できなかった。

 高山工場に薬品の製造業許可を出す岐阜県は、同工場の立ち入り調査を昨年10月~今年2月に実施。同県薬務水道課は配合ミスの医薬品を流通させたことを重視し、業務停止命令の方針を決めた。

 同社広報部は「当時の検査担当者が配合ミスの発覚を恐れ、正確に報告しなかったのが原因。厳粛に受け止め、再発防止に努めたい」としている。
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2 Comments

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企業体質 (お疲れ)
2010-03-18 13:37:19
 RISFAX2010.3.18では、大洋薬品側が「製造ラインの担当責任者によるミスいの隠蔽があった」としている。

「大洋薬品、ミス隠蔽で業務停止へ」
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 大洋薬品は製造工程のミスについて、「作業員が人為的なミスを起こした。記録はきちんとしていたが、(ミスした)容量の数字は誤差の範囲だった」などと釈明。誤差とも取れる数字だったが、「ラインの担当責任者がミスではないかと考え、品質管理部に提出するサンプルを正常なものとすり替えた」とし、隠蔽があったことを認めた。

 岐阜県は大洋薬品について、立ち入り検査に「協力的だった」としながらも、GMP上の記録を見直してもミスの詳細がわからず、社内調査をしなければ判明しなかった経緯から「ミスを隠した」と受け止めている。
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 ホームページでは、2010.2.4に「医療用医薬品「テチプリン静注液40mg」の自主回収(クラスⅡ)について 」を出しながら、昨年秋にはガスポートD錠20mgについてのプレスリリースを明らかにしていない。

http://www.taiyo-yakuhin.com/news/100204.html

 隠すつもりはないと言ったとしても、表沙汰にしないよう配慮したのは明らかだ。公表し忘れたなどと言うのだとしたら、それまでにメーカーだということだろう。

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単なる製品回収じゃない (お疲れ)
2010-03-19 22:32:34
新薬メーカー54社から受託製造―行政処分受ける大洋薬品高山工場
3月19日16時23分配信 医療介護CBニュース

 岐阜県が大洋薬品工業(本社=名古屋市)の高山工場(岐阜県高山市)に対し、薬事法に基づく業務停止命令を出す方針を決めたことを受け、同社は3月19日、行政処分を受けるに至った事実関係を発表した。

 それによると、今回の処分は、同社が製造販売している「ガスポートD錠20ミリグラム」について、昨年9月、「含量規格を外れる製剤」が2ロット(2万8000箱)確認されたことを受けたもの。昨年2月に高山工場で製造され、4―9月に全国の医療機関に出荷。10月末まで自主回収された。

 キャリアブレインの取材に対し、同社は、調合ミスにより含量規格を外れる製剤があることを知りながら、隠ぺい工作を行って出荷したことを認めた。「当時の現場担当者の判断により、出荷試験用サンプリングの際、調合を間違えた2ロットを避けて、別の正しいロットからサンプルを取った」(広報部)という。

 同社によると、高山工場での製造品目数は昨年11月現在で916品目に上り、このうち新薬メーカーからの受託製造品目数は268品目(54社)を占めるが、「その新薬メーカー名や品目名は、守秘義務に触れる部分があるため開示できない」(同)としている。

 大洋薬品は後発品大手4社の一角であるとともに、新薬メーカーからの受託製造大手でもあり、隠ぺい工作の発覚で波紋が広がりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100319-00000004-cbn-soci
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