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ISOマネジメントシステムの崩壊は何故起きたか

2012-03-27 15:45:31 | ISO9001奥が深いか浅いのか
「ISOマネジメントシステムの崩壊は何故起きたか」 西澤隆二・著、近代文藝社、2009年6月30日

p.31 マネジメント活動は「コア活動」はしない。

p.32 マネジメント活動再度では「統制」であり、「コア活動」では「実施」である。

p.35 かって国鉄の職場には『マルにする』という隠語があった。小事故は現場で修復して知らん顔をしてしまう(マル秘にする)、という意味である。それを黙認し、あるいは積極的に隠蔽に加担する運転区長や機関区長は、人望が厚くなる。これでは、全職場に生かすべき『危険要因』の情報が、埋葬されてしまい、どこかで同じような事故が再発することになる。

p.38-9 工場の実践ではPDCA順でなく、CAPDの順で行く方が成果を得やすいといわれる。これはこのような個々の不良追跡からマネジメントの考えを学ぶのが一番理解しやすいという指導体験からくるものであろう。

p.47 通常、品質マネジメントの効果があがると一位、二位の不良内容の件数は減り、このため三位の不良内容の件数が一位になるなど、不良内容の順位の変化がみられるはずなのである。

p.49 品質マネジメント活動は「品質デ『コア活動』ヲ」マネジメントすることである。
 品質マネジメント活動では、品質はマネジメントの観点を示すものであって、マネジメントの対象相手は「コア活動」である。「コア活動」をおさえないと品質はコントロールできないのである。すなわち、「品質マネジメントのマネジメントの対象相手は『コア活動』である。」ということになる。
 不良を減らし、品質を向上しようとすれば「コア活動」を改善することになる。だから、品質マネジメント活動をする人は「コア活動」に深い関心を持つとともに、「コア活動」の分析や改善能力が必要となる。これを「品質マネジメントは品質をマネジメントすることだ」と誤解すると、品質というデータを扱うことだと考え、データ屋・事務屋となってしまう。「コア活動」がそのままだからデータや書類は増加するが不良はなかなか減らないという結果となる。

p.112 病院もミスをする。どんな病院も完全でない。しかし、その医療のマネジメントシステム、すなわち再発防止策を確実に立て、患者やその家族に信頼感をあたえるシステムは、このようなオープンに説明する姿勢と、マネジメント責任の明確化によって実現できる。

p.112 「ミスを報告したからといって、それを責めてはならない。責めたら、積極的にミスを報告しなくなり、大きな医療過誤を防止できない」

p.114 「コア活動」をしている現場に個別責任を転嫁すると、現場は本当のことを言わなくなり、看護婦の志望者は減るだろう。医療の現場の質は低下するだろう。

p.114 悪い知らせを持ってくる使者を殺してしまうという企業風土を変えよとデミングは言うが、これをしないと皆、黙するようになるであろう。デミングは「どんな職場でも、不安をかかえている人間は共通して、不手際な仕事をしたり、水増しした数字をでっち上げたりして損失を生む」と言っている。
 
p.114 「ミスを犯した個人を責めるよりも、ミスを犯さない『コア活動』のシステムづくりの重要性」

p.118 同社はISO14001の審査登録を取り下げた。マネジメントの問題なのだから、取り下げるのでなく、マネジメント不在の原因を調査して、PDCAにつなげるのが、ISO14001を認証した原点ではなかったのか。今こそPDCAをまわすときなのではないか。
 PDCAの原点の理解不足が、形ばかりの「勲章」としてのISO14001審査登録となり、逆にマネジメント不在を生み、そして、取り下げとなった。ますます、マネジメント不在となるだけである。


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decomposition (物理学者)
2013-04-18 22:58:55
 ISOとは法律ではない。単なるガイドラインだがガイドラインが見えない人々には目に見える形で様々な工業的な初歩のガイドラインを提示してきたことには一定の意義があったと認めます。
 しかしISOをあたかも法律と考える熱狂的な信者が、こういった審査をする状況がある。審査をする人間の資質は博士号ももっていないものだらけ。こういった隠れ権威主義は日本の科学技術工業を少しづつ侵しているようなきがする。

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