何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

熊本県立美術館に行く

2006-06-11 22:55:49 | いいものはいい
 先日、熊本出張のついでに、熊本県立美術館に立ち寄った。美術にはさっぱり疎いのだが、見たいのは絵画や彫刻などの作品ではなく、美術館そのもの、つまり建物だった。建築に対しても素人なのだが、同美術館は、以前NHKで前川國男さんという建築家が立てた“作品”のひとつだということで、もしチャンスがあれば・・・と思っていたのだった。

 熊本城跡の一角にあるそれは、新緑の中、斜面に深く入り込むような形で作られていた。玄関脇に、確かに前川さんが建てたことが記されている。

 建築といっても、何でも建造物を作ればいい、ってもんじゃない。一度作れば、老朽化するとか、それなりの事情が無い限り、何年もその場にありつづけるのが建築物だ。建てるにあたり、建築家にはプロデュースする責任がある。売れさえすれば、どんな建物でもいいなんてことはない。

 美術館であろうと、オフィスであろうと、マンションであろうと、建築物であれば外してはならない、建物として備えるべき、果たすべき、不易なものがあるのだという。経済優先の考え方が、その基本をないがしろにし、蝕む動きを見せることに対して、「もう黙っていられない」と、自らがお手本を示し、建築ってそんなものじゃない、と訴えていたようである。前川さんにしてみれば、その場しのぎで建てた程度のものは建物じゃないということのようだ。

 その建物を使う人、住む人、訪れる人、それらの人々へ愛情を注ぎ、「人を幸福にする建築」を目指した・・・といった番組だったように思う。そのような思いは、無形の力として、さぞかし周囲に訴えるものが大きかったに違いない。
 昨今の耐震偽造問題で問われる人たちは、前川さんのことなど知らないのだろうか。自分が建築家として世に残す建造物に、愛着を感じないのだろうか。そこに住む人たち、利用する人たちに思いをはせ、豊かさを演出することにやりがいを見いだせなかったのだろうか。

 今回、熊本では時間がなくてゆっくり見ることができなかったが、またチャンスがあれば行って見ることにしよう。美術作品も、一層の輝きを見せて、そこに展示されていることを、さぞかし光栄に思っているのではないだろうか 

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2 Comments

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弘前市立病院もか・・・ (お疲れ)
2007-02-03 13:41:21
 前川國男さんの建築物として、弘前市立病院もそうであることがわかったので、とりあえずメモ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kazuyuki1788/13037573.html
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津軽ひろさきふる里便り (ターザン)
2007-02-03 16:09:34
はじめまして、トラックバックありがとうございました。ふる里弘前にUターンした者です。
私のブログの書庫「津軽の伝統と文化」で前川國男の弘前での作品を他にも紹介しています。
弘前市庁舎、弘前市民会館、弘前市立博物館、緑の相談所、弘前市斎場です。
他にこれからまだ紹介予定です。
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