何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

鈴木敏文 経営の不易

2007-07-24 21:47:18 | 薬局経営
『鈴木敏文 経営の不易』 緒方知行・編著、日経ビジネス人文庫、2007年6月

「自分の本業は何か、自分の顧客は誰か――、本業ではないことを中途半端にやっても、また自分の顧客の期待と違うことをやっても、意味はありません」(p.136)

「モノは売れる理由によって売れ、売れない理由によって売れない」(p.228)

 現在の医薬分業下における多くの薬局は、分業率向上の追い風に乗って作られた門前薬局やマンツーマン薬局が多い。その多くが行き詰まりを感じ、経営に苦しんでいると聞く。表向きはまずまずでも、内実はボロボロは当たり前のようにすら感じる。

 門前という立地で、経営安泰の保証だとそれに甘えて、国民の薬局に対する本質的な期待に応えて来なかったツケが来ているように思われる。国民の立場になって考えれば、どこに薬局があろうと、自分の薬物治療が確実に進められ、安全が確保され、質が担保できることが重要だ。薬局が門前医院の医者の顔色を窺い、妙な気遣いをし、国民の期待に応えなければ、どこでも薬がもらえる患者は、自分の要望に沿う薬局を、移動可能な範囲の中で探すだろう。

 門前にあるという利便性は、とくに門前薬局が汗水流して築き上げたものではない。楽して儲かる手段としているだけのことだ。門前の医者の圧力に屈して、服薬説明すら十分にできない薬剤師。立地に甘えて、独自のサービスが開発できない薬局。一方、門前の医者に不必要な気遣いをせず、患者を中心にニーズに応える地域の薬局。どちらが、将来有望かは言うまでもないことだろう。

「コンビニエンスストアという業態がいらなくなったから、アメリカのセブン-イレブンはダメになったのではない。業態のせいにしてはならない」「コンビニエンスを求める生活のニーズはなくなったわけではありません。そのニーズに対して応える商売が、世の中で必要ではなくなったということではないでしょう。人々が求める便利さの中身・内容が時代とともに変わったのです」(p.68~9)

 今でも院内で薬をもらったほうがよいという意見もしばしば聞かれる。しかし、薬について、必要なことは教えて欲しいし、飲む前に聞いておきたいし、困ったときは相談に乗って欲しい、というニーズがなくなったわけではなかろう。
 そういうことに、薬局は十分に応えきれていないという、今のままではダメということを認識すべきではないかと思う。風邪を引いて受診し、薬をもらう際に「風邪のクスリですという“服薬指導”に意味があるのか」という批判もあるくらいだ。

 店舗拡大がブームのときならともかく、もはや薬局に求められるものは本質的なニーズに移っている。それこそ、薬局の存在理由だ。今は本質で信頼を得て、将来への基盤作り、充電をする時期なのかもしれない。

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1 Comments

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Unknown (おじさん薬剤師)
2009-02-11 17:47:16
その通り 門前なんて恥ずかしくてよくやるな!!
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